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ごまちゃんクエスト!  作者: コグマ
第3章 グラン編
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29! 合流

「すまんが、起こしに行ってくれんか?もうそろそろで来るかも知れんし、パパも準備を済ませなきゃダメだし…」

「アァッ!?テメェが拾ってきた奴だからテメェで始末しとけよ!」

「まぁ、近くの部屋だし。起こしに行くぐらいいいんじゃないか?」

「私のパジャマを勝手に奪っておいてよく言うよ!」

少女は部屋を出ていった。

「奪ったんじゃなくて、ちゃんと許可を得てやったのに、こりゃ面倒だな。」


寝ているコトに一歩ずつ影が迫ってくる。少女が近くに立っていた。

「起きろ!」

コトは布団を取られた。その所為か、一瞬で目が覚めた。起きて立ち上がったら、コトはいつの間にか青いパジャマになっていた。ヘソも出ており、小さい。

「今直ぐ着替えろ!ガキ!」

とんでもない少女がコトに命令してきた。コトは察したのか少女に言った。

「だったら、部屋から出て!」

「お、おう。」

少女は部屋から出ていった。その間にコトは着替えをした。首飾りと腕輪は忘れずに着用した。部屋の外に出ると、少女が待っていた。

「終わったよ。ほら、パジャマ。」

少女はパジャマを受け取り、コトを睨んでから奥の方へと行った。

「何だよ、あの子。」

コトは少し笑った。そして、店の方へと行く。


そこは昨日の店と似た…いや、同じ感じがする。明朝の店はなんとなく清々しい気分になる。そこに、ペイジがやってきた。

「ぺ、ペイジさん!?」

「やぁ、気がついたか。そう、ここは私の店。伝説の勇者やデミ隊長の、行きつけのお店だよ。彼らもここで世話になったよ。ここを拠点としてやっていたんだからね。」

「…ん?朝飯、どうしようか。僕が作ります?」

コトの腹の虫が鳴った。

「別いいけど…嫌なら私が料理するよ。」

「助太刀無用。いけます。」

「ただ、使うならそのキッチンの中の材料だけ使ってね。一気に使わないでね。」

そう聞きコトはキッチン内の料理を見た。豪勢な材料が多くあり、調味料もしっかりと分けてあるので、これなら美味しい物を沢山作れるが、肉は流石に飽きたので、卵、牛乳、綺麗な食パン等を見分けて取り出し、ボウル等の器具も前もって出しておいた。

「さてと、三人前、始めるか…はぁ…」

コトはさりげなくため息を出した。


ペイジ達は、呑気に過ごしていた。外にはまだ人影が無く、静かだった。

「そう言えば、ごまちゃんとやらはまだ来ないようだな。一体どうしているんだ?」

「あっちの仕事だろうが。あっちが好きなようにしてりゃあいいだろ。」

「それもそうだな…」

ペイジ達は静かに朝ご飯を待った。

「お待たせ!」

「おっ、出来たか。早いのお。」

「いや、コッチですよ!」

玄関にはごまちゃんが来ていた。

「おお、今来てくれたのか!コトはよ来い!」

「お待たせ…ごまちゃん、おはよう。」

コトは微笑みながら、ごまちゃんに挨拶した。

「お、おはよう!」

ごまちゃんもすかさず、挨拶した。ペイジはコトに尋ねた。

「コト君、それは一体…」

「中でも甘いトーストに仕上げておきました。」

一人につき二枚分のトーストを作った。コト達は一人一枚、おまけに三人分のコーヒーらしきものが、テーブル上にあった。

「何だこれ?甘くて、フワフワしてやがる。コイツの性格が上手く表れてんじゃねぇか。」

「…売れる。」

ペイジは何かを企む様な笑みを浮かべた。ごまちゃんも早速食べてみる。

( …!?…これって、フレンチトースト!?凄く美味しい! )

「さてと、二人でそのコーヒー…どの様にして飲むのかの?」

「ごまちゃんにあげるよ。」

「え、あぁありがとう!」

ごまちゃんは動揺しながらも、コーヒーを受け取った。

「さてと、ここで食べ切ったお二人さんはこのテーブルから離れてくれないかな?秘密があるんで。」

「あぁっ!?ざっけんな…」

「分かった。落ち着け。」

二人は渋々と部屋を出ていった。

「…ごまちゃん、昨日の手紙読んだ?」

「読んだけど…」

「ごまちゃん、言い難いけど、言っておくよ。」

コトは、ごまちゃんに向けて言った。ごまちゃんは息を呑んだ。

「君が、俺の魔力を使ったから、これからはごまちゃんは俺の魔力を共有していかなきゃならなくなった。もう自力では魔法を出せない。そういう質になったんだ。」

ごまちゃんは驚きで黙ってしまった。

「…どういうこと?」

「俺の魔力で魔法を放った。つまり、俺の魔力に君の身体が慣れてしまったんだ。でも、そっちの方がいいかも知れない。俺に頼るんだからね。」

「そんな…治す方法は無いの?」

「無いさ。でも、これで強くなれたのは確かでしょ。俺は知っている。必死に俺の為に戦ってたんだから、その気持ちだけでも、嬉しいよ。」

ごまちゃんはコトの言葉を聞き、少し嬉しかった。

「…ありがとう。コト君。」

ごまちゃんは少し悔しがりながらも、コトの為に笑顔を作った。

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