子供の世界
「どうしましょう・・・ミスターイガラシの許可が取れなかったという事で断ってしまいましょうか・・・」
「ですがあれほど喜んでいたのでは断るのも忍びないです・・・どうしたものでしょうか・・・」
アイナとレイシャもそれぞれ静希の家に行けるように取り計らおうとしていただけにどうしようか迷ってしまっていた
自分たちに親切にしてくれた東雲姉妹を傷つけるような真似はしたくない
せっかくの機会なのだ、静希の家に招いてあげたいという気持ちはあるのだが、妙な行動をしてあの二人の恋が実らないことを突き付けるのも憚られる
どうするべきか
「・・・あのう・・・ミスターイガラシ・・・ミスシノノメを連れてくるのは・・・何時頃が良いでしょうか・・・?」
「ん・・・そうだな、まぁ明日以降とかでいいぞ、前もって言ってくれていればこいつらもちゃんとしまっておくし・・・ただお前らの方が学校終わるの早いと思うから俺はいないかもだけどな」
「・・・!・・・了解しました、では明日にでも連れてきます!」
レイシャは何かを思いついたのか、二人で再び内緒話を始めていた
そんな二人を見ながら静希達は疑問符を飛ばしていたが、そんなことは気にも留めていない様子だった
「これは盲点でした、ミスターイガラシたちが学校に行っている間にミスシノノメを連れてくればよいのです」
「なるほど、余計な行動をとる前に連れてきてしまえば何とかなる、そういう事ですね」
小学校と高校では授業が終わる時間はかなり違う、それこそ数時間の誤差があることもある
高学年になるにつれその時間差は少なくなっていくが、少なくとも彼女たち五年生ならば一、二時間ほどの差があっても不思議はない
その差の間に静希の家に東雲姉妹を招き入れ、余計なことを知る前に自分たちがそれを隠してしまえばいいのだ
幸いにしてアイナの能力を使えばものを隠すという事は簡単にできる、さすがに静希と明利、そして雪奈が目の前でいちゃつきはじめたらどうしようもないが、そのあたりは事前に注意しておけばいいだろう
「ていうかさ、東雲姉妹をうちに呼んで何するんだ?ゲームくらいしかないぞ?」
「え!?あ・・・えっと・・・お、女の子同士のお話です」
「そう、ガールズトーク!ガールズトークです!」
とっさの言い訳だったのだろうが、静希はとりあえず納得した、仲良くなるために話をするというのも大事なことだ
留学が始まってまだ時間が経っていないというのにここまで話が進むというのは運がいいのかそれとも二人のコミュニケーション能力が高いのか、どちらせよ学校に早くなれることができるというのはよいことである
「ねぇ静、風香ちゃんたちが来るならさ、部屋片付けておいた方がいいんじゃない?あれはちょっと教育上よろしくない気がするよ」
「そうか?そこまでひどくはないと思うけど・・・」
静希の部屋は相変わらずナイフやらが大量に保管されている
拳銃にまつわるものに関してはすべて金庫の中に入れてあるために万が一にも見られるという事は無いだろうが、部屋の扉を開けた瞬間に刃物だらけという光景ははっきり言ってあまりいい影響があるとは思えない
「確かに・・・鏡花ちゃんも最初驚いてたもんね・・・別の場所においておいた方がいいんじゃないかな・・・?」
「別の場所って言ったって、あれだけの数をどこにおけっていうんだよ・・・」
静希の保管している刃物の数はそれなり以上のものがある、雪奈の部屋も同じようなものだが静希の場合はその数が多いのだ
用途によって使い分けるために様々なナイフが保管されている、ナイフの数だけで言えば雪奈がもっているそれより多いかもしれない
「それこそベッドの下にでも置けばいいじゃん、男の子の大事なものはベッドの下って相場が決まってるでしょ」
「その隠し方はいろいろアウトな気がするけど・・・まぁいいか・・・あの二人に妙なもの見せるわけにもいかないしな」
とりあえず静希は自室をもう少し片づけることにした、あれだけの刃物が置いてあると何かの間違いで怪我をされるかもしれない、そうなると面倒だ
思えば東雲姉妹を静希の家に上げるのは初めてだろうか、明利達以外で女子を家にあげるというのはかなり珍しいかもしれない
そんなことを考えながら静希は部屋に保管してあるナイフを徹底的に片付けていった
「にしてもあの子たちもなんとか馴染めてるみたいでよかったねぇ、ちょっと心配だったよ」
「ん・・・まぁ日本語達者だしな、子供は興味湧くだろ・・・あとはこれからどうなるかだよなぁ・・・」
子供というのはとてもくだらない理由で喧嘩をしたりする、時にそれが大きな確執を生むこともある
あの二人がそれに対してどのように対処できるか、そしてどんな反応をするかというのが今後重要になってくるだろう
あの二人は良くも悪くも大人に囲まれている、同世代の子供たちを前にして戸惑っているところもあるだろう
大人な対応をしろとまではいわないが、しっかりとこの辺りの子供に対して接することができるか、そこが留学の一番のネックになることは間違いない
「今日!?もう許可が取れたんですか!?」
「はい、今日以降であればいつ来てもいいそうです」
翌日、アイナは風香に静希の家に行くタイミングのことを話していた
現在は訓練の時間、能力使用厳禁で軽い組手などを行う授業だった
そんな中準備運動代わりに軽く演習場を走りながら二人はそんなことを話している
「恐らく今ユーカの方にもレイシャから話を通しているはずです、ミスターイガラシは学校があるので帰ってきていないでしょうから遊んでも問題ありません」
静希の引き連れる人外たちは基本的に静希と共に行動している、そのため静希がいない間であれば問題なく招き入れることも可能だ
「今日・・・まさかそんなに早いだなんて・・・もうちょっとかわいい格好してくればよかった・・・」
「気にすることはありません、ミスターイガラシは紳士な方です、仮にあったとしても褒めてくれます」
今は体操服を着ているが、東雲姉妹はここまで許可をとるのが早いとは思っていなかったために普段着に近い格好で学校に来ていたのだ
もう少しおしゃれをしてくればよかったなどと考えているが、今はそのことよりも前に気になることが一つあった
「でも、五十嵐さんがいないんじゃ家に入れないんじゃ・・・」
「問題ありません、私とレイシャはミスターイガラシから合鍵を貰っています、なのでいつでも出入り可能なのです」
アイナとレイシャには留学が始まるという事もあってあらかじめ静希が合鍵を渡していた、これで静希達がいないような時でも自由に家に出はいりすることができるというわけである
家に帰るために必要な鍵を持っていないのであれば締め出しなどを受けてしまう事もある、絶対に無くさないことを条件に静希が二人に与えたものだ
「五十嵐さんは・・・家ではその・・・どんな感じでしょうか」
「どんな感じと言われても・・・普段通りとしか言いようがありません・・・ただ外にいる時よりはダラッとしている感じがします」
外にいる時よりダラッと
気を抜いているというのもあるのだろうが、家事や食事を用意してくれる人物が周りにいるからか静希は家では随分とゆったりとした生活を送ることができている
だらけているというわけではないが、今まで静希の張りつめた状況に立ち会っているアイナたちからすれば気が抜けているととられても仕方がないだろう
「ち、ちなみに、今アイナちゃんとレイシャちゃんは五十嵐さんの家に住んでるんだよね?布団とかは・・・どうしてるの?」
「私達はミスターイガラシの父君たちのお部屋を使わせていただいています、あの方は今ほぼ一人暮らしなので」
一人暮らしだったのかと風香はどうしようかと悩み始めていた
男性の一人暮らし、そんなところに遊びに行ってもいいのだろうかという思いと、行ってみたいという好奇心的なものがせめぎ合っている
そしてこの反応を見てアイナは確信する、風香は静希に恋心を抱いていると
これはまずいことになりそうだった、自分たちの仮説がまさか的中するとは思っていなかったのだ
これはますます静希が帰ってくる前にいろいろ手を打たなければならないだろう
居候の身として静希に要らぬ心配をさせるわけにはいかない
「ですがミスシノノメ、ミスターイガラシの家に行って何をしましょうか?ゲームはあると言っていましたが・・・」
「そ・・・それはその・・・お菓子とか持ち寄って遊んだり・・・あとは・・・」
恐らく静希の家に行けるという事もあってあまり深く物事を考えていなかったのだろう、とにかく静希の家に行くことが目的になっていたのだ、そこから先のことなど思いつきもしなかった可能性がある
となるとアイナとレイシャが苦し紛れに出したガールズトークをするのが一番いいだろうか
「でしたらちょっと大人なガールズトークでもしませんか?ミスターイガラシからの許可はとっています」
「が、ガールズトークですか・・・いいかもしれません!」
東雲姉妹は常に姉妹で行動することが多い、さらにエルフという事もあって同世代の女の子と中々遊ぶ機会がないのだろうか、仮面の奥の瞳を輝かせているように見えた
女の子同士の会話というのは男性に聞かせるような話ではない、前日に静希にガールズトークをするという事を告げてあったのだ、恐らく静希も気を利かせてくれるはずだとアイナは思っていた
話をしている間は静希が来ないことを祈る、そうすれば余計な心配をさせる必要もない
「それにしても、アイナちゃんは随分五十嵐さんと仲がいいんですね・・・」
「・・・仲がいいというか、私もあの人にはとてもお世話になっていますから・・・それにミスシミズにもとてもお世話になりました、あの方々は本当にすごい方たちです」
実習、いや実戦でその姿を見ているためにアイナとレイシャは静希達に対してとても高い評価を下していた
戦闘面に関しては自分たちが信頼するボスよりも一回りも二回りも上手である、二人はそんな風に感じたのだ
「私達は未熟ですから、もっともっと頑張らなければなりません、時折訓練もつけてくれるのですが・・・やはりまだまだ至らぬところばかりです・・・」
恥ずかしそうに頬を掻きながらアイナは照れてしまっている、まだまだ未熟者、自分たちが彼らと同じ場所に立つためにはあと数年、いやそれ以上に時間がかかるだろう
少しでも役に立ちたい、そう思うが故に頑張っているが、まだまだ先は長いのだ
そんなことを話しながら準備運動であるランニングを終えると、何人かの生徒がアイナと風香の元にやってきた
「おーい、せっかくだから一緒に組手やろうぜ、な」
「うんうん、やろやろ」
やってきたのは体の大きい男子と少し小さめの男子だった、風香とアイナが一緒に走っていたのを見計らってやってきたのか、その表情は何やらにやついている
「またですか吉野君、何度やっても私には勝てませんよ?」
吉野と呼ばれた大きい方の男子生徒はにやつきながら違う違うと言ってアイナの方を指さす
「せっかく留学してきたんだからそっちとやってみたいだけだよ、みんな仲良くしたいんだって」
二人の会話にアイナは何とはなしに状況を察していた、恐らくこの吉野という男子生徒はよく風香に突っかかっているのだろう
風香はエルフだ、能力が強いこともそうだが姉貴分である石動に徹底的に指導を受けている、近接格闘と能力面でもすでに同学年では相手にならないのだ
「私ですか、私でよければ是非」
「アイナちゃん・・・やめておいた方が・・・」
吉野はアイナを倒すことで力関係をわからせたいとでも思っているのだろうか、子供らしい自己主張というかなんというか
それを理解したうえでアイナは大丈夫ですと笑う、彼女は毎日のように訓練しているのだ、それこそ同世代の人間ではなく大の大人たちと、ガキ大将気取りの子供に負ける気はしなかった
体格差があるのは当たり前、筋力差があるのもまた然りだ、エドとカレンはそういう訓練をアイナとレイシャに施しているのだ
特にアイナはレイシャと違い身体能力の強化などできない、その為自らの技量をあげるほかないためより一層努力を強いられた
「んじゃいくぞ!ああぁぁぁぁあぁりゃぁぁああ!」
体の大きな男子生徒が大声を張り上げながら突進してくる、大きく右拳を振り上げ今から殴りかかるぞというのがよくわかる行動だ
大きな体に大きな声、そして大きなモーションをすることで相手に威圧感を与えることができる、同世代のただの子供なら多少怯んでしまうかもしれない
だが生憎と、アイナはただの子供ではない
思い切り振りあげられた分かりやすい拳を完全に見切り、受け流す要領で拳の向かう方向をかえ、通り過ぎる瞬間に足をかけて転ばせる
芝生の地面の上を何度も転がりながら男子生徒はいててと呟きながら起き上る
さすがに受け身をとることはできているようだった、小学生とはいえしっかりとそのあたりは指導されているようだ
勢いをつけすぎたみたいだと周りの同級生たちに弁解しながら、再び大声を張り上げながらアイナへ向けて突進してくる
今度は拳を振り上げるのではなく、タックルをするつもりのようだった
拳が受け流されるなら体ごとぶつかる、分かりやすいがしっかりと対策をしてきている、そのあたりは訓練をしている子供というところだろうか
その動作にアイナは腰を深く落とし受け止めるような体勢をとる、体格差では勝てないのは歴然だ、それでもその体勢をとったことに周りの同級生たちは心配そうな表情をしている
突進してきている男子生徒も腰を落としたアイナめがけてタックルを仕掛ける、足元を狙うような形で、飛びつくように
その瞬間、アイナはほんの少しだけバックステップし、跳び箱の要領で男子生徒の肩に手をついてその体を飛び越えた
急に上から力がかかったのと、低い体勢でタックルを仕掛けていたという事もあって男子生徒は思い切り地面に体をこすりつける結果となる
急に倒されたせいで受け身も取れなかったのだろう、顔面から地面に激突しているようだった
最適と思われるような対応に風香は目を奪われていた
風香も普段石動との訓練で体の大きい相手との戦いはなれている、声を張り上げたところで驚きはしないし大きなモーションの攻撃は逆に動きが読みやすいからありがたいくらいだ
吉野と呼ばれている男子生徒は正直敵ではない、恐らく風香もアイナと同じような対応をしただろう
つまりアイナは、自分と同じくらいの経験値を持っているという事なのだ
風香はそう確信し、アイナの元へ駆けつけた
「あ・・・や、やりすぎてしまったでしょうか・・・?」
「いいえ、しっかりとした対応だったと思います、お見事でした」
風香が駆け寄ったことで他の同級生たちもアイナに賞賛の言葉を浴びせていた
あんな動きは見たことがない、教えてほしい、かっこいい等々、アイナは一躍人気者になってしまっていた
アイナとしては嬉しい反面、少し複雑だった
アドバイスとしてあまり目立ちすぎると反感を買うことになると言われていたためである
自分のことを褒めてくれるのは嬉しいのだが、あまり目立ちすぎるのはアイナとしても困りものである
なにせ留学はまだ始まったばかりなのだから、できる限り平穏に学校生活を送りたいと思うばかりである
「まだだ!まだ終わってないっての!」
顔面から倒れこんで顔を抑えていた男子生徒が勢いよく立ち上がり、再びアイナに対して戦いを挑もうとする
だがそれを風香が遮った
「・・・吉野君、あなたの実力では彼女には勝てません、二回も転がされたのですからそのくらいわかってください」
「うっせぇ!力じゃ俺の方が上なんだから俺の方が強いに決まってるじゃんか!何なら能力で勝負するか!?」
「・・・ほほう、私に能力で勝負を挑むと?」
一見すれば無謀な挑戦だ、未熟とはいえエルフ相手にただの能力者が戦いを挑むなど自殺志願に等しい
だがその戦いを見ることはなかった
「はいそこ、今は能力使用は禁止ですよ、組手の続きはどうしました?」
子供たちが集まるところで、しかも授業中で先生が目を光らせていないはずはない、能力が発動するようなことは禁止になっている以上、それを守らせるのが教師の務めだ
感情の高ぶりに対してもしっかりと能力の発動を抑えることができる、それは必要なことである
教師に注意されたことでアイナの周りに集まっていた生徒たちも、アイナに絡んでいた吉野達もそれぞれ蜘蛛の子を散らすように離れていき、それぞれ二人組を作り適度に組手を行い始めていた
「・・・フーカ、先程のあれはまずかったでしょうか・・・何やら怒らせてしまったようですが」
「いいんです、吉野君はちょっと強気に出すぎなところがありますから・・・それにしてもさっきの凄かったです、私はてっきりタックルを受け止めるか横に回避するために腰を落としたんだと思ってました」
風香の言葉にアイナは恥ずかしそうに、そして嬉しそうに微笑んで見せる
「あれは前に似たようなことを私たちがやられたことがありまして、その応用みたいなものです」
「応用・・・それは訓練の時のことですか?」
「厳密には違うんですが・・・似たようなものです、意識のフェイントとでもいえばいいでしょうか・・・あの時は本当にあせりました」
意識のフェイント
アイナが、いやアイナとレイシャがそれをやられたのは留学の是非が決まる試験の時だった
静希を相手にしなければならなかったとき、静希はてっきり自分たち相手に手を抜いてくれるとばかり思っていた、事前に試験官にそれらしいことを聞いていたりしたこともあり、アイナとレイシャの頭の中から接近戦という選択肢を完全に排除していた
油断とは違う、不意を突かれたという方が正しいだろう
焦った頭は急には元に戻らない、その間にも相手は動き続ける、自分の想定とは違う事をし続ける
そう言う事を行われると徹底的に反応速度が鈍るのをアイナは知っていた
なにせ実体験からそう学んだのだから
腰を深く落すことで受け止めようとする、あるいは横に回避しようとするのを演出し、相手も姿勢をさらに低くしてこちらを捕まえようとする
やや前傾気味だった体勢から一瞬だけバックステップ、そこから前でも後でも横でもない上への回避運動
そしてその前に行った拳に対しての受け流しも、その場限りのものではないことが覗えた、はっきりとした技術、努力の結果得られたものであると風香は確信していた
「アイナちゃん、あれだけの技術をどこで?誰かに教わっていたんですか?」
「はい・・・えっと・・・私の・・・お姉さんが昔軍にいたことがあって、それでいろいろと教えてもらっているんです」
お姉さんというのはカレンのことだ、彼女はもともと研究者と軍の掛け持ちで働いていた経験がある
その技術を余すことなくアイナとレイシャに教え込んでいるのだ
こと対人戦においてはそれなり以上の実力を持っていると言ってもいい
「そうでしたか・・・なるほど・・・だからあんなに・・・」
先程のアイナの動きを思い出しながら風香は僅かに心が躍っていた
同学年に風香の動きについてこれるような子は一人もいなかった
石動に直接指導されていることもあって、風香や優花の技術はそれなり以上のものがある
特に対人戦において、防御や対処に関していえば同学年ではもはや相手にならないほどだった
そんな中現れた自分と同等かそれ以上の実力の持ち主
以前石動が静希のことを語る際にとても嬉々としていたのを思い出す、好敵手と言えるだけの存在に出会えた興奮、そして喜び、それを今風香は実感していた
試してみたい、比べてみたい
心の底からそう思える、あしらってばかりではなく、しっかりと立ち向かってみたい
「・・・アイナちゃん、私と本気で組み手をしましょう」
「え?それは・・・構いませんが・・・」
アイナは少し戸惑っていた、静希から聞いている、風香は同じエルフである石動から訓練を受けていると、恐らくこの学年でも一、二を争うほどの実力者であると
だからこそ困っていた、あまり目立ちたくはないと思いながらアイナは構える
そして仮面の奥にある真剣な瞳を見て理解する、たぶん手加減をしたら怒られるなと
多少目立ってしまうかもしれないが、怒らせてしまうよりはましだろうと決めつけ、アイナは全力で風香と組手をすることにした
誤字報告を十件分受けたので二回分投稿
すごく今さらながらマイページの情報を編集しました、今までやり方を見つけられないとか何たる体たらく
これからもお楽しみいただければ幸いです




