表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ごまちゃんクエスト!  作者: コグマ
第2章 オーク編
12/90

11! 次期魔王ジェド

コトの周りの光は消えていった。ごまちゃんはコトの笑顔を見てからコトの背後をじっと見た。

「…誰かいるの?」

コトは少し勘付いた。まさかと思った。ゆっくりとコトは後ろを振り返った。そこには、紅の眼を持った白髪の男の姿があった。

「…黒くそんなに綺麗な髪で白黒の服、色白の奴だからコイツかなと思ったら…ビ〜ンゴじゃねぇか!」

「……。」

コトは彼を見ていた。

「……ジェド兄かよ…。そんなに負のオーラを醸し出しても分かってるよ…。」

ごまちゃんは少し嫌気を察した。

「えっ、えっ?アンタ誰?」

白髪の男は手をごまちゃんの方に向け、ごまちゃんを吹き飛ばした。

「ごまちゃん!?」

コトは直ぐに背後に回り、ごまちゃんの体を受け止めた。ギリギリ、ベンチに当たる所だった。

「フン、どうやらそいつはテメェの新妻って所か!?

リリーを用意してやったのによ…あいつも殺して気がスッキリしたか!?コト…やっぱりテメェは死ぬべきだ…おい!出て来い!魔神!」

と、ジェドが叫んでも物陰には魔神がいなかった。ジェドは激怒した。

「あの野郎!!どこ行きや…」

隙を逃さずコトが切りかかって来た。ジェドは見事に空中にジャンプした。

「コト…テメェェェェェ!!」

コトはジェドに言われても無視した。すると宙に浮いているジェドの上から一人、降りかかって来た。

「コト君!避けろ!」

そう言ったのはクリスタ王だった。コトは言われた通りに避け、クリスタ王はジェドの後頭部を掴み、地面に叩き落とした。

「観念しろ、次期魔王…ジェド!!」

「ジェド…やっぱり…」

コトは自分がジェドの身内である事を隠すが、ジェドは言った。

「…違う、俺の名は確かにジェドだが…『今は』次期魔王じゃねえ!」

「…!?どう言うつもりだ?」

クリスタ王が問うと、ジェドは語り続けた。

「そこにいる、白黒の奴が次期魔王、コトだ!」

クリスタ王は驚きを隠せなかった。

「しかし、俺達の町を攻撃した奴は、確かに次期魔王、ジェドって言った筈だ…嘘を吐くな!」

「その首に飾っている『デュアルデルタ鉱石』が証拠だ!」

クリスタ王は、コトの顔を威圧の籠った目で見た。

「確かに…デュアルデルタ鉱石は魔王の儀式で受け継がれる筈だが、彼が持っているのは同一の…」

ジェドは隙を見てクリスタから脱出し、右手の人差し指をクリスタ王の額に指した。

( しまっ…! )

瞬く間に、ジェドは軽く電流を流した。

「うっ…くっ…ぐぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ほぉう、一撃でやられなかったとはな…見てて愉快だよ。」

クリスタ王は頭を手で支え、下ろした。悲鳴が続いた。

「今回は珍しいからな、ここまでにしといてやる。なぁコト。次は潰す…」

ジェドは後ろを向き、ゆっくり歩いた。

「ジェド兄…」

「…あぁ寂しいか、今頃遅ぇよ。」

「じゃあね…」

不自然だったので、ジェドは急いで後ろを振り返った。すると、コトがデュアルデルタ鉱石をジェドに向けていたのである。

「テメェ!」

刹那、ジェドの姿が消えてしまった。ごまちゃんはコトに直ぐに言った。

「やったの?」

「…いや、誰かに連れて行かれた…と思う。」

コトは落ち込んだ顔をした。

「…ジェド兄と会うとやっぱり、良い気がしない…」


ある地帯、新たな魔王の城があったらしい。そこは今では別荘の様な感覚でいつも魔王の親族がやって来る。コトを除いて…

「お帰りなさいませ。ジェド王。」

「魔神、テメェどこ行ってた!?」

「まあまあ。でも、妹さんが今日はやけに忠実になっているね。」

「ジェド王って言うのは初めてだ。顔が長い髪で隠れているぞ…」

そう言い、ジェドは妹の髪を寄せた。彼女はジェドと同じ紅に眼を持っている。髪の色はコトと同じ黒。

「どうだ?コトを殺す気になったか?奴を殺せば、お前も生きていられるかもな。魔族としては認めてやろうか。」

「ジェド王…」

「分かっているだろう…コトを殺せば…」

「もう止めてください!!」

ジェドは眉間に皺を寄せた。

「このままだと私達は限界です!魔神に魂を送り続けて、とうとう私達の魂をも僅かながら食べられています!そうなったら、兄王も、仲間も、全員死んでしまいまあがっ!」

ジェドの妹が泣きながらジェドに言っても、その言葉はジェドから彼女を離したようなものだった。魔神は、彼女の頭を持ちながら、ジェドに尋ねた。

「この子、どうするん?」

「…シルヴァ、貴様はもう要らん。丁度コトの所為で苛立った所だ。コイツをたとえコト達が拾ったとしても、足手まといになるだけだ…捨てて来い。」

「あいあい、さー。全く、ジェドはいい奴だな、コイツを…生かしておくなんて。」

シルヴァは叫んだ。

「兄王!気づいてください!兄王!兄っ……」

扉を開ける前に、魔神はシルヴァの腹にパンチを入れた。シルヴァは少し血を吐いた。そして、扉の奥へ魔神は向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ