2! 魔王の子息
山の中、一人の女がさ迷い何かを探す。乾燥しているため、一刻も早く探して抜け出したい。そう思っている。
ごまちゃんは足を、腕を、積極的に動かしていた。後ろにはスライムが沢山いた。
「何!?訳分かんない!」
数分前、ごまちゃんは魔族の底辺に値するオークの姿を一度目にした。
「あのオーク達、ヨダレ出過ぎでしょ!ここは絶対に逃げなきゃ!」
と思った瞬間、辺りの様子がおかしくなった。なんとスライムがオークを襲っていた!意思を持たないスライムは次々とオークの体を溶かしていった。そして
今度はごまちゃんの下にも…。
そして今に至る。
「誰か助けて!!」
と叫んでも誰もいる筈がない。もう体力は持たず、逃げ切れないと思った。
その時、地震が起きた。そして大岩が転がってきた。ごまちゃんは、必死に避け、大岩はスライムにぶつかり、スライムを跡形も無く散らしてしまった。
「…へへっ、疲れちゃった…。」
少し驚いた。しかしごまちゃんはまた登り始めた。
平地に着いた。まだ山頂ではないが、目の前に宝箱があった。ごまちゃんの目は輝いていた。一般のRPGでは、宝箱の中が空っぽであることはないんだと、そう思い開けた。中は…
「ふぁ!?」
「…ん?」
ごまちゃんには予想外だった。中に人が入っているとは流石に思わなかった。箱の中にいた男は咳をしながら箱から飛び出た。そしてごまちゃんに言った。
「誰?」
「こっちが聞きたいわ!!」
「あっ、うん。俺の名前はコト。魔王の子息だよ。」
「ふぅ〜〜ん……えっ、まっ、魔王の子息ぅ!?」
「そ。」
驚いた。これは名高い。いや、これは『利用』できる!!そして、ごまちゃんは率直に言った。
「私の僕になれ!」
「…は?」
男は刀剣を出し、剣先をごまちゃんに向けた。
「それは御免だね。魔王の子息として断る。その上、君の名前も知らないし。」
「わ、分かったってばー!私の名前は駒玖 裡沙!ごまちゃんってよんで!」
ごまちゃんは焦った。突然、剣を出して剣先を向けるとは思いもしなかった…。1つ疑問があったのでごまちゃんは尋ねた。
「どうやってその剣を出したの?」
コトはすぐに、
「この鉱石からだ。次の魔王の代が代わる時の儀式で渡されるんだ。名前もちゃんとある。『デュアルデルタ鉱石』っていうんだ。」
「あのさぁ、魔神について分かる?」
そう聞いた瞬間、コトは黙り込んだ。そして
「付いてきて。」
と言った。