41! 絶望
竜の火炎は、付近を焼け野原にした。そして、城へと攻めて行く。滅亡の危機を都市グランは訪れたのである。
その付近の隊舎の室内の温度も上昇している。頭の中が空っぽになっていく。ごまちゃんはそれに耐えながらもジェドの方を見た。
「オイオイ。そこを退いてくれないかい?お嬢さん。俺様は今急いでいるんでな…」
ごまちゃんは彼を睨んだ。
「…断る。」
「ほお…」
ジェドはごまちゃんの応えを聞いて、強引にコトの方へと向かった。しかし、彼女の剣に邪魔をされ二、三歩分退いた。
「…ふん。やっぱりテメェは邪魔だ。そこまで贔屓されるほど、貴様は偉いモンじゃあない。せめて、現実でも見て亡くなりたまえ。それこそ、テメェの正式な運命なのだ。」
ジェドは威圧をかけながら彼女を睨む。彼女の首を掴み、壁に押した。
「あっ…あ…」
ごまちゃんはジェドを斬ろうとし、彼女の首を掴んでいる彼の右腕を豪快に切断した。しかし、途端に左腕から拳が迫ってきた。とても速く、腹部に直撃してしまった。
「…ハッ…」
「…所詮、要らない奴はこうやって足掻くものだ。外に捨てられた方が尚良いだろう。」
ジェドは彼女をの前まで引きずり、投げ捨てた。
「じゃあな。あの屑の部下よ…生きていたことでも後悔していろ…。」
ごまちゃんは落ちていった。自分ではゆっくりとしか感じない。普通は早く、儚く落ちるはずなのだ。
地に落ちそうな所でデミが抱えた。ごまちゃんは無事でもなかった。
ジェドはコトの方へと再び向いた。
「さてと…!?」
見てみると、鉱石が輝いていた。ジェドは焦ってしまった。
「くっ、クソ!!間に合え!!」
ジェドはコトの方へと走った。首飾りを取ろうとしたが、弾かれてしまった。
「間に合わなかったか。魔神が真面目にやらなかったからだ!!」
あの首飾りを取らなかった魔神を彼は恨んだ。後に鉱石はその光を吸収した。
「くっ、クソがぁぁぁ!!!」
そして、コトは目を微かながら開けた。
「……君は…………!!」
コトは即座に起き上がり、魔法を繰り出した。ジェドは反応できず、窓から出てしまった。そして、落ちていった。
外の様子を見てクリスタ王達の部下らは絶望した。目の前の殺風景を見ることで、死しか待っていないと言われているようで、極限の状態に至っていた。
「も、もう終わりだ…俺達はあいつらの奴隷になるんだ…いつ死ぬかも分からずにいきていられるのか…」
「一生こき使われるのはあり得る。歴史の抹消を目的に皆殺しもあるかもな。」
「おしまいだ…俺達があんなドラゴン達に勝てるはずがない…」
「デミさん達でも一匹でやっと…うわぁぁぁ……」
涙で顔を大いに醜く変貌させた。そこに、クリスタ王とクレタが居た。
「く、クリスタ王!!このままでは、この城が陥落してしまいます!!お逃げください!!せめて、王だけでも…」
クリスタ王はにやけた。
「心配するな。」
「王…まさか、」
「まさか?死にに行くつもりは無い上、戦場に行く必要もない。……今から、転機が訪れる。」
部下達にはその意味が分からなかった。
「やっ、やっ…と、一匹…。」
デミはバルフデを一体倒した。しかし、デミの身体は限界に至った。
「うっ………」
彼女は炎の中、そのまま目を閉じた。
「くっ、畜生が!!!」
ジェドは這い蹲っていた。目の前にはコトの姿が見えた。シアンのマントを身につけている。コトは辺りを見回して誰かを探していた。
見回すと、ごまちゃんが仰向けに倒れていた。そこに一体のバルフデが近づき、ごまちゃんに火を吐こうとした。それに気づき、コトは彼女を抱いて攻撃を避けた。
「ごまちゃん?」
「……あっ、コト君?…此処はどこなの?教えて…」
ごまちゃんはすっかり元気を無くしていたので、コトは急に接吻をした。少し長めだった。
「ごまちゃん?起きた?」
コトは微笑んだ。
「……コト君?まさか…。」
コトはただ頷いた。
「コト君!!良かった!!」
ごまちゃんはコトに突然抱きついてきた。しかし、再び竜がこちらに火を吐こうとした。
「危ない!!」
コトは気づいた。そして、竜は炎を吐き始めた。




