4! コンビネーション
黒い少女は、コトを見ている。ごまちゃんはコトの容姿など、気にしていなかったが再び見ると少し可愛げがあった。
「コ〜ト君!」
「誰よあいつ!コト君の知り合い!?」
コトはすぐに、
「あぁ。従姉のリリー。」
と答えた。
「コト君!話聞いてるの!?」
黒い少女こと、リリーは少し苛立った。
「うん!ごめん!この人は、ふぐぐ…」
ごまちゃんはコトの口を封じ、リリーに、
「私の名前を聞く必要はないわ!」
「何?」
「だって、この子は私が連れて行くもん!」
コトもリリーも驚愕した。まさかコトが連れ去られる側だとは思いもしなかった。
「コト君。あなたもお偉いさんね。ほんの少し、少しだけ地位が高くなっただけで…いい気になるな!」
そう言い、リリーは魔法を唱えた。
「メタモルフォーゼ・スコーピオン!」
リリーの体は散らされた。それと引き換えに大型の蠍が召喚された。
「コト君!」
「分かってる!」
2人はすぐに闘う姿勢に入ったものの、ごまちゃんは戦い方が分からなかった。戦闘の経験は皆無なので仕方がない。するとコトが、
「その短剣で闘うしかないよ!」
と言ってきた。
コトは早速、大型蠍に急接近した。横からの攻撃は楽々躱し、剣を出して一瞬で2度斬った。しかしその深い斬撃にも動じず、大型蠍は腕を振ってコトを飛ばした。そしてすぐさま、コトを腕で叩こうとしたが、コトは高くジャンプをして躱した。すると、蠍は、毒の尾をコトにつき刺そうとした。空中のコトに逃げ場はなかった。
その時だった。コトに向かってごまちゃんは思いっきりジャンプした。そしてコトを抱いて攻撃を躱した。ごまちゃんはコトに言った。
「借りを返したわ。」
「………。」
「何か言ってよ!」
しかしコトは大型蠍に立ち向かった。但し、今度は
ごまちゃんも一緒に闘うつもりだ。ごまちゃんは持っている短剣で蠍の殻を傷をつけた。そしてさ更に、コトの攻撃で、殻を破ることができた。横からの蠍の攻撃がごまちゃん達を襲ったが、コトが盾になり、そこからごまちゃんが傷ついた部分を思いっきり引き裂いて、片方の腕の殻も破った。
「ラスト!!」
そして最後に真正面からコトは蠍を斬った。奥まで届かないが、大型蠍は倒れた。
「やった!!」
ごまちゃんはとても嬉しかった。コトを見て、喋った。
「コト君…」
コトは無言だった。しかしごまちゃんを見て、
「ありがとう…ごまちゃん…」
「へへっ…」
ごまちゃんは急に倒れた。口から泡を吹き出した。
「ごまちゃん!?」
( さっきの毒の尾のやつか…急がないと! )
コトはごまちゃんを背負い、近くの街まで山を降りていった。
そして、コトは従姉のリリーの死を哀しく想った。