78! 闇夜
魔獣達の目を離した隙にごまちゃん達は下の階へと向かった。しかし出会い頭に他の魔獣と出会ってしまった。ただし、此方は下り方向に行く。ならば上から突き落とせる。ヘリオスはそう考え、魔獣の腹を蹴って突き落とした。もう四体ぐらい居た。
「次で一階だから何とかできる!討て!」
ダルダルが口を突っ込ませた。
「…。」
全員無言の内に敵をどんどん倒していく。そしてクレタが最後の敵の頭部を刺して抜いた。階段を転がっていった。そこは一階。いつの間にか氷の張り付いた場所になっていた。何とか立っていられる。ごまちゃんはまだ行ったことのない方へと足を運んだ。
「おい!そっちに行く必要は無い!今直ぐ此処から出るぞ!」
「…。」
ごまちゃんは軽くダルダルの方に向いて、彼の言うことを無視して走り続けた。
「おい!!…ふん。俺らは一足先に出て行くぞ。」
ヘリオスは首を横に振った。
「ダルダル殿。私は本来彼らの護衛に付くという目的でパルタンへと向かいました。彼らを護る事が王の命ならば私はそれに従います。」
「んー。ダルダル殿の仰っていることも分かるのですが、我らが此処まで来た真の目的は彼らの護衛に過ぎないのですよ。ま、私は行きませんけど。今は頼れる後輩が居るので彼に任せておきますね。」
クレタはヘリオスに命令した。そして、ヘリオスは彼女が行った方向に走っていった。
「ダルダル殿。今は我が貴方を護りましょう。このクレタ、全身全霊を以って誓います。」
「…あぁ。わかった。」
ダルダル達は出口へと向かった。
ヘリオスは深部に居た。そこは氷によって塞がれていたが、彼女が空けたのか大穴ができていた。その更に奥へと彼は潜り抜ける。しかし、氷上は手や足を滑らせる。途中には氷柱もあり、非常に危険であった。
「コト君!!」
この声、間違いなく彼女だ。彼女が一体何を見てこんな事を言っているのかは分からない。だから、ヘリオスは声を辿ってみた。すると、ごまちゃんがコトを抱いていた。コトの身に何かあったのか。ヘリオスは更に近づいていった。
「何を…」
「…コト君が…高熱を出している。額を触ってみて…直ぐに分かるはずよ。」
ヘリオスは言うことに従った。確かに、額がとても熱い。温度差にやられたのかもしれない。
「急ぎましょう。」
彼女はコトを抱いて漸く出口へと向かった。ヘリオスも同行した。
同刻、パルタンは陽が落ち夜と化していた。月光が白髪の男を照らす。その眼光は禍々しい。その男は街中に入ってきた。
そこは下町。行灯に火が灯されず、闇夜の光景に相応しい。さて、その光景を見るが為ではなく魔法を用いていく。
「…これでどうかな?」
ジェドが火の魔法をかけて家を燃やした。ジェドは下町を離れていった。




