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J/53  作者: 池金啓太
三十一話「その場所に立つために」

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状況の差

場所は変わって喜吉学園、静希達が湖で徹底的に索敵をしている頃にアイナたちはその日の授業を終えいよいよ待ちに待ったお泊り会を実行に移すことにしていた


帰りに菓子やジュースなどを購入しアイナたちは先に静希の家で待ち、東雲姉妹は荷物を持った後で静希の家に向かっていた


とうとうこの日が来た


東雲姉妹からすれば待望の日だ、待ちに待ったお泊り会、静希の家に泊まることができる絶好のチャンスである


当の本人がいないのは仕方がないが、普段静希が生活している場所に泊まることができるというのは東雲姉妹からすればかなり嬉しい展開だった


「さて・・・ここまでは来ましたね・・・」


「えぇ、ここからが勝負です!」


東雲姉妹は静希の住むマンションの前までやってきていた、本人がいないとわかっていてもここに来ると妙に緊張してしまうのである


入り口部分のインターフォンに部屋番号を入力して鳴らすだけでいいのだが、どうしたものかと悩んでしまっていた


普通に押せばいいのだろうがこれから静希の家に泊まりに行くという事実が二人を思いとどまらせていた


そんなことをしていると後ろから誰かがやってくる、もしかしたら住人だろうかと思い振り返るとそこには外国人の女性が立っていた


あまり見る機会の少ない外人に東雲姉妹は不思議がっていたが、その女性は東雲姉妹の顔を見るや否や若干眉をひそめていた


「・・・ひょっとして、君たちがシノノメ姉妹か?」


「え?私達を知ってるんですか?」


「・・・失礼ですがどちら様ですか?」


自分達の名前を呼ばれたことで東雲姉妹は同時に警戒態勢に入っていた、見ず知らずの外国人にいきなり声をかけられたのでは警戒もする、この反応は非常に正しい反応だと言えるだろう


彼女が日本語を話しているというのも警戒の度合いをあげていたのだが、その警戒はすぐに解かれることになる


「初めまして、カレン・アイギスだ、アイナとレイシャの保護者と言えばわかりやすいかな?」


「アイナちゃんの?」


「レイシャちゃんの?」


二人が警戒をとくと、カレンはあらかじめ預かっておいた鍵でフロントの鍵を開く


東雲姉妹は一瞬不思議そうに首を傾げながらもカレンの後についていくことにした


「あの・・・カレンさんはどうしてここに?」


「シズキから頼まれていてね、今回の君たちのお泊り会の監督役というわけだ」


監督役という言葉に東雲姉妹は若干安心したような、少しがっかりしたような気分になってしまう


なにせ大人がいるという事は好き勝手できなくなるという事でもあるのだ


元より静希の家でそこまで暴れるつもりなどはなかったが、少しテンションをあげるくらいはしておきたかった、だが大人がいるとなるとそういう事は控えたほうがいいかもしれない


そして何より、東雲姉妹はほんのわずかに感じ取っていた


そう、カレンから人外の気配がするのだ


東雲姉妹は静希やエド達ほど人外に対する察知能力は高くないのか、カレンの中に人外がいる程度の事しか把握できなかった


「あの・・・カレンさんはエルフなんですか?」


「わかるか?一応私もエルフだ・・・もう仮面は着けていないがね」


「どうしてですか?エルフが仮面をつけるのは普通なのではないんですか?」


今まで出会ってきたエルフは皆仮面をつけていた、少なくとも東雲姉妹の中ではエルフ=仮面をつけるという認識が出来上がっている


その認識が正しいかどうかはさておき、彼女たちにとってカレンというエルフは特殊な存在であることは確かだ


「私はすでに掟に縛られていないんだ、君たちもいつか分かるようになるだろう」


「・・・そう言うものですか・・・」


「・・・よくわかりません・・・」


東雲姉妹にとって仮面は自分の体の一部のようなものだ、だからこそそれを外すという事のイメージがわかなかった


彼女たちエルフは普通に服を着るのと同じような感覚で仮面をつける、仮面がないと落ち着かないのだ


長い間身に着けているとそれがないと喪失感を感じることが多々ある、そう言う類の感覚が仮面にはあるのだ


その仮面を外すことの意味、東雲姉妹はまだ思いつけないようだった、そのあたりはやはり幼さという事だろう


「まぁあまり気にしなくていい、私は君たちに食事を作りに来ただけだ、それ以外はいないものと思ってくれて構わないよ」


「そうですか・・・お世話になります」


「よろしくお願いします」


夕食のことは心配しなくていいとアイナとレイシャが言っていたが、こういう事だったのかと理解して東雲姉妹は頭を下げる


にぎやかな夕食になるかもしれないなとカレンは思いながら静希の家のインターフォンを鳴らした











日が暮れ始める頃、静希達はようやく目撃証言のあった場所全てを索敵終了していた


だがやはりというか予想通りというべきか、その場に奇形種らしき生物は確認できなかった


目撃証言があったからと言ってその場にいつまでもいるとは最初から思っていない、それよりも今重要なのは『その場所にはいない』という事がわかったことである


すでに鏡花の能力で仕切りを作り、もう生物がその場にはいる事はあり得ない、つまりは探した場所以外の場所にいるという事を確定させることができているのだ


時間はかかるが、こうやって虱潰しにしていくしか確実に目標を見つける方法はない


「どうする鏡花?今日は引き上げるか?」


「・・・もう少し活動できるけど・・・笠間さんたちはどうしますか?引き上げるのであれば桟橋まで戻っても構いませんけど」


最初からあなたたちがいてもいなくても変わらないと言われているようで笠間達は若干不快に思っているかもしれないが、実際自分たちが今邪魔になっているのは間違いないのだ


それを理解しているからこそ笠間達はあえて強く言葉にするようなことはなかった


「君たちに任せるよ、私達は十八時までにホテルに戻れればいいから」


「そうですか・・・どうしようかな・・・」


実際さっさと自分たちだけで行動するなら一度桟橋に戻ったほうがいい、だがその前に一度静希達と連絡を取っておくべきだろうかと鏡花が迷っていると、視界の外側から独特の機械音と水の音が聞こえてくる


鏡花がその音の聞こえる方に目を向けると、水上バイクを駆り自分たちの下へとやってくる静希と明利の姿があった


どうやら静希達も自分たちと同じように一度打ち合わせをするためにやってきたのだろう


「静希!首尾はどう?」


「今のところは順調だ、けど日が落ちて気温と水温が下がってきたからそろそろ限界かもな、あと一回できるかできないかってところだ」


実際に索敵するには明利が水の中に入る以外に方法はない、その為に明利の体を気遣わなければいけないのだ、日が落ち気温も水温も下がるような状況で何の対策もなしに水の中に入れるわけにはいかない


「わかったわ、一度上がってきて、これからどうするか決めましょ」


「了解、ロープかなんかくれるか?こいつを近くに止めておくから」


その申し出に鏡花は近くにあった太いロープを静希に渡す、簡単に水上バイクに結び付けたところで静希は明利を抱えて鏡花たちの待つ船の上に登ってくる


「どうよ静希あの水上バイク」


「いやぁ結構楽しいぞ、後でお前もやってみろ、やり方教えてやるから」


静希はそんなことを言いながら笑っているが、明利の表情はあまり良くない、どうやら他に客がいないのをいいことにだいぶ荒い運転をしたようだった


「静希、報告して、現状どんな感じかしら?」


鏡花の言葉に静希はふざけ半分だった雰囲気を取り払い、すぐにまじめな状態に切り替える


「今のところ索敵自体は順調、このペースでいけば二日目の夜までには湖全域を索敵下に置けると思う、区画分けがもっとスムーズに終わればの話だけどな」


静希が一瞬笠間達の方に視線を向ける、こいつらがいなければもっと手早く終わるかもしれないなという意味で視線を動かしたつもりだった


そして鏡花もその視線の意味を気づいている、だがそれを口にするようなことはなかった


「笠間さんたちは十八時までにホテルに戻れればいいんだって、時間的にそろそろじゃない?」


「そうだな・・・ひとまず桟橋に戻ってその後俺たちだけで行動するか」


夏という事もあって日が落ちるのが遅い、十八時までにとなると制限時間はかなり限られる、もう一回分の索敵もできないくらいの時間だ


「なら私と明利を交換しましょ、そのほうが早く動けるし」


「いいのか?あれ結構濡れるぞ?お前水着着てないじゃんか」


ちょっとくらいいいわよと鏡花は特に気にした様子もなかった


時間的にはすでに明利の索敵はできない、となれば明利が水上バイクで移動し続けることに意味はない


鏡花があちこち移動してあらかじめ区画分けをするためには小回りの利く水上バイクに乗ったほうがいいだろう


「私はそれでもいいよ、もう水には入らないだろうし」


「そうだな・・・じゃあ陽太と明利はこのまま一度ホテルに戻って先生に報告しててくれ、俺たちはぎりぎりまで行動してる」


「オーライ、気を付けろよ」


静希と鏡花は下にある水上バイクに移動し、繋いでいたロープを外して移動できるようにするとゆっくり船から離れていく


「明利!着替えてしっかり体温めておけよ!」


「うん、気を付けてね!」


静希と鏡花を乗せた水上バイクはゆっくりと船から離れていく、その間に陽太と明利そして笠間達を乗せた船はホテルにほど近い桟橋の方に戻っていった


「あの人たちはどうだった?正直なところ」


「下心が見え見えね、分かりやすいことこの上ないわ、どうしても奇形種を捕獲してほしいみたいね、一応無理って言っておいたけどたぶんまだあきらめてないわ」


「いやだねぇ・・・研究者ってやつはどいつもこいつも・・・」


研究者は検体が見つかれば欲しがる、それが珍しいものであればあるほど喉から手が出るほど欲しがるのだ


静希だってその理屈がわからないわけではない、自分のやりたいことをするために手に入れたいものがあるという事は理解できる


静希が力を求めて銃を手に入れようとしたのと同じ理屈だ、だが研究者のそれはどこか狂気じみている時がある、以前のザリガニの時もそうだった


「区画分けはどうする?ってかどれくらい終わってるんだ?」


「まだ三割くらいよ、可能なら今日中にもう終わらせちゃいたいけど・・・たぶん無理ね、なんとか明日の昼前には終わらせるわ」


これだけの広さの湖を区画で分けていかなければいけないのだ、その労力は計り知れない


以前のダムの解体の時のような大質量変換ではないとはいえ、その距離が問題なのだ


鏡花の能力も以前よりはかなり広範囲に及ぶようになっているとはいえ、それでも高い集中力と精神力が必要なのは言うまでもない


今回の鏡花にかかる負担が大きいことがよくわかる、その分手助けができればいいのだが、生憎静希はそんな技術は持ち合わせていないのだ


「あんまり無理するなよ?今日の活動限界は二十一時までにしておこうぜ」


「あら、てっきり徹夜させるつもりかと思ってたけど?実際そうでもしなきゃ時間が足りないわよ?」


「パフォーマンスが落ちるよりましだ、まだ一日目だぞ」


六時間かからずに三割の区画分けが終わったのであれば十分二日目には全域の区画整理は終了する、後は明利の索敵がどれだけ広げられるかにかかっているのだ


幸いにして水の流れのおかげで自動的に索敵範囲は広がっている、だが湖というのは水の終着点ではない、水は流れやがて海へと移動していく


だからこそ鏡花の区画分けが必要なのである


どこにいるのかを明確にした後、初めて本格的な対応が始まるのだ


「まぁ気長に行こうぜ、今回はちょっと厄介そうだからな」


「あんたもそう思う?なんか嫌な予感がするのよね」


「水の上って時点で俺はもう戦々恐々だよ」


水にあまりいい思い出がない静希としては、水しかないようなこの状況は自分の中の警鐘を鳴らすには十分すぎるものだった


だからと言って物怖じしていられるような場合でもない、一刻も早く水から離れるためには早く仕事を終わらせなくてはいけないのだ


「それでは女王陛下、どちらに向かいましょうか?」


「まずは湖の中部へ、そこで南北を分断するわ、そこから細かく区画分けしていく」


「アイアイマム、それじゃ掴まってろよ!」


静希は水上バイクを操りひとまず湖の中部へと向かうことにした、湖の南北を分断する、口にすれば簡単だがそれをやるのは容易ではないだろう、なにせこの湖の中心部は対岸まで七キロ近くあるのだ、そんな距離をいくら鏡花でも容易に分けることができるはずがない


かなり時間を必要とするだろう、静希が止めなかったらそれこそ本当に徹夜したかもしれない


彼女ならやりかねないなと思いながら静希は水上バイクを操る


「ねぇ静希、今ウンディーネは明利の中にいるのね?」


「あぁそうだ、だから万が一何かあっても対応してくれるだろうさ、陽太も一緒にいるしな」


実際水の精霊であるウンディーネがいれば大抵のことは何とかしてくれるだろう、さすがに転覆した船を元に戻すことはできないかもしれないが、各人員を守ることくらいはしてくれるはずである


「じゃあメフィは今のところあんたと一緒にいるのよね?」


そうだけどと静希が言うと鏡花はよしと頷いて静希の肩を叩く


「メフィに頼みたいことがあるんだけど、いいかしら?」


「あいつに?一体何を頼むんだ?」


「湖の水を少しの間押しのけておいてほしいのよ」


鏡花の提案に静希はあぁなるほどと納得した


鏡花の能力は変換する場所と自身の距離があればあるほど集中力と精神力が必要になる、だからこそ湖の岸から対岸へと分断するためにはかなり苦労するのだ


だが湖の中心地、岸と岸の丁度真ん中で能力を発動すれば、岸までの距離は短く済む、もちろん中心から両方にめがけて能力を発動しなければいけないが、鏡花の負担自体は抑えられるだろう


『という事だけど、どうだメフィ、やってくれるか?』


『シズキ以外のお願いはあんまり聞きたくないんだけどなぁ、少しの間ってどれくらいよ?』


メフィからすれば契約者以外の人間からの頼みは聞くようなものではないだろう、そもそも契約していない人間の言うことなど聞く義理は無い


それでも耳を傾けるあたりそれなりにメフィも鏡花のことは認めているのだ


「鏡花、具体的にどれくらいの間水を押しのけてればいいんだ?」


「そうね、一分もあれば十分よ、後は私がやるわ」


一分


そんな短い時間で南北を両断できるとは思えないが、鏡花には作戦があるのだろう、それなら静希としても口をはさむつもりはない


後はメフィの説得をするのが自分の仕事だ


『どうだメフィ、一分だってさ』


『ん・・・まぁ一分くらいならいいわ、今ちょうど欲しいソフトがあったのよ』


どんどん俗物的になってくるなと思いながらも、メフィは鏡花のお願いを聞いてやるようだ、無論代価があるのは仕方がない、なにせ彼女は悪魔なのだから






「それじゃ頼むわ、押しのけたらその間に私が中に行くから、ちゃんと保持しておいてね」


「はいはい、言っておくよ」


静希がトランプの中にいるメフィに頼むと、彼女は能力を発動する


すると湖の水がメフィの念動力によって徐々に押しのけられていく、水深七メートル程まで水を完全に押しのけ、湖底が見えるようになっていた


まるで水が生きていて、ある一点だけから逃げようとしているかのようだ、見ていてかなり奇妙な光景である


かなり強引に力をかけているのか、水が元に戻ろうとしてうねり、飛沫をあげながらも押しのけられるという状況になっている、本当に細かい作業は苦手なんだなと実感する中、静希はその空間のギリギリまで水上バイクを寄せ、鏡花が飛び降りることができるようにしていく


そろそろ限界だなと理解し、今度は邪薙に頼んで障壁の足場を作ってもらう


「ありがと、それじゃ行ってくるわ」


鏡花は障壁の足場を伝って水のない空間の真上に来ると、湖底へと飛び降りた


湖底に着地した瞬間鏡花の足が思い切り沈み込む、どうやらこの辺りの湖底は泥に似た性質を持っているようだった


「うっわ・・・靴脱いでから入ればよかった・・・」


そんなことを言いながら鏡花はためらわずに能力を発動する、まずは足場をしっかりと固め、周囲に押しのけられている水から自分の体を守るように筒状のシェルターのようなものを作り出す


どうやらあの中で作業をするようだった、なるほどあれならば水が元通りに戻っても鏡花は問題なく行動できる


本来の湖面より一メートル以上高く作られた筒状のシェルターを見て静希はやはり変換能力はかなり汎用性が高いなと感心してしまう


「もういいわよ!あとは私がやるから!」


鏡花の声が聞こえてくるとメフィは能力を解除したのか、不自然な動きをしていた水は元に戻ろうとしていく


筒状のシェルターをあらかじめ湖面よりも高くして置いたおかげか、鏡花の下に水が届くことはなく、鏡花は集中できる環境の中ですでに作業を始めていた


静希が待っている間にもいくつもの支柱が作り出され、その支柱の間に網が張り巡らされていく、これだけの距離を隔離するのにどれだけ時間がかかるだろうか、日はもう沈みかけている、そろそろいったん引き揚げたほうがいいように思えた


そんなことを考えていると静希の携帯が震えだす、どうやら明利からの連絡のようだった


「もしもし、明利か?」


『うん、今先生に報告が終わったところ、そっちはどう?』


「鏡花が今本格的に作業を始めたところだ、南北の分断だけで・・・そうだな・・・大体一時間くらいか?」


今の鏡花の作業時間から見ても南北を分断するだけでそれくらいの時間はかかる、いやその程度の時間で済むのだ、そのあたりはさすがというほかないだろう


これだけの距離がありながらも作業が一時間程度で済むのであれば、それこそ区画分けも予想より早く終わるかもしれない


『そうなんだ・・・あと先生がね、日が落ちたら水の中に入るのはダメだって、だから索敵は昼間じゃないとできないかも・・・』


「ん・・・まぁ日が落ちると気温も水温も一気に下がるからな・・・わかった、夜のうちに最低限の区画分けだけしておかないとな」


今日終わった索敵はあくまで目撃情報のあった場所だけだ、明日の内に南北両方の索敵を終わらせるためにはもっと効率よく行わなければいけないだろう


その為には今のように日が落ちかけている時間に区画分けをするほかないのである


今日の夜の間に南の区画分けを、そして北の区画分けは明日明利が南の索敵をしている間に行いたいところである


上手くいけば明日の午後には区画分けと索敵も終わらせられるだろう

その前に目標を発見できれば、適宜対処していくことになる


「ところで笠間さんたちの様子はどうだった?なんか不満そうにしてたか?」


『ん・・・表面上は普通にしてたけど、ちょっとピリピリしてたかな、もしかしたら何かするつもりかも』


明利の言葉に静希は眉をひそめた、静希や鏡花程ではないにせよ明利の感覚というのも案外バカにならない


特に感情の機微に関していえば明利のそれは優秀だ、感覚的なものでしかないが的確に相手の感情の動きを察知できる


その明利の感覚が何かあるかもと言っているのだ、彼女の言う通り何があっても不思議はないだろう


「一応城島先生にもそのこと伝えておいてくれるか?もしかしたらそれなりの対応をしなきゃいけなくなるし」


『わかった、伝えておくね・・・今の所大丈夫?もうすぐ日が暮れるけど・・・』


「まだかかりそうだな、とりあえず南側の索敵はガンガンやっておくから、それが終わったら一度戻るよ、遅くても二十一時には戻る」


タイムリミットは二十一時、今日の活動限界として静希が決めた時刻だ、明日のことも考えるとそのあたりで切り上げておいた方がいい


また明日は夜明けと同時に行動開始することになるのだ、可能な限り切り詰め、なおかつ余裕を持って行動しなければいけないだろう


なんだったら先に食事とかを済ませておいてもいいぞと言伝し、静希は通話を切る、後は鏡花がどれだけ早く作業を終えることができるかにかかっている


自分にできることは待つことくらいのものである


今日は特に何があるかというわけではありませんが追加投稿したくなりましたというわけで二回分投稿


物語を加速するために必要だからね今日が何の日とかは別に関係ないからね(棒読み)


これからもお楽しみいただければ幸いです

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