7! 一緒
コトはごまちゃんを残し、075室まで急ぐため部屋を出ようとした。しかし、目の前にはクリスタ王の姿があった。
「……!…クリスタさん…」
「こちらは片づけておいたぞ。056室から悲鳴が聞こえたのでな。やって来たぞ。」
今のごまちゃんは、落ち着いていない状態である。そこでコトはクリスタ王に言った。
「彼女の事は任せてください。」
「いや、私に任せ…」
「私に任せてください!!」
コトは強気で言った。本気だった。クリスタ王を跳ね退かせた。クリスタ王は056室から渋々と離れていった。
「何だあいつは…」
「だから言ったでしょう!私だったら彼らは絶対に処罰を受けさせますよ!」
「そのぐらいの権力を貴様が持っていればの話になるがな。まぁ、貴様がオークなのに今ここにいるという事も、奇跡だがな。」
ダルダルは悔しがった。王に歯向かう者がいるとは思いもしなかったのだから。
056室、075室はオークによって荒らされてしまったので隣の空き部屋である、057室に移った。クリスタ王等は、074室に移ったらしい。ただ、ごまちゃんの表状から元気も、笑顔も失っていた。気づけば、再びベットで寝込んでいた。
「………ごまちゃん…話しずらい事だけど…」
「…何?コト君…」
「何で…泣いているの…?」
「…こっちに来て…。」
コトはベットに近づいた。しかし、ベットには入らなかった。
「…寂しかったよ。何であの時一緒にいてくれなかったの?起きた瞬間にオーク1匹いたのに…」
「ごめん、君が起きる前にオークが2匹襲って来たんだ。そいつらに集中し過ぎて…」
「来てくれた時は本当に嬉しかった…。」
ごまちゃんは涙を零し、更にコトに言った。
「私見たの。」
「何を?」
「普通の人が…オークになった所…。」
「嘘…だろ…。」
「本当よ!そのオークが私を襲って来たのよ!」
コトは驚いた。しかし、コトはオークになる為には欲望を持つことが必要だと知っている。
「このままだと、私もオークになっちゃうよ!どうしたら良いの!?」
泣き叫ぶごまちゃんの額に触れ、コトは慰めた。
「大丈夫…君はオークなんかにならない。」
「…えっ…?」
「俺はオークになる方法を知っている。魔王の子息だし…君は欲望を持っているように見えないし…。」
ごまちゃん虚ろになりながらコトの方に顔を向けた。
「でも、私は君に頼っているし…」
「安心して…」
コトはごまちゃんをしばらく見た。すると、ごまちゃんはコトを強引に引き寄せ、接吻をした。
ごまちゃんはコトに顔を向け、
「ありがとう…ごめんね…」
コトは顔を赤らめた。
同刻の074室、
「クリスタ王、オーク軍が遠くから…」
「いよいよか…」