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ごまちゃんクエスト!  作者: コグマ
第3章 グラン編
46/90

45! 程度

炎はごまちゃん達の逃げ場を失くし、徐々に彼女らに近づいてきた。ごまちゃんはコトに身を寄せ、呟きながら目を閉ざした。

「…コト…君…最後…まで…一緒に…居て…くれて……ありがとう…あと…ごめんね…。」

ごまちゃんは瀕死している。コトも暑さで目がぼやけてきている。

「…こっちこそ…」

頭が遠のいていく。コトが目を閉じようとしたその時に、ごまちゃんがコトの腕を引っ張った。コトは一瞬だけ目覚めた。

それと同時に雷が鳴り、大粒の雨が降ってきた。炎は少しずつ小さくなっていき、目の前の城が見えてきた。後にデミを含む兵士達が所々で倒れていた。コトはごまちゃんを抱いて近づいてみた。腹部に大きな傷が残っている。竜に引き裂かれた跡だろう。コトが手を差し伸べようとしたときに、突然腕を掴まれた。コトは咄嗟にその本人を見た。勇者キットとその護衛をしている一番隊の兵だった。彼らは直ぐにデミを担いで親衛隊隊舎の方へと向かって行った。

「キットさん?」

「……。」

キットの目は虚ろになっていた。

「…済まなかったな。俺の所為でここまで大事になってしまった。本当に…申し訳無かった…。」

この様な姿は初めて見た。意外だった。

「どうかしたんですか?それとも降伏しますか?あの時の威勢はもう捨てたということですね…。」

コトは微笑みながらキットを見つめた。

「色々と面白い話をしているじゃあないか。」

そこにクリスタ王が入ってきた。

「あっ、まさか俺を親衛隊に入れるつもりか?人員が減ったからってそういう訳には…」

「それを知っていたから護衛を付かせたのだ。そしてもう貴様が親衛隊に入るような余地は無い。それと貴様と話がしたくて来た訳でもない。私は彼と話したがっていたのだ。」

コトはクリスタ王を睨んだ。暫く見てからまた喋り始めた。

「…どうして民を守らなかったのですか?」

「君はバルフデと戦っただろう。私もせめて助けたかった。しかし、兵士らの城での警備が強くなり過ぎて身動きできずにいたのだ。」

コトは黙ったものの、後に嘲るかの様にクリスタ王を鼻で笑った。

「…所詮…その程度だったのか。」

コトは城から去ろうとした。しかし、クリスタは呼び止めてコトに尋ねた。

「…ごまちゃんはそのままか?」

コトはごまちゃんの存在を思い出し、顔を赤らめてしまった。ごまちゃんの事を忘れてしまったのだ。この上なき恥を知った。

「君も同じだ。まあ、今回は許そう。…それで、ごまちゃんをどうするつもりか?」

コトは少し立ち尽くし、ごまちゃんを抱きしめた。悔しい顔をしていた。

「…ごめんね…。」

コトはクリスタ王達の方を向き、また城の方へと歩きだした。そして応えた。

「…また…お世話になります。ごまちゃんの脚を治してください。」

クリスタ王は頷いた。キットは舌打ちをしながらもコトに向かって喋った。

「は〜〜ぁあ。やっぱり代替わりの時期は近づいていたんだな。畜生!まっ、頑張りやがれ。」

コトは顔を上げ、返事をした。

「…はい!!」

凄い気迫だった。

「さて、そろそろ晩餐にでもしましょうかね。今夜は宴を挙げよう。」

コトは少し俯いてしまったが、クリスタ王が肩を叩いて慰めた。

「コト君。ごまちゃんは大丈夫だ。元気になったときにまた宴を挙げようではないか。」

「……。」

コトはまた無言になった。そのまま親衛隊隊舎へと入っていった。


コトが居なくなるなるといつの間にかそこは静寂と化したが、キットがクリスタ王に対して話しかけた。

「そう言えば、オーク達はどうなったんです?そのままにしているとヤバイですよ。」

「もう片付けた。バルフデの炎のおかげかな。住宅地が燃えてしまったのは残念だが、それと同時にオーク達が焼け死んだのがまあ良い。ここからのスタートは難航になる。貴様も少し覚悟しておいた方が身の為だぞ。」

「ほ、へええぇ…おっそろし。」

キットは顔を歪めながら話を聞いた。

そして、黒い雨は止むことなく降り続いた。

【お知らせ】

「ごまちゃんクエスト!」は諸事情により下記の通り休載します。

・6月8日〜6月21日

また、「ごまちゃんクエスト!」の外編を後に投稿しようと考えております。楽しみにしてください!

では!!( ´ ▽ ` )ノ

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