67! 探索開始
城内は薄暗く、目の前しか見えなかった。扉を閉めたとき、視界には闇しか無かった。辺りは火をも灯されていないので、ダルダルの持っている松明が此処で役立った。
「皆見えているか!?もう四本用意しているので準備してください!」
まず一本、一本と四人に渡した。クレタ、ごまちゃん、ヘリオス、コトの順で。
「行くぞ。」
ダルダルは先導を切って前へ向かった。
資料は全ての階にあるが、一階からはもう取り抜いたらしい。殆ど同じ資料ということだ。故に、次の階に進む必要がある。暗闇からは見つけずらく、この城について知るならコトに聴けば良いとごまちゃんは言うが、コトも僅かの間しか居らず、キットの事件以来来たことが無いために、すっかり忘れてしまった。
「じゃあ、どうすれば…」
「此処は頼みます!!」
ヘリオスは急に何かを追おうとした。
「ちょっとさー。なぜに勝手に行くんだー?」
ヘリオスは無視した。この様になるのはクレタは初めてと言う。
「リオさんを追います!」
「コト君も!?」
コトはヘリオスを追跡しに行ってしまった。ダルダルは冷静に言う。
「まあ、好都合だがな。」
小言であったので、ごまちゃん達には聞こえなかった。そして、ダルダルの周りにはごまちゃんとクレタの二人しか居なくなった。
コトは急ぎヘリオスを追い続けた。火を灯す場が無かったのでただヘリオスを見落とさないように走り、捕まえなければならない。
そう思った瞬息、ヘリオスが走るスピードを緩め始めた。その時が機だと判断し、コトは思い切り走る。その時、コトは勢い良く壁にぶつかった。実に可愛らしかった。
「うっ…」
その部屋もまた暗い。ヘリオスの姿はそこには無かった。
「まんまと嵌められたか。中は密室だし、外から助けが出ないと…。」
ただ、宝箱の中に居た時よりは広くましな方であった。コトは早速松明の火で視界を広げた。少々黒い煉瓦状の部屋は光が反射しづらいのであまり見えない。
その上扉も無いのでまさしく普通では出れないことは確実である。
「力ずくで越えようとしても無理。だったら…」
コトは首飾りを先程入ってきた方に向けた。すると壁に鉱石が増殖するかのように増えていく。それを魔法を纏った剣で突いた。すると鉱石は砕かれ奥の方が見えてきた。
「鉱石はそんなに硬いわけではないから……え?」
コトの見た先はまた同じ部屋であった。一階にはこんなに部屋は無いはずである。コトはそれを憶えていた。幻覚なのかと察した。それを知った上で周りも同じく試みた。
「階段を見つけました!ダルダルさん!!」
ヘリオスがダルダルの方へと戻ってきた。
「あのさ!コト君見かけた!?」
「見なかったけど…あれ、居ないね。」
「嘘…」
「仕方ない。その階段まで案内してくれ。」
「待ってください!!」
ごまちゃんは止めた。
「何でそうコト君を嫌うんですか?」
「それを知った所で何もできんだろう。行くぞ!」
ダルダル達は付いて行った。ごまちゃんは暫く立ち尽くしたが、コトを心配して次の階へと向かう事にした。思い残しは勿論ある。生きていてほしい。そう思い、信じながら付いて行った。
「…どこも同じだ。きりがないよ。」
コトはまやかしと知りながら作業を続ける。そんな中、ゲルニオの声が微かに聞こえた。
「…ククク、ま…たくよぉ…こ…なとこで…こ…ことやってきた…はのう。」
ほんの僅かだけ聞こえた。そして、その声の正体を確信した。しかし、何処にいるかが分からなければそこまでである。コトはただ沈黙した。




