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ごまちゃんクエスト!  作者: コグマ
第5章 旧魔王城編
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86! 失われる物

一旦血を取って、包帯で巻いた。右膝に擦り傷を負ってしまったようだ。

(これで自分なりに応急処置はできた。身体は動けなくもない。気にしないほうが良いと思う。)

そう思い、ごまちゃんは身体を立たせた。

(今ならジェドを探知できる。この首飾りは多分、普通の人でも使えるかもしれない。でも、使い方が知らなければそれまで。宝の持ち腐れ。見様見真似だけどやってみるしかない。)

ごまちゃんはジェドの方へと向かった。しかしながら、彼女は疑問を持った。

(此処って…まさか!)

彼女は急ぎ、走った。ジェドの姿は直ぐそこにあった。

「来たか…」

ジェドは笑みを浮かべて彼女の目の前まで一気に距離を詰めた。それを、光輪を付けたコトが止めた。ジェドの胸部押し、仰け反らせた。

「うおぉぉ!?」

「魔王ジェド…アンタが魔王になりたかったのは知っていた。それは、俺が自ずから魔王の座を退いたから得られただけなんだ。自力で這い上がれなかった。ただ相手を下げて自分を上に上げただけ。ジェドが魔王の座に居座れたのは、奪って手に入れたから。」

コトは許さなかった。自分だけの理由ではない。ジェドは他にも何かを強奪し続けた。

「…何かを奪った時、その何かよりも大きな物を失うだけだ。覚悟しろ。魔王の名だけでなく、誇れる心も失くなると思え。」

ジェドは睨んだ。

(屑が…大きな物を失うだと…ほざけ。貴様の思っているほど矮小なものではない。魔王、ジェドはそれを持っているからこそ知っている。)

コトは後ろを振り向いて、ごまちゃんの顔を見た。

「…大丈夫だった?」

「…まだ顔が…」

「一人で行かせた自分が悪かった…」

コトは俯いて、咳をした。

「ゲホッゲフッ…」

「コト君大丈夫なの?」

「…まだ…でも今見ている通り、相手が居るし、今回は本気らしいし、逃げられない。逃げてはならない。そして、逃す気はない。そんな状況下で少しでも何とか身体を回復させたから…」

コトは光の輪を作ろうとしたその時だった。

「死にな。」

「!?」

「コト君!?」

背後から刃物が出てきた。何とか避けようとしたが頬に傷をつけてしまった。

「?…?………??」

コトは心を乱した。何処を振り向いても敵の姿はない。何が起きたのか。

「…ごまちゃんは見てた?」

「……ジェドがもう一人出てきた…」

コトは更に状況が分からなくなった。ジェドは目の前に居る。動きもある。

「おや…お困りか?」

ジェドは嬉しげに喋った。

「君の様な屑に教える魔法ではない。大きな物を失うのは愚人、コト、貴様だけだ。」

ジェドが突っ込んで来た。そこでコトは一旦冷静になって考えてみた。ジェドは再び笑みを浮かべた。

「今度こそ…死ね!」

やはりまた後ろからだ。コトはその声を聞き捨てずに、回し斬りをしてみた所、後ろの刃物の感覚を剣で捉えることができた。

「何!?」

後ろのジェドは思い切り低く吹き飛んでいった。

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