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J/53  作者: 池金啓太
三十話「その仮面の奥底で」

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対契約者戦闘

「クソ・・・なんなんだよあいつら・・・いきなり出てきやがって・・・!軍人も大量に出てくるし・・・なんなんだよクソ!」


悪魔の後ろ側で文句を延々と口にしている男は静希達を睨みつけるとその視線をメフィに向けた


「んだよあいつ・・・あれ悪魔かよ・・・ちくしょう・・・やっちまえ!」


仮面の男の声と同時に悪魔が嘶きをあげ尾の蛇から大量に謎の粘液を放出する


あれに当たってはいけないと静希とエドはそれぞれの悪魔の協力により容易に回避していく


ヴァラファールに乗っているエドに比べ、静希のそれはメフィの能力によって宙に浮いている、フィアを出してもいいのだが余計な手の内は見せない方がいいだろう


「悪魔の攻撃にしては遅いね、あれなら十分避けられそうだ」


「油断するなよエド、あれがどんな効果持ってるかもわからないんだ・・・一発当たったら死ぬくらいの気持ちでいたほうがいい」


あれがただの粘度の高い液体であれば何の問題もないが、悪魔が攻撃として使ってくるものが単なる液体とは思えない


「メフィ、牽制しながらあいつを追い込んでいくぞ、エド!俺が前に出る、フォロー頼む」


「了解、ヴァル、頼むよ!」


静希自身も拳銃を取り出し男めがけて発砲していく、だが悪魔が作り出した液体に簡単に防がれてしまう


そしてその瞬間静希は目にした、弾丸が融解しているのだ


明らかに毒性、あるいはそれに近しい何かを持った液体だなと感じながら、今度はメフィの攻撃が発動する


相手が液体という事もあって、能力を切り替えたのか東雲風香の圧縮した空気を作り出す能力を連続して使用していた


唐突に能力が変わったことで相手は一瞬驚いていたが、炸裂する空気の弾に液体が次々とあたりに飛散していく


「メフィ、あんまり周囲に被害を出すのはいただけないんだけど?」


「いいじゃない・・・それにあの液体近づけるのはまずいと思うわ、邪薙にも徹底させて」


トランプの中にいる邪薙もその危険性は把握しているのか、神経質になりながらも何時でもシズキを守ることができるように集中しているようだった


とにかくカレンたちの安全圏内まで移動したら本格的に攻略戦に移行する、それまではあの人物を含めて追い回すしかない


時折液体での攻撃が飛んでくるが、静希達の機動力を持ってすれば避けきれないものではない


その数が多くとも邪薙の障壁やメフィの能力でほとんど吹き飛ばすことができる


能力の相性的には最高と言ってもいいが、どうにもまだ相手も能力を抑えているような気がしてならない


「明利、近くに広いところはあるか、建物があまりないような開けてる場所」


『その近くにはないよ・・・けど道が交差して少し広くなってる場所なら・・・そこから百メートル程移動したところに』


「よし・・・そこに追い詰める、部隊にそこへの攻撃を要請しておいてくれ」


軍の人間もあらかじめ場所を指定されれば攻撃補助くらいはできるだろう、そのくらいは期待してもいい、なにせあの悪魔未だなお能力を隠しているような気がするのだ


いや、加減していると言ったほうがいいだろうか、悪魔を二体相手にしながらもあの余裕、何かしらの策があるのかもしれない


近くにいる仮面の男は先程から延々と喚き散らしているが、悪魔の方は非常に冷静にこちらの攻撃に対処し、なおかつ仮面の男をかばっている


その視線は静希達から外れない、外見にそぐわぬ丁寧な対応だ


「エド、聞いてたな?」


「もちろん、フォローするよ!」


無線を聞いていたエドも状況は理解したのかヴァラファールと連携して相手を追い込もうと能力を飛ばし続けていた


静希達の今の目的はあくまで召喚陣の停止、可能ならあの男は捕えて情報を絞り出したいところである


もっとも悪魔との戦闘で話ができる状態で捕えられるかは疑問だったが

攻撃をし続ける中気づいたことが二つある


あの悪魔が放つ攻撃が二種類あるのだ、いや正確には作り出す液体が二種類あると言ったほうがいいだろう


静希が放つ弾丸を防ぐための液体と、静希達を攻撃するための液体


色合い的に似ているのだが、どうやら違うものであるらしい


静希に向けて放たれた液体に銃が命中しても何の効果もなく、そのまま突き抜けたのだ


単に粘度の違いというだけではない、融けることなくその場に残っていたという事はそう言う効果を持った液体である可能性が高い


そして静希達に攻撃するときに物質に作用しない液体を使ってきているという事は、攻撃用の液体は対生物用の攻撃である可能性が高い


だとしたらますます攻撃を受けるわけにはいかなかった


悪魔の対生物用の攻撃など、受けたら一瞬で体が消滅しかねない、以前ヴァラファールが手加減して放った呪いでさえ人の骨を折るだけの威力があったのだ、本気で放っている一撃を受けたらどうなってしまうか、想像もできなかった


とはいえ幸いにしてその攻撃速度はお世辞にも早いとは言えない、液体という形のせいで避けにくいがメフィや静希が上手く壁になっているおかげでエドたちに被害は全く出ていなかった



静希達が仮面の男と悪魔を目標地点に追い込むと、瞬間複数の道から多数の銃弾と能力が放たれる


その攻撃から身を守ろうと全方位に液体の膜を発生させるが、物理、現象問わずあらゆる攻撃が飛んできているのだ、あの能力では防ぎきることはできないだろう


「ミスターイガラシ!予定通り攻撃を開始しています!何かほかにできることは!?」


静希達がその様子を眺めていると近くに通信手の軍人が駆け寄ってくる、静希達は宙に浮いている状態であるためかなり大声でしゃべっているが、とりあえず近くに部隊を配置するというのは成功していたようだ


「このまま攻撃を続けろ、今ミスターパークスの連れが召喚陣を止めようとしている、俺たちは時間稼ぎができればいい、遠距離からの攻撃に徹するように各部隊に通達しろ」


「了解しました!」


こういう時に近くにいないと言葉が通じないというのは不便だ、静希が他の言語も話すことができれば問題なく部隊に連絡ができるのだが


鏡花たちの近くには今のところドイツ出身のカレンがいる、あっちに関しては問題はないだろう


後はこの状態をどれだけ維持できるかである


「シズキ、この後どうしようか、このまま様子を見るのかい?」


「今のところはな、相手がしびれを切らしてからがこっちの出番だ、それまでは軍の人間に任せる、俺たちは相手が妙なことをしないように見張っていればいい」


静希達の今の目的はあくまでも時間稼ぎ、悪魔がカレンの元に向かわないように食い止めつづけ召喚陣の発動を完全に止めるのが仕事である


悪魔の相手はその後にゆっくりとすればいい、幸いにしてあの悪魔はあまり機動力がないタイプのようだ、静希達から逃げられるとは思えない


「ヴァルとメフィストフェレスの攻撃なら、十分に相手は攻略できそうだけど・・・」


「油断はできないな・・・なんか嫌な感じがする」


嫌な感じ、静希にしては非常に抽象的な感覚頼りのものだが、今まで嫌な予感がして外れたことの方が少ないのだ


嫌な予感に限って当たる、そして今回もきっとそうだとにらんでいた


そして攻撃がどれほど続いただろうか、炸裂音と能力による破壊が行われている中、その中心から大量に毒々しい色の液体が放たれる


もはや打ち出すというレベルの量ではない、先程まではせいぜい噴射レベルの液体量だったが、今周囲に襲い掛かっている量はもはや川などの氾濫レベルのそれだ


液体は建物を飲み込み勢いよく道路を流れて行っている、あの場の近くに部隊が配置してあったら間違いなく攻撃を受けていただろう


「ほーら嫌な予感的中だよ・・・ったく面倒なことになったな・・・」


「もう少し高いところにいたほうがいいかもね・・・にしてもこれは厄介そうだ・・・」


元より高い場所で待機していた静希とエドにはあまり被害はないが、近くの道や建物は毒々しい色の液体で浸ってしまっている


近隣住民の避難が完了していたからいいものの、これはかなり面倒な能力だ

単に液体を射出するだけならいくらでも防げるが、このレベルの量を出されると流石に防ぎきることができるかどうか


発現系統の能力だろうが、その出力が桁違いだ、さすがは悪魔といったところだろうか


「どうするシズキ、さすがにこれだけの力を持つ奴を放置しては置けないと思うけど」


「あぁ、ちょっと大人しくしててもらおう、殺しはしないけど、とりあえず気絶させるレベルで」


静希の雰囲気が変わると同時にメフィも本気を出せる状況であると理解したのかその威圧感を高めていく


二人の変貌にエドやヴァラファールもまた集中を高めていった


これだけ大規模な能力の発動ができるとなると、この街全体が危険区域になりかねない


何よりあの液体の効果もわかっていない、恐らく毒であると静希は睨んでいるが、だとしてもこの量はさすがに許容しかねる


近くに軍人はいない、恐らくは狙撃できるような場所に待機しているのだろうが、この状況で目標を見失っている可能性もある


「メフィ、街を壊さないレベルで全力攻撃だ、あいつだけを狙うぞ」


「了解よ、ふっとばしてあげる」


「ヴァル、致命傷になるギリギリの攻撃を頼むよ、悪魔に対しての手加減はいらないけどね」


「また難しいことを・・・やってみよう」


それぞれの悪魔に注文を出しながら静希達は真下にいる悪魔の気配を感じ取っていた


まだいる、あそこにいる、隠れているつもりなのだろうか、それともこちらを狙っているのだろうか、どちらにしろ静希達がやることは変わらない


「んじゃフォロー頼むぞ、俺も能力使うから」


「任せてくれ、最高の演出をしてみせるよ」


静希が能力を発動すると周囲に大量のトランプが顕現し、それに合わせてメフィも能力を発動する


周囲に大量の光弾や空気の塊が具現し、空を埋め尽くしていく


そして同じようにヴァラファールも能力を発動、周囲にどす黒い呪いの塊を作り出し、エドは目に見えるそれらを空間に投影し、偽装していく


思えばエド達と連携をするというのは行ってきたが、同じ戦場で一緒に戦うというのは初めてのことだろうか


静希とエドは互いに笑いながら液体の海の奥にいる悪魔と仮面の男を見つけると一斉に能力を放った


累計pvが20,000,000突破したので明日たくさん投稿します


どれくらいがいいかはまぁ適当に、キリのいいところで切ったりしながら五回分くらいかなとか考えています


これからもお楽しみいただければ幸いです

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