15! オークの巣窟
ここはただの暗闇ではないと確信したコトは、自ら潜入を始めた。灯りがついていて、分かりやすい出入り口、そして何よりこの死体の部屋、絶対にオークの巣だと思って、急いでコトは深部へ行く。
「酷いな。沢山の人を弄んで…こりゃあごまちゃんも怖がる訳だ。」
コトはオークの笑い声を聞き、それを頼りにその部屋へ近づいていった。そこにはオークが飲み食いして話をしていた所だった。
「くっふぅーん…いいぞ強い奴らが出て行ったからあそこは女と飯を確保するだけでいいんだ、クッハッハハッハッハッフ〜ハッハッハッハッ!」
「嬢ちゃん達ぃ〜〜、待ってろよ!オラ達が遊んでやったるぜ〜!」
「もうあそこには軍勢送ったからなぁ…楽しみだ。」
三匹いた。コトはほっとした。もう来ないということを知って、コトは気づいた。
( そこまで知っているとは…こいつら情報係か?だったら倒した方が良いか。 )
コトはまず一匹の背中を斬った。
「うぎゅあああぁぁぁぁ!!」
一匹がぱたりと、倒れた。
「どうした!…ぐああぁぁぁ、がぁ…」
残りの2匹もぱたりぱたりと倒れた。緊急の警鐘も無いのでオークは叫ぶことで仲間を集めようとした。しかし、コトは直ぐにそこから逃亡した。
更に深部へとコトは順調に進んでいった。そこにはオークの王らしき、つまりリーダーよりも格上の存在がいた。
「…上には上がいたか…。止めるにはあいつを倒すしかないな。」
( あれ?何か苦しくなって… )
息が上がってきた。呼吸が乱れていく。身体が熱くなり、今度はコトが倒れてしまった。
地上では砂が固まり、そこらに短い草が生えてきていた。そこに飲料を持ってオーク達の巣へと向かう女性がいた。
( コト君…!! )
そう思い、ごまちゃんは決心して巣へと入っていった。中は思う以上に汚く、臭かった。帰りたいと思いながらも奥に潜入した。持っている武器を構え、オーク等に備えた。様々な部屋に行ってみた。だが、オークの気配は全く無かった。コトが遣っ付けてくれたとそう思いたかった。そう思うのも束の間、オーク達が集まっている様子が次の部屋で見えた。
( 何だろ?オーク達が盛り上がっている… )
少し近づいてみて、中を見ていたら、そこにはコトの姿があった。おまけに、左腕を抱えている。コトはふらついていて、顔が赤くなっている。
「所詮、魔王なんざこの首輪なしでは何もできない。傲慢な奴だ。滑稽。」
コトは放心状態で倒れたが、王らしきオークがコトの首飾りを持ちながら、コトを踏みつけた。
「ふふふ…雑魚は引っ込んでろ!!」
そのオークが再びコトに踏みつけようとした。
( ごめん… )
その瞬間だった。
「ぐぎゃああ!」
コトの身体は潰れなかった。そのコトの目の前にはごまちゃんがいた。オークの足の裏に剣を刺したらしい。おかげでごまちゃんはオークの血を被ってしまった。
「…バッ、馬鹿な、この儂がぁ…」
ごまちゃんはコトを見ないで直ぐ、オークへの攻撃を続行した。
まずは脚を突進して斬り、後ろに回り込んで脹脛を二度、オークが倒れた時に回避し、腹に大きな傷を4つ付けた。