湖での行動
「おぉ・・・ここが今回の実習場所か」
静希達は最寄駅からバスを乗り継ぎ、昼前に現場に到着していた
今回の現場の南端に位置する場所にあるホテルが今回宿泊する場所である、そしてその近くに今回依頼を受けた営業所が点在しているのだという
「とりあえずどうします?先に荷物だけ置いていきますか?」
「いや、その前に研究者たちとホテルで顔合わせになっているはずだ、先に合流して荷物を置いて必要な道具だけをもって営業所に行くぞ」
今回の実習はやることがはっきりしている割にはかなりややこしいのだ、なにせ依頼をしたのは営業所の人間だが、同行するのは協力することになる研究者、依頼人と行動する人間が違う事で目的がそれぞれ異なってしまうのである
営業所の方は危険な生き物は駆除してほしいと思うだろう、だが研究者からすれば貴重な生き物は捕獲したいと思うはず、この違いは大きい
静希達からすれば依頼人である営業所の依頼さえ完遂すればいいのだが、研究者たちが何も考えずに無茶な行動をする可能性がある、それを止めなければいけないのが厄介なのだ
静希達がホテルに到着しチェックインの手続きをしているとその姿を確認したのか、私服姿の人間が三人程静希達の下へと近づいてきていた
「失礼ですが、喜吉学園の方でしょうか?」
「はいそうですが・・・」
「あぁよかった、我々は今回同行させていただきます、笠間と申します、こっちは今回手伝ってもらううちの准教授と研究生です」
よろしくお願いしますと頭を下げた人間達に静希達は眉をひそめた
笠間と名乗った男は大体四十から五十くらいだろうか、恐らくどこかの大学の教授だろう、そしてそのやや後ろに立っている男性、三十代くらいだろうか、少しガタイの良い男性が会釈をしている、その後ろにいるのは研究室の院生か何かだろうか、二十代そこらの人間であることがうかがえる
今回一緒に行動することもあってある程度人員を絞ってきたのだろうが、厄介そうだなと静希は内心思っていた
そしてそれは静希だけではなく、鏡花や城島も感じ取っていた
「准教授の橋本です、今回はよろしくお願いします」
「院生の玉木です、よろしくお願いします」
「・・・こちらこそ、引率の城島です、今回はうちの生徒をよろしくお願いします」
相変わらず城島の大人の対応を前に静希達は苦笑しているが、城島がすぐに視線で合図をしてそれぞれの部屋の鍵を渡してくる
ここは対応しておくからさっさと準備を整えてこい、そう言っているようだった
「先生、俺たちは準備してきます」
「わかった、早く戻って来い」
一応城島に告げた後で静希達はそそくさと部屋に向かっていった
大量の荷物を抱えているというのもそうだが、あの場から少しでも早く去りたいというのがあったのだ
「静希、どう思った?」
「ん・・・まぁいやな感じはしたよな、今回も面倒そうだ」
「やっぱりね・・・あぁもうめんどくさい」
静希と鏡花の言葉に明利と陽太は首をかしげていた、あのやり取りに何か嫌な感じでもあっただろうか、少なくとも挨拶してきた三人は愛想がよさそうに見えた
「静希、なんか厄介なのか?もしかしてなんか因縁つけられてるとか?」
「いいやそう言うのじゃない、たぶん体よく利用しようとしてるな、なんかこうざわっとする感じがした」
「あんたにしては抽象的な表現ね・・・まぁ大体おんなじだったけど」
静希も鏡花も、その力の強さから他者から利用されることが多々あった、静希は悪魔の契約者として、鏡花はその能力の利便性から、多くのものに目をかけられている
その為自分を利用しようとしている、そんな瞳を感じ取ることができたのだ
恐らく彼らはただ単に静希達を能力者として見ているだろう、能力者なら誰でもいいのだ、純粋に自分たちの目的を達成できればそれでいいと考えている、少なくとも静希達はそう感じた
「相手が私たち高校生だからっていうのもあるかもね、上手く言いくるめれば手玉にとれると思ってるんでしょ」
「ふぅん・・・でもやっぱり二手に分かれるんだろ?俺と鏡花、静希と明利で」
「あぁ、あの人たちが乗る船の方は鏡花に任せる、陽太は鏡花を守ることに集中してろ」
教授や大学院生に比べれば高校生などはまだまだ子供だ、比較するまでもなくその頭脳や考え方は違うだろう
だがそれは一般的な無能力者の場合に限られる
静希達は能力者だ、専門学校に入って訓練を受けている時点ですでに普通の人間とは考えが異なる場所にある
特にその中でも静希達は異質中の異質、普通の子供ではないのだ
「予定通り、あんたはとにかく索敵範囲を広げてなさい、現在位置は常に知らせる事」
「了解、さっさと準備しておかないと先生にどやされるな・・・」
静希達は自分たちの装備をカバンに詰め込み城島の待つロビーに向かうことにした
それぞれのカバンの中には今回の実習で必要になるであろうものが入っている
中でも静希のカバンに入っているものは大きく、重い、なにせ鏡花に作ってもらった装甲も入れられているのだ
荷物をまとめた静希達はすぐに部屋を出る、後は営業所の方に向かうだけである
「ここが今回の依頼場所か・・・」
静希達がやってきた場所は湖のすぐそばにある観光案内所のような場所だった
観光案内所と言っても食堂や土産物屋、そのほかにもいくつもの店が融合しているような場所でこの奥に事務所があるらしい
城島が店員に用件を伝えると、奥から白髪交じりの男性が現れた
「いやぁお待たせして申し訳ない、今回はよろしくお願いします、私この営業所の青崎と申します」
「喜吉学園の城島です、今回はよろしくお願いします」
城島の後に笠間達も挨拶をし、今回の実習の前にそれぞれ顔合わせを終わらせることになる、そして城島は静希達に視線を向ける
後はお前達がやれという事だろう、何度もやってきたのだ、今さらこの程度はなんてことはない、いつも通り班長である鏡花が一歩前に出る
「青崎さん、今回の実習の内容ですが、一般人に危害を与えるような生き物がいた場合その討伐、という事でよろしいでしょうか?」
「えぇ、お願いします、今のところ被害はありませんが、それもいつまで続くかわかりませんからね」
討伐、その言葉に笠間が一瞬眉をひそめたのを静希は見逃さなかった
恐らくはそんな生き物がいた場合捕獲したいと思っているのだろう、水中の生物を研究している人間としては是非確保したい研究対象だ
ザリガニの時にも似たような人間がいたなと静希は思い出していた
「一応目撃情報があった場所だけ教えていただけますか?その場所を重点的に調査しますので」
「わかりました、ただお客さんからの情報ですのであまり正確ではないかもしれませんが」
今回の資料に目撃情報の場所がなかったのはそういう事かと静希と鏡花は納得していた
確定した情報ではなく、不確定な要素があったからこそ資料に載せられなかったのだ
恐らく報告があった後客の記憶を頼りに地図に記してもらったのだろう、絞るべき捜索範囲が少しだけ広がったと思えばいいだけのことだ
「着替えをする場所を一つと、あと水上バイクを一つ貸していただけますか、今回は二手に分かれて行動するので」
「わかりました、用意しましょう、後で職員に連絡しておきますので近場のものに聞いてください、着替えは向こうに更衣室がありますのでそこで」
青崎の言葉に全員が了解ですと頷いて荷物をもって移動しようとする
その中で笠間が青崎に質問をしていた
「我々が使う船はどちらにありますか?可能なら早めに動きたいのですが」
「それでしたら近くの桟橋に配置してありますよ、使う際は言っていただければ操舵できるものを呼びますので」
すでに準備は終わっていると思ったのか、笠間は安心して静希達の方を向く、静希達はすでにいつでも動けるように準備していた
時刻はちょうど正午、昼食をとるにはちょうどいい時間だろう、そこで笠間は一つ提案をすることにした
「どうだろう、動く前に昼食にしないかな?お互いに話したいこともあるだろうし、近くの食堂であればごちそうするよ?」
その言葉に静希達の視線が鏡花に集中する、どうするべきか、判断するのは班の長である鏡花だ
携帯食料は一応持ってきている、行動しながらでも問題なく食べることができる程度のものでしかないが
「・・・静希と明利は先に行動してなさい、私と陽太はこの人達の護衛を務めるわ、できる限り早く追いつくから、明利、索敵道具の方は船に置いておいて」
「了解、気を付けてな」
「わかったよ、気を付けてね」
静希と明利が先に行ってしまったことに笠間達は一瞬呆気にとられていた、まさか食事の誘いをほぼ無視されるとは思っていなかったのだ
昼食時でなおかつ奢ると言っているのにこの対応、どういうつもりなのだろうかと班長である鏡花の方を見る
「えっと・・・何か気に障ることをしたのかな?何で彼らだけ先に?」
「・・・まず食事のお誘いをないがしろにしたことをお詫びいたします、ですが教授、残念ながら悠長に食事をしている時間もないのです、これだけ広範囲の湖を索敵するのは容易ではありません」
鏡花の言葉に笠間達はどういうことなのだろうかと首をかしげてしまっていた、そもそも索敵という事の意味を理解していないのだろう、能力者なのだからそのくらいのことはすぐわかると思っていたのである
だからこそ悠長に食事に誘い、あわよくば自分たちに協力させようとしていたのだろうが、そんな暇は生憎とないのである
「現状いるかどうかも分からない存在を発見しようと思ったらこの湖全域を調べつくさなければいけません、はっきり言って時間的余裕はないんです、昼食にするのであれば急ぎましょう」
あまりにも突き放した言い方に若い院生が不満そうな顔をしているが、さすがに教授や准教授の二人は表情に表わすようなことはなかった
そのあたりは大人という事だろう、自分の思い通りにならないからと言って不機嫌になるようなことはないようだった
「そうか、それじゃあしょうがないね、早めに昼食をとって準備をしてしまおう、時間がもったいないからね」
そう言うと笠間は鏡花たちを引き連れて近くの食堂に向かうことにした
「鏡花ちゃんたち大丈夫かな・・・?」
「まぁ平気だろ、陽太ならまだしも鏡花だし」
静希と明利は着替えを終えて水に入れるだけの装備に換装した後、明利のマーキングの済んだ水草などの種を鏡花たちが乗る船に置き、水上バイクを借りるべくボートなどを扱っている場所に向かっていた
静希も明利も水着の上にパーカーを羽織り、明利はいくつかの道具をバックパックに、静希はカバンの中に各種装備を入れ、ベルトに幾つかの武器を装備していた
そして元々貸しボートなどもやっているのか、水上バイクを置いてある場所はすぐに見つけることができた
「すいません、喜吉学園のものですけど・・・」
「あぁ、どうもです、水上バイク一つでよかったですか?動かし方とかわかります?」
「軽くレクチャーしてくれればありがたいです・・・あ、あとここらへんで生きてる小さい小魚とか扱ってるところってありますか?」
水上バイクの下に案内されながら静希がそんなことを聞くと職員はどうだったかなと首をかしげていた
実際釣りなどで使うような道具は基本的に死んでいるものかルアーなどの疑似餌だ、生きている魚などを扱っているような場所は心当たりがなかったのである
「すいません、水揚げ場に行けばもしかしたらいるかもしれませんけど、今日はそう言うところはやってないから生きてるのは・・・」
「そうですか・・・そうなると本格的に自分たちだけでやるしかないな」
「そうだね・・・途中で魚を見つけたらマーキングしてみるよ」
プランクトンなどと違い魚の遊泳速度はかなり速い、その為比較的遠くまで索敵してくれる可能性がある
もっともその場にとどまっていたらそれまでだが
「とりあえず以上が簡単な操作法になります、分かりましたか?」
「えぇ、大体大丈夫です、じゃあ明利、行くぞ」
静希が左腕に装甲を取り付け、水上バイクに乗り込むと、明利はその後ろに乗り静希の体に抱き着く形で体を固定する
「それじゃあお借りします」
「壊さないように気を付けてくださいね」
ゆっくりと加速し湖の真ん中あたりまで試運転する頃にはだいぶ運転の仕方も覚えたのか、静希は十分すぎるほどに水上バイクを操ることができていた
「明利、目撃情報があった場所ってどっちだ?」
「えっと・・・あっちとあっちの方だよ、でもどうするの?まだ鏡花ちゃんが準備できてないんじゃ・・・」
明利の言うように鏡花が能力で湖そのものに仕切りを作らなければいつまで経っても索敵完了区画は広がらない
ただの森などと違って水はいつでも流動的なのだ、そこにいる生き物たちのことを考えれば仕切りを作ってその中を索敵しない限りそこにいないという事がわかるわけでもないのだ
「一応携帯は持ってきてるから、なんかあったら連絡入れるよ、あいつだってのんきにおしゃべりしてるわけないしな」
水にぬれても問題ないようにビニールのパックに入れた状態で静希は携帯を身につけている
能力で収納してもよかったのだが、それだと連絡があった時に反応できないし使用中に万が一落してしまったときにまずいことになる、それは避けたいのだ
「とりあえず俺たちは少しでも索敵を広げておこう、明利、水に手を付けて索敵できるか確認してくれるか?」
「う、うん、やってみるね」
明利は静希につかまりながら水に少し手を付けて能力を発動してみる
水の中に大量にいる微生物、それらに同調することができればそれこそ索敵の可能性は広がる
特に水中に関しては時間はかかるがまんべんなく索敵することができるようになるだろう
「・・・うん、一応マーキングはできるよ、ただちょっと時間がかかるかも」
「それはしょうがないだろ、マーキングできるだけで十分だ、これで確認自体はオッケーだな、後は実際に行ってみるか」
静希は地図を広げ、目撃情報があった場所を確認してみる、いくつか番号をふって全員共通で確認できるようにしておいたのだ、これなら静希達がどこにいるのかも伝えやすい
「とりあえず番号順に行ってみるか、明利、もし余裕があったら水に手を付けた状態で移動するぞ、行けるか?」
「が、頑張ってみるよ」
移動と索敵を同時に行えれば話は早い、不安定な水上という状態でどれだけまともに能力を発動できるかはわからないがやってみる価値はある
明利が振り落とされないように比較的ゆっくりと静希は移動を始める
水上バイクの動かし方も慣れたものだ、簡単な仕組みで加速するから車よりは扱いやすい
ただアスファルトの上とは違い水上は波もあるため不安定だ、そこだけは少し気を付けなければならないだろう
そんなことを考えながら進んでいると懐に入れていた携帯が震えだす、一度停止して確認すると鏡花から着信が来ている
とりあえず状況を報告する意味でも静希は通話を開始することにした
「もしもし鏡花か?そっちはどうだ?」
『今から船に向かうところよ、そっちの状況を報告して』
とりあえず静希は明利の索敵が上手くいきそうなこと、そして目撃情報のあった場所の一つに向かっていることを報告することにした
「なるほどね・・・わかったわ、とりあえず一番と二番の所を最初に索敵しましょ、湖をその区画で分断するからよろしく」
『了解、じゃあ俺たちはこっちを徹底的にやっておくよ、早めに頼むぞ』
「わかってるわ、それじゃあね」
鏡花は通話を切ると船に乗り込んでいる笠間達を視界に入れる、操舵手にあれこれと注文を付けているようだが、実際どういう風に動かすのかは鏡花も分かっていない
自分達が上手く立ち回らなくてはと思いながら、鏡花はあらかじめ作っておいた道具を取り出す
これが静希に頼まれたものだ、一定の重さを持つことで水中を漂い続ける、ひもで重りを付けているために一定地点から動かないようにしてあるのだ
回収しやすいようにそれらは漁の網のように一つのひもで繋がれている、これで回収も設置も比較的楽になるのである
ここに明利の種を設置すれば索敵用の道具の設置は完了するだろう
「陽太、あんたは先に船に乗り込んでて、私は仕事してから行くから、十分ぐらいで戻るわ」
「了解、ついでに道具に明利の種を仕込んでおくよ」
よろしくといった後で鏡花は湖の底に手をつく
目撃証言があったのは全部で六つ、そのうちの二つはここにほど近い南部の場所にある、まずはその部分を区切って索敵を完了する必要があるだろう
ここでまず大事なのは水の流れに逆らわないことだ
湖は一見すると水がただそこにあるだけのように見えるかもしれないが、実際は流れがあり、それを完全にふさぐとなるとかなり強度が必要になる
ダムなどを思い浮かべればわかりやすいかもしれない、今回の場合は一方方向だけではなく両方からの水の出入りを塞ぐわけだからダムよりは楽かもしれないが、簡易式の仕切りでは間違いなく強度が足りないだろう
となれば水の流れに逆らわなければいい、この仕切りの目的はあくまでその内部に目標がいないことを確認することと、索敵が終わった後に他の生き物がその場に入り込まないようにすることだ
よって鏡花が作り出すのは壁ではなく網、目が細かく、ただの魚などでは通り抜けることができないタイプの網をいくつもの支柱を使って立てる
広範囲であるだけに時間がかかるが、そこまで大質量でもないためにその作業は比較的早く終了した
すでにその場には静希達が向かっているだろう、最初に番号を付けた近くの目撃場所は静希達に任せ、自分たちはさらに広範囲の場所を探す必要がある
次に目撃があったのは今自分たちがいる場所の対岸、さすがにあの場所となると一度船で移動したほうが早いだろう、鏡花は仕事を終え急いで船に乗り込んだ
「鏡花、もういいのか?」
「えぇ、出発して大丈夫です、笠間さん、まずは目撃証言のあった場所を徹底的に潰したいんですけど、対岸に向かってくれますか?そこでまたちょっとやることがあるので」
「ん・・・わかったよ、そうしてもらおう」
笠間としても今現在鏡花たちに異を唱えるつもりはないのか、操舵手に場所を伝えてその場へと移動することになる
鏡花が船の側面から湖の方を眺めると一隻の水上バイクが移動しながら何かをやっているのが見える、恐らく静希と明利だろう、あっちは放っておいても大丈夫そうだった
「ところで君たちはまだ二年生・・・だったよね?随分と手慣れているように見えるんだけど・・・」
「えぇ、まぁ他の二年よりは慣れてますよ、結構面倒なことをやってきましたから」
単なる世間話か、それとも取り入ろうとしているのか、鏡花はあらかじめ用意した索敵用の道具に明利の種を仕込みながら笠間の話に乗ることにした
仮にも今日から三日間一緒に行動することになるのだ、関係は良好にしておいた方がいい
「聞いてもいいことなのかわからないけど・・・たとえばどんなことを?」
「んと・・・一応守秘義務があるのであまり口外はできませんが、海外などにも行ったことがあります、軍と一緒に行動したこともありますし、死にかけたこともあります」
守秘義務と言っても学校内ではあってないようなものだ、クラスの人間が自分はどんなことをやったとか内緒話レベルでばらしているのを何度か目撃しているし、自分たちも石動達と情報交換などをしている
ただ学校外であまりこういう事は話してはいけないのは了承済みだ、だからこそ曖昧な事しか鏡花は話さなかった
鏡花の死にかけたという言葉に笠間は眉を顰めていた、他の人間は子供が大げさに言っているのだろうとあまり本気にしていないようだったが、実際鏡花たちはそう言う目に遭ってきた
もっとも死にかけたのは鏡花ではなく静希だったが
「そうなると今回の内容は楽な方なんじゃないかな?それだけたくさん経験を積んでいるなら」
「いいえ、そうでもありません・・・私たちの班は水上での行動は苦手分野なんです、陸上なら特に問題なかったんですが・・・」
鏡花の言うように地上であれば何の問題もなく、ただその場を索敵し続ければよかっただけだ
もっともその場にいるかどうかも分からないために同じように時間はかかっただろうが、いつもと同じようなことを繰り返せばいいだけであるから多少は楽だっただろう
もっともそんな簡単な内容を今さら自分たちに渡されるとも思っていない、面倒なのがデフォルトになってしまっているためにもうこの難易度が当然のようなものなのだ
誤字報告を十件分受けたので二回分投稿
予想以上に反応があって嬉しい限りです
これからもお楽しみいただければ幸いです




