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J/53  作者: 池金啓太
三十話「その仮面の奥底で」

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自分達と彼らの関係

静希の言葉にラルフは一瞬目を細めた


表情からその真意を確かめようとしているのだろうが、静希は眉ひとつ動かさずにラルフの目を見返している


ただ聞きたいだけ、確認したいだけ、静希はそう言う気持ちで質問したのだ


「・・・どこからその情報を聞いたのか・・・それとも勘かな?」


「いえ、単純に警戒の仕方が普通のそれではありません・・・その危険性を理解している者の配置と周到性としか考えられないほどに」


静希の言葉にラルフは苦笑しながらいやはやと口元に手を当ててその笑みを隠そうとしていた


「なるほど、確かに君はただの子供ではなさそうだ・・・君の言う通り、私は昔悪魔と戦闘を行ったことがある・・・当時はまだ若造だったがね」


恐らくはまだ現役、前線に出ていたであろう時代の話だろう、それほど昔の話であったとしても記憶に深く刻み込まれるほど強烈な出来事だったのだ


その危険性を理解している、理解しているからこそ軍の連携機能を最大限に利用し、最大限の警戒と準備をしているのだ


時間が限られているという状況で焦らない、焦ってはいけないというのを彼は知っているのだ、一歩間違えば全滅させられかねないことを理解しているのだ


これだけの規模の部隊を用意したことといい、それを統制する人間にこれだけの人物を起用することといい、かなり本気でこの事件を解決しようとしているというのがうかがえる


「それで、私の悪魔との戦闘経験を確認したうえで、君は・・・いや君たちはどうするつもりかな?」


「・・・正直、歪みの発生源を探すという事ではお役に立てないでしょう、こちらの索敵手は索敵するのに準備が必要なタイプです、俺は基本遊撃の立場を取らせていただきます、何者かの攻撃があればその場に急行できるようにするつもりです」


人海戦術を用いて召喚陣を探そうという中で数人増えたところでほとんど意味はない、現場の邪魔をするくらいなら静希達はいつでも行動できるように待機していた方がいいのである


特に相手が悪魔の契約者だった場合はなおさらである


未来予知の可能なオロバスと召喚への対応が可能なカレンは最悪別行動でも構わない、だが召喚を抑えるのと悪魔の契約者を倒すのを同時並行で行うためには軍との協力が不可欠だ


「なるほど・・・索敵などはこちらに任せ、敵のみを倒す、ということかな」


「平たく言えばそうなります・・・まぁ正直に言えば俺が戦闘をすることになるとかなり周囲に被害が出てしまうかもしれませんので、その対応もお願いしたいところです」


悪魔同士の戦闘というのは周囲への被害がかなり出る、特に相手がなりふり構わない場合、街そのものが消滅することもあり得るのだ


この前のリチャードのように辺り一面が焼け野原になることだってある、そう考えると軍には周囲の警戒と防衛を行ってほしいところである


「ふむ・・・確かに規模を考えれば人手のあるこちらがそうしたほうがいいだろうな・・・君が指揮下に入ってくれれば、部下たちも安心できると思ったのだが」


「生憎と、俺が従う人間は限られていますよ、うちのボスみたいに堂々と任せてくれる人なら大歓迎なんですけどね」


そう言って静希は城島と鏡花の方をちらりと見る


静希にとって二人とも上司のような関係だ、どちらも信頼できる人間であり頭が上がらないタイプの人間である


人を従えるという点では二人とも才能があると言っていいだろう、静希もそのあたりは十分すぎる程に理解していた


「ところで歪みの発生源を発見した後、そちらはどのように動くつもりですか?直接止められるような人員に心当たりは?」


「一応召喚などの専門家は呼んでいるが・・・戦闘地域に連れて行くようなことはできない、もし戦闘が行われていたなら早めに済ませるほかないだろう」


召喚陣に対応できる人間がいてもそれは非戦闘員、そうなると早めに戦闘を終わらせることしか取れる手段はない


だが悪魔の契約者がこの辺りにいた場合、それほど簡単に戦闘が終わらせられるとも思えなかった


この前のリチャード戦はあくまで相手が逃げるつもりだったからこそすぐに終わったが、両者が本気で潰し合った場合どうなるかはわかったものではない


「なるほど、了解しました、こちらはこちらで勝手に動きます・・・あと通信手が数人いてくれると助かります、機械などを通すと翻訳できなくなるので」


静希はそう言って自分の胸の部分を指で指し示す


その動作にこの翻訳が静希の能力で行われているという風に感じたのか、ラルフはわかったと言って書類を軽く見始める、恐らくは手の空いている軍人を手配してくれるのだろう、実際に行動するのは夜が明けてからになるが、それまでにできる限りのことは決めておきたい


「二人君たちに部下を付けよう、二人とも優秀な人間だ、君たちの邪魔にはならないだろう」


「ありがとうございます、敵対勢力が現れた際などはすぐに連絡を入れていただければありがたいです」


機動力に関していえば静希達はかなりレベルが高い、特に静希と陽太は自身の機動力にかなり自信を持っていた、簡単には追いつけない速度だが今回は場所さえ教えてくれればいいのだ、そこから先は静希達の仕事である


問題はそれまでやることがないことと、戦闘を始めてからである


「ところで・・・今回君たちの他に協力してくれる、ミスターパークスのことだが・・・」


唐突にその話が出たことで静希は眉をひそめる


同じ悪魔の契約者として、さらに言えば今回の依頼を斡旋したのは静希だ、そのエドたちの話が出たのは何かしらの意図があるのではないかと感じられたのだ


「君は・・・君たちは彼らとも協力する意思はあるのか?そうなるとかなり心強いのだが」


ラルフの言葉に静希は彼の身上を何とはなしに理解する


エドが悪魔の契約者であることは知っているが、エドが契約者になった時の話までは知らないのだろう、その時に静希が関わっていたことや、静希とエドが個人的に交友があるという事も恐らくは知らないのだ


エドたちのことを静希達がどの程度知っているのか、そのレベルでの確認が必要だろう


「そのパークス氏が今回の事件に関わってくるのはいいですが、どのような方なのですか?」


「・・・君と同じ悪魔の契約者だ、今回はイギリスからの依頼でこちらに協力してくれることになっている」


静希の芝居に付き合ってくれているのか、それとも本当に静希とエドの関係を知らないのか、どちらにしてもこの状況はありがたい、自分たちの手札を隠しておけるというのはそれだけで優位に立てるのだ


「それならパークス氏との協力は前提事項です、相手に悪魔の契約者がいるのであれば、こちらも同じ手札を複数用意しておきたいところですし」


静希とエド達か交友関係であることは恐らくこの場では言わない方がいいだろう、なにせ悪魔の契約者が常に協力しているという状況は、はっきり言って危険すぎるのだ


城島が以前言っていたように、一つの集団が軍隊にも匹敵する戦闘能力を有することになる、それは脅威以外の何物でもない


静希がわざわざエドたちのことを知らないように話したことを、鏡花は違和感を覚えたが、すぐにその意味を理解したのかすぐに平静を取り戻していた


今回静希達はあくまでこういう状況だからこそ協力し合うという形を作るつもりなのだ


あらかじめ打ち合わせが済んでいるかどうかは不明だが、ラルフたちが静希達の関係に気付いていないのであればむしろ勘違いをさせておくのが吉だろう


「それで、ミスターパークスは何時頃こちらに?」


「今日の昼には到着する予定だ・・・到着まで後八時間といったところか」


八時間、それほどの時間があるのであればある程度話をしておくことはできるだろう、エドが今どこにいるかはわからないが、メールくらいは送っておいて損はないかもしれない


「ひとまず、君たちが本格的に動くのは昼からになる・・・時差を直すという意味でも少し休むと良い、部屋はこちらで用意させてもらった、まぁ我々とほぼ同じような待遇だと思ってくれ」


ホテルなどではなく軍の駐留地域での生活になるという事だ、そもそも実習なのだからそこまで待遇が良くなるとは思っていなかったために異論はない


寝泊まりできるところさえあれば静希としては問題ないのである、女性陣からすれば風呂などの心配が出てくるだろうが、そのあたりは我慢してもらうほかないだろう


「部隊に君たちのことを紹介するのも、恐らくミスターパークスがやってきてからになるだろう、それまではこの場所で自由に過ごしてくれて構わない、必要なら近くの部下に話を聞いておくのもいいだろう」


「ありがとうございます・・・もうお疲れのようですし、今日はこれで引きあげますよ」


「ハッハッハ・・・徹夜には慣れているが、まぁこの歳になると些か辛くてな、お気遣い感謝するよ」


やはり無理をして静希達を待っていてくれたのだろうか、それともそのタイミングに合わせて仕事を詰め込んだのだろうか、どちらかはわからないがラルフの表情からは疲れのようなものが見える


それなりに歳を重ねている人間なのだから無理もないだろう、ほんの少し申し訳なくなってしまう


「では部屋へは部下に案内させよう、しっかり休んでくれ」


「了解しましたそれでは失礼します」


部屋を出るとちょうど案内するために待機していたのかラルフの部下がその場に待機していた


用意周到というか、恐らくここまでは完全にスケジュールで組まれていたのだろう


「お待ちしておりました、これよりお部屋にご案内します」


「お願いします、んじゃいくか」


静希達が案内の後についていくと、そこはラルフなどのいる司令室から少し離れた場所にある建物だった


恐らくこれも変換の能力を用いて作られているのだろう、周りのテントよりはずっとましな構造をしていた


「皆さんはこちらに宿泊していただきます、後ほどミスターパークスたちもいらっしゃいますので、皆さんはこちらの部屋でお休みください」


どうやら静希やエドたちをこの建物にひとまとめにするらしい、わかりやすい上に話もしやすい、そう言う意味ではこの気遣いはありがたかった


「私どもは表におりますので、何かありましたら気軽にお申し付けください」


「ありがとうございます、そうさせてもらいますね」


代表して鏡花が礼を言い全員で中に入っていく、中は簡素な作りではあったが全部で六つのベッドが並んでいた、建物の中にある部屋は二つ、恐らく静希達とエドたちのためだけに作られた部屋なのだろう


男女が別れていないのが多少問題のような気がしたが、その程度はもはや許容してしかるべきだろうと、静希達は荷物を置いてから大きく息をついて脱力していた


「なんだかピリピリしてるわね、まぁ当然と言えば当然だけど」


「仕方ないだろ、街が消しとぶか否かの瀬戸際なんだから」


静希達はあくまで他人事だからこそ悠長に構えていられるのだが、この国の人間からすれば国が転覆しかねない大惨事になるかもしれないのだ、ピリピリするのも仕方がないというものだろう


静希達はあくまで協力する姿勢を見せてはいる、だが向こうからすれば本当に役に立つかどうかわかったものではないという猜疑の目を向けるのも仕方のない話だ


「にしても静希とエドモンドさんの関係って案外知られてないのね、てっきり結構知られてると思ってたけど」


盗聴器の類がないことを確認した後で鏡花はベッドに腰掛けて大きく伸びをしていた


オルビアの簡易翻訳もすでにオフにし、完全に日本語で話してしまえばもはや外部に話が漏れるという心配はないだろう


日本通の人間がこの場にいたらそこまでだが


「そもそもエドが悪魔の契約者って知ってる人間も結構限られるしな・・・俺との関係性を知ってる人間もさらに限られるし、知ってなくてもおかしくはないだろ」


静希がエドと関わったあの事件はあくまでイギリス国内に限られ、なおかつ機密事項扱いされているのだ


他の国の人間が知らなくても不思議はない、しかも今回静希がエドに任務を斡旋したとはいえ表向きはイギリスからの依頼なのだ、そこに静希の影が見えないのも仕方のないことだろう


「だがあそこで無関係を装ったのはいい判断だったな、少なくともお前達への警戒レベルが上がるようなことは避けられる」


「まぁ、日本とかイギリスでは結構知られてることかもしれませんけどね・・・カレンのことも含めると隠しておいた方がいいのは間違いないでしょうね」


あくまで周囲に知られているのは日本の契約者五十嵐静希とイギリスの契約者エドモンド・パークスの二人だけなのだ


エドに関してはどこに行くかわからないような生活をしているためにそこまで有名ではないかもしれないが、静希は学生という身分であるために日本での活動が諸外国では知られることが多くなっている、特にヨーロッパ圏内では契約者としての活動が多い


そして未だ周囲に知られていないのはカレンのことだ


過去悪魔の契約者として有名だった犯罪者としての彼女はすでに死亡したことになっている、契約者としてもほぼ抹消された存在と言っていいだろう、その彼女が静希達の仲間になっているという事実が知られればどうなるか


そしてエドと静希が協力関係、というか友人同士であるという事を知られればどうなるか


契約者が三人、悪魔の契約者が一人現れるだけでこれだけの大部隊を編成しているというのに三人も同時に現れ、なおかつ協力しているという事がわかった日には国を挙げて潰されかねない


そう考えると、静希の先ほどの対応は正しいものだったと言えるだろう


「つってもさ、エドモンドさんが来るまで後・・・八時間くらいだっけか?それまで何してりゃいいんだよ」


ラルフには体を休めて居ろと言われたが、正直全くつかれていないのだ、なにせ飛行機に乗ったのも一時間強、しかも乗っていると思わないほど快適だった


装甲車で多少移動したが、その程度の移動で疲れるほど静希達は軟な鍛え方はしていない、疲れも眠気もない、むしろ今こそ最高のコンディションなのだ


「確かにね・・・でもここの人たちは今休んでるべき時間だもの・・・夜明けまで・・・あと二時間もないわ、それまで仮眠してましょ、朝も早かったしそれくらいはできるでしょ」


普段授業中に寝ることもある陽太からすればこの時間に寝ることも全く問題ないが、静希と明利からすればこの時間に寝るというのは正直難しい話だった


すでに頭も回転させ始めているために眠気も欠片も存在しない、体を休めておくことはできるだろうが、それはあくまでダラダラしているという意味であって睡眠をとることができるわけではない


睡眠薬を使って強制的に寝てもいいのだが、それはそれで逆に疲れそうである


「他にやることもないしなぁ・・・一応装備点検くらいしておくか」


「あんたは相変わらずね・・・明利はどうする?」


「私は・・・さすがに眠れそうにもないけど・・・一応目は瞑っていようかなって、今日は丸一日動くことになるだろうし少しでも休んでおいた方がいいだろうし」


明利の言うように今日は一日動くことになる、今のうちに睡眠をしっかりとっておいた方がいいのだ


ただでさえ八時間の時差があるため静希達にとってはパフォーマンスが落ちるのは避けられない、それを少しでも緩和するためには休んでおくのが一番なのである


無論この時間に、というかこの全くつかれていない状態で寝られるはずもない、だが目を瞑っているだけでも違うものである


「鏡花ちゃんはどうするの?やっぱり眠ってる?」


「そうね・・・日が昇ったらそれなりに行動もしたいし・・・静希、睡眠薬くれる?一応軽く寝ておくわ」


「いいけど・・・疲れるかもしれないぞ?」


本来の正しい時間に眠らなくては疲れがたまるというのはよくある話だ、今ここで無理に寝るよりも起きていた方がいいように思うのだが、とりあえず鏡花も体を休めることに集中するようだった


すでに陽太はベッドに横になっている、いつでも寝られるというのはある意味特技だなと思いながら静希はとりあえず装備の点検を始めることにした













夜が明けたのはそれから約二時間後、この時期のドイツの朝はまだ肌寒い、僅かに靄のようなものも出ているためか外の様子はよく見えなかった


散歩がてら状況を確認するために静希はとりあえず建物の外に出るとようやくその周囲を確認することができる


夜が明けたことで光源が確保され、静希達が休んでいた建物や、軍が駐留している場所の詳しい風景が静希の目に入っていく


かなり広い敷地内にいくつもテントや急造の建物が作られているのが見て取れた、一体どれだけの人間がこの場に集まっているのだろうかと周囲を確認していると静希の後をついてきたのか明利が小走りでやってくる


「すごい数だね、こんなにテントがたくさん」


「あぁ・・・正直ここまでの大部隊だとは思ってなかった」


静希と明利が辺りを見渡していると、近くには何人かの軍の人間が作業をしているのが確認できる


すでに動き出している人間もいるが、今は朝という事もあり朝食の準備だったり準備運動をしているものがほとんどだ、本格的に動き出すのは恐らくあと一時間以上あとのことだろう


そしてそんな中でも部隊の人間の中には静希達に気付き視線を向ける者もいる、やはり観察されている、どこからこの視線が向けられているのかはわからない、というか視線の数が多すぎてどこからも見られているという印象を受けた


「これだけの大部隊と行動を共にするってのは、さすがに初めてだな・・・ちょっと緊張するわ」


「アハハ、でも静希君も頼りにされてると思うよ、みんなこっち見てるもん」


みんなが見ている、それは頼りにされているというより、本当に役に立つのだろうかという疑いの目であると思うのだが、明利にとっては同じようなものであるらしい


疑うという事はつまり役に立ってほしいと思っていることでもあるというのが明利の考え方であるようで、周りの人間から観察されているこの状況は彼女からすれば奮起する理由にしかならないようだった


「俺は頼りにされてもなぁ・・・ぶっちゃけできること少なすぎるし」


「それは私もだよ、これだけの人がいると索敵とかは必要ないかもしれないし・・・」


明利が一番得意としているのは索敵だ、仕込みに時間はかかるもののそれさえすんでしまえば明利が意識的に解除しない限りマーキングした生き物、明利の場合は種を起点とした周囲を索敵することが可能だ


その準備の容易さから彼女が索敵できる範囲はかなり広い、それこそ今回活動地点となっている街一つくらいは覆えるだろう


「明利の場合は役に立てるよ、時に今回はどれくらい種を持ってきた?」


「えっと、メートル間隔であの街を索敵できるくらいの数は持ってきたよ、ただ建物の中とかはちょっと」


「ん・・・むしろそっちの方がいいな、後で中佐に渡しておくか」


種を配置するという索敵の手法上、どうしても死角になる部分が存在してしまう、例えば建物の中などは障害物が多いために死角ができやすい


だが道路などある程度見通せる場所であれば明利の索敵の効果は高く発揮される、今回の場合明利の索敵で重要視されるのは召喚陣の場所を見つける事ではなく、現れるであろう悪魔の契約者の位置だ


詳細に位置を把握し、常に静希やエド、カレンに居場所を告げることでその行動はまるわかりになる、特に未来予知を可能とするカレンと索敵ができる明利、二人の協力があればかなり状況を有利に動かせるだろう


「人数が多ければ種をまくのもあっという間だ、午前中どころか一時間もかからないかもな」


「たくさん人がいると楽だね、これだけの人がいるなら大丈夫だよね」


明利は朗らかに笑っているが、実際の所大丈夫と断言できないところがあるのだ


「あぁ、そうだな、何とかなるだろ」


明利の前だからこそ、不安にさせないように笑って返すが、実際にはそこまでうまくいく保証はない


数の利というのは確かに強い、はっきり言って悪魔の契約者が相手だったとしても人数差で押しつぶすことだって容易にできるだろう


だがその分犠牲は出る、確実に


数で押しつぶすというのは聞こえはいいが、実際のところは人を盾のように使ってこそのものなのだ


能力者の場合で言えば、前衛と中衛を徹底的に使い潰すことになる、前衛がいようといまいと中衛が攻撃をし、相手に攻撃させる暇もなく延々と攻撃し続ける、それこそ数の暴力とでもいうべき徹底的な殲滅だ


できないことはない、万全な布陣を敷いて、待ち受ける形で相手と対峙すればこれだけの人数なら悪魔の契約者を完封することもできるだろう


だが相手は良くも悪くもこちらの思い通りには動いてくれないのだ


時には目的以外のために攻撃をすることだってあり得る、それこそ無関係な一般人への攻撃も考えられるのだ


それをさせないために静希達や軍がいる、相手の攻撃に対して少しでも被害が無くなるように尽くさなければならない、はっきり言ってこちらが不利と言っても過言ではないのだ


相手は犯罪者、無関係な人間を攻撃することも、建物を破壊することだって簡単だ、自分たちにはできないことを、想像もしていないことを簡単にやってのけるだろう


対してこちらはできる行動が限られている、行動は後手に回ることが多くなるだろう、数の利を用いても確実に勝てる保証がない以上、静希にとってはエドたちが来てからが本当の勝負と言えるだろう


誤字報告五件分、そしてブックマーク登録件数が3400件突破したのでお祝いで二回分投稿


句読点の使い方をちょっと勉強中、次に向けて正しい使い方をしなければと思う日々です


これからもお楽しみいただければ幸いです

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