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J/53  作者: 池金啓太
三十話「その仮面の奥底で」

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感性それぞれ

「おぉうこれこれ!これなんて似合うんじゃない?」


「雪奈さん、さすがにそれは露出が多すぎるんじゃ・・・それにサイズ合いませんよたぶん」


「そこは鏡花ちゃんに直してもらえばいいのさ、あ、こっちのも似合いそう!」


コスプレの衣装を売っている店にやってくると雪奈は嬉々として衣装を選び始めた


メイド服と一口に言ってもそれこそ千差万別、何かの作品なのだろうかやたらと種類が多い気がする


メイド服以外にも制服や体操服、水着に巫女服、そしてよくわからない衣装までより取り見取りだ、あまりの彩色に目がちかちかしてくるほどである


「なんかこう言う服の布地って妙に不自然な感じよね・・・何でかしら?」


「使ってる生地の問題なんじゃないかな?普通の服屋さんが作ってるとは思えないし・・・」


こういうところで売っているコスプレ用の制服などは、普段静希達が着る制服などとは明らかに違う気がしてならない


触り心地やその色合いなど、どこか不自然な感じがするのである


オリジナルとは違いますよという事を印象付けたいのだろうか、それとも何かほかに意図があるのか、鏡花と明利は図りかねていた


「おぉすげえな、軍服っぽいのもあるぞ」


「こういうの何処で作ってるんだか・・・若干デザイン違うけど」


実際に軍などで訓練をしていた静希からすればそのコスプレ用の軍服が若干本来のそれと違うことがわかる


生地もそうだがデザインや色なども若干異なっている、どこか別の国の軍服なのだろうかと思ってしまうほどである


「明ちゃん、これとかどうよ、なかなか可愛いんじゃないかい?」


「は、はい・・・可愛いと思いますけど・・・その、私が着るんですか?」


戸惑っている明利に雪奈は当たり前じゃないかとにこやかに笑って見せる、自分が着るという選択肢を最初からなくしているあたりが雪奈らしい


「雪姉、ただ明利に着せるだけじゃ不公平だろ、雪姉もなんかきたらどうだ?」


「えー・・・でも私こういうフリフリしたのあまり趣味じゃないんだけどなぁ・・・」


趣味じゃないものを明利に着せるのはどうなのかと思えてならないのだが、それを言ったところで今さらというものだろう


とはいえ明利にだけコスプレをさせて辱めるというのも気が引ける


「じゃあこういうのはどうかしら、雪奈さんみたいな体形なら似合うと思うけど」


鏡花が取り出したのは所謂チャイナドレスと呼ばれるものだ、脚のスリットに加え胸部の中心部にも若干穴が開いている、本物のそれとは違うコスプレ用のものであることが覗えた


「うっわ、露出高いなぁ・・・これ下着まで見えちゃうんじゃないの?」


「そこは私が上手く調整しますよ、明利にこの格好させるなら雪奈さんもこれくらいしなきゃ」


鏡花がそんなことを言っていると陽太は何かを思いついたのか店の奥の方に向かっていった


きっとろくなことじゃないだろうなと思いながら静希はとりあえず服を見ているセラの方に近づく


「どうだ?なんか気に入ったのはあったか?」


「・・・この着物?みたいなのがいい、かわいいわ」


そう言って彼女が指差したのは確かに着物のように見える和服だが、ところどころにピンクなフリルがちりばめられている


俗にいうなんちゃって振袖のようなものだ、少なくともお祝いごとの時に着れるようなデザインをしていない


こういう服を選ぶ当たりまだまだ子供という事か


「これか・・・あとはサイズだな・・・お前比較的背は高いし大体合うんじゃないか?試着させてもらえ」


「うん、行ってくる」


服をもって店員にお願いして試着させてもらうことになり、その流れに乗じて明利や雪奈もそれぞれコスプレすることになった


「あれ?チャイナ服ってどうやって着るの?」


「そこにボタンがついてるでしょう?そこを開いて・・・」


「あぁここか」


「鏡花ちゃん!これどうやって着るの?」


構造を理解できる鏡花がそれぞれ着方を指導し、全員が着替え終わるまでにかなり時間がかかった


特にセラが着ている着物に関しては鏡花も着付けにかなり苦労していた


なにせ構造を理解できてもその手順を知らないのだ、よく理解し、その形になるようにはどういう順番で着ればいいのかなど、かなり頭を悩ませていた


結果、明利は白と黒のフリルが大量についたメイド姿、体が小さいから多少布が余っているように見えるがこれはこれで可愛らしい


一方雪奈は肩や背丈などは問題ないのだが胸のサイズが合わないのか少々苦しそうにしていた、穴から見える胸の谷間が嫌に官能的である


そしてセラは日本の伝統とはかけ離れたフリルのついている着物を着て上機嫌にしている


日本で購入したものが本格的な着物ではなくてコスプレというのが何とも物悲しい


一国の姫様に買わせたものがコスプレ用品、本当にこの国は大丈夫なのだろうかとその光景を見ていた静希達は若干自らの国の未来を憂いていた


「あ、いたいた鏡花!」


そんなことをしていると店の奥に行った陽太がいくつかの服をもって戻ってきた


一体何だろうかと思っていると、鏡花はその先が見えたのか嫌そうな顔をする


「・・・一応聞いてあげるけど・・・その服は?」


「俺もコスプレするからさ、お前もコスプレしてくれよ、ほいこれ」


そう言って持ってきたのは男性用の神父服のようなものと女性用のホットパンツとタンクトップとジャケットの中間のような服だった


恐らくは陽太が神父服を着て鏡花が露出の高いホットパンツなどを着るのだろうが、何故コスプレなぞしなければいけないのかと鏡花は額に手を当てる


「陽太、別に私コスプレとかしたくないんだけど」


「だって俺がコスプレするならお前もコスプレしないと不公平だろ?だからほい」


明らかに理屈になっていない理論に鏡花は呆れを通り越して清々しささえ覚える


恐らく先ほどの会話から片方がコスプレするならもう片方もコスプレしなければいけないという謎理論が陽太の中で成り立ったのだろう


鏡花にコスプレしてほしいのだがどうしたものだろうかと陽太が悩んだ結果、なら俺もコスプレすれば鏡花もコスプレしてくれるんじゃないかという結論に至ったのだ


一+一が二ではなく築地になるくらいのぶっ飛んだ方程式に近くでその話を聞いていた静希もさすがに鏡花が気の毒になってくる


「あんたね・・・大体何よこれ・・・めっちゃ露出高いじゃない」


「いいじゃんか、雪さんだって露出高めだぜ?なによりお前はこれが絶対似合うって!」


何やら確固たる自信があるようなのだが、鏡花からすれば迷惑以外の何物でもない、そう思っていたが、どうやら鏡花は随分と葛藤しているようだった


陽太が似合うと言ってくれたというのもあるが、何より陽太がやってほしいと言った内容を無碍にするのも悪いと思っているのだろうか、鏡花も陽太に甘くなったなぁと思った瞬間である


「に、似合うかどうかはさておき、これ露出高すぎよ・・・もうちょっと普通の・・・」


「えー・・・いいじゃんか、鏡花はスタイルいいんだし、隠すことねえって」


こう褒めちぎる陽太も珍しいなと思いながら眺めていると、鏡花の耳が若干赤くなっているのに気付く


害意も悪意もなく純粋に褒めているのだという事がわかるだけに、鏡花はどう反応したらいいのか困ってしまっているようだ


そしてそんな様子を見て雪奈と明利がにやりと笑う


「ほほう、じゃあ私達がコスプレするなら静もコスプレするべきなんじゃないかね?」


「え・・・俺もすんの?」


「どうせだったら陽太君のと合わせようよ、陽太君が神父様だから・・・ドラキュラがいいかな」


陽太の超理論に明利と雪奈もほだされたのか、近くにあるコスプレ用品を探し回りドラキュラのコスプレセットを持ってきた


だが持ってきたのは本物っぽいドラキュラではなく、赤い外套に赤いスーツ、そして赤い帽子に丸いサングラス、明らかに何かのアニメキャラのものだった


「これって明らかにドラキュラのそれじゃねえだろ・・・黒マントとかの方が吸血鬼っぽかったんじゃないのか?」


「細かいことは言わないの、ほら着た着た」


雪奈に無理やり試着室の中に入れられ、静希は仕方なしにそれぞれの服を着ることにする


そしてコスプレ用品の中には恐らくモデルガンだろうか、銀と黒の大型の銃が付属していた


吸血鬼なのに銃を使うのかと若干疑問に思ったが、静希と陽太、そして鏡花の着替えも終わり、全員がコスプレして店内に揃うことになる


一見すると異様な光景だ、六人が全員コスプレしているという事態に近くの客は写真まで撮ろうとしている始末


しかも鏡花と雪奈はもともとスタイルもよく整った顔立ちをしているためにより一層目立つ、その二人が露出の高い服を着ていればなおのこと目立つだろう


それぞれ似合う事だけは確認した後で元の服に戻ると、それぞれの服を持ってレジへと向かうことになる


「どうせなら写真とか撮ろうか、もちろん家に帰ってから」


「いいっすね、それじゃ買いますか」


「・・・まさかこんなものを買うことになるとは思ってなかったわ」


「同じく」


「・・・ちょっとかわいいかな・・・?」


ノリノリの雪奈と陽太、項垂れる静希と鏡花、ちょっとメイド服が気に入り始めている明利、そしてコスプレできて大満足のセラはそれぞれの服を購入していく


「・・・コスプレ用品って案外高いんだね」


「こんなにするとは思ってなかったな・・・こりゃ敷居が高いわけだ・・・」


「あれくらいだったら布さえあれば私が作りますけど・・・」


変換能力者がいれば服の作成などは御茶の子さいさいだ、鏡花の場合縫い目なども再現できるためにそのクオリティは店のそれと遜色ない


自然な色合いとサイズを作ることができるのは間違いないだろう


「じゃああとでちょっと胸にもう少しゆとりを作ってくれるかな?あれ結構きつかったんだよ」


「私はもうちょっと小さく・・・だぼだぼだと格好悪いし・・・」


早速と鏡花に依頼する中、このコスプレ衣装は恐らく二度と着ないだろうなと思いながら静希は紙袋の中に納まった赤い服を見てため息をつく


陽太の案内で武器屋にたどり着くと、その中で一番テンションをあげていたのはセラだった


彼女が一番反応していたのは剣や鎧などではなく、手裏剣や小刀といった、所謂忍者っぽい武具の数々だ


手裏剣に苦無、それに鎖帷子など、まさにザ忍者という装備に目を奪われているようだった


外国人の日本に対する印象がよくわかる瞬間である、現代に忍者などいるはずがないのだが、能力を駆使すればそれっぽいことはできる


「イガラシ!手裏剣投げてみて!的あそこにあるから!」


「はぁ?俺手裏剣よりナイフとかの方がなれてるんだけど・・・苦無でいいか」


セラに頼まれ、静希は苦無を一本手に取り近くの的に投擲する


的の中心からは外れたが苦無は的にしっかりと命中していた、その光景を目にするとセラはさらに目を輝かせる


どうやら外国人であるセラは忍者やら侍やらにやたらと憧れがあるらしい、自国の騎士などにあこがれた方が姫としては正しいのではないかと思ってしまうのだが、そこは個人の感性という事にしておくべきか


「こういうのも地味に高いのね・・・わざわざ買う人の気がしれないわ」


「本物持ってる私達だとどうしてもそう思うよね・・・まぁこういうのはあこがれる人はいるって、約一名盛り上がってるのいるし」


鏡花と雪奈が視線を向ける先には置いてある装備を手に取ってテンションをあげている陽太がいる


普段からして刃物などには慣れているはずなのに何故こういう場所でもテンションをあげられるのか不明である


「お!これヒノキの棒とお鍋の蓋じゃん!本物初めて見た!」


「おぉ、これがあの有名なヒノキの棒・・・うん、普通に棒切れだな」


ゲームなどに登場する装備が実際に出てくるとやはりテンションが上がるのか、陽太に加えて静希までもその装備に注目しているようだった


某ゲームなどの装備を再現したものも多いようで、恐らくはそう言ったゲーム好きなどの客層を狙い撃ちにしているようだった


「おい鏡花見て見ろよ!勇者にしか装備できない剣と鎧!これなんかすごくね!?」


「あんたね、他のお客さんの迷惑になるからはしゃぐのはやめなさいよ・・・」


「お・・・こっちは大剣に・・・おぉ、スラッシュアックスまで・・・すごい再現率だね・・・」


静希達がよくやっている狩りゲームに出てくる武器の類まで用意してあるようで、雪奈もいつの間にか武器を前に興味を引かれているようだった


こういった武器屋は本質などを問うのではなく再現率などを評価する場でもあるのだ、特にゲームなどの武器の再現率はかなり高い、どうやって作っているのか少し気になるところである


「・・・ねぇ鏡花ちゃん、今度さ、こういう武器作ってみてくれない?一度使ってみたかったんだよね」


「え・・・可変武器ってことですか?それは・・・かなり難しいですよ?」


ゲームなどで登場する可変武器、一見すると簡単に変形させたり攻撃したりしているが、問題はその扱いよりも強度の維持なのだ


可変するという事は当然その部分は強度が下がる、雪奈のように振り回すことが多い人間がそんな武器を使おうものならまず間違いなく破壊されるのは目に見えている


だが鏡花の能力を使えば可変武器もできないことはないのだ、強度を維持できるかどうかはさておいて


「スラッシュじゃなくてチャージの方でもいいからさ、一度試作してみてよ」


「・・・まぁいいですけど・・・可変武器・・・?動きをみて・・・可変機構考えて・・・めんどくさいなぁ・・・」


「今度なんか奢るから!お願い!」


毎度毎度この姉弟は何故自分に面倒な事柄を押し付けるのだろうかと若干辟易するが、雪奈には世話になっているために断るわけにもいかない


以前静希に頼まれた水圧カッターよりは断然楽だと思われる、特に可変機構というのは少しではあるが仮面の製作で学んでいる、後は可変状態でうまく武器としての状態を維持できればいいのだ


強度に関しては実際に使わせてから考えればいいだろう


「お、だったら鏡花!レウス装備作ってくれよ!鎧の参考にすっから」


「あんたね、これ以上私の仕事を増やさないでくれる?」


雪奈に影響されたのか、近くにあった鎧を見て自分が好きな装備を作ってもらおうと陽太がさらに要求を出したことで鏡花は項垂れてしまう


鎧自体は通常の鎧に外殻部分を増やせばいいだけだ、はっきり言えば楽な仕事だがわざわざそれを作ってどうするのだろうかという疑問が浮かぶ


自分は別に鍛冶屋の類ではないのだけれどなと思うのだが、こういう能力を持ってしまったのが運の尽きと思うしかない


「ねぇイガラシ、シミズは武器を作れるの?」


「・・・まぁ作れるっていえば作れるな・・・あんまり無理を言いすぎると怒られるけど」


以前かなり無理を言っている静希はさすがに今の状況で何かを頼む気にはなれなかった


きっと今頼んだら絶対に正座させられるだろう、静希には一種の確信があった


前に水圧カッターの時に迷惑かけたからなぁと苦笑しながら静希は再び頭を抱え始めた鏡花を見て申し訳なさそうにする


鏡花は相変わらず不憫だなと思いながら、とりあえずセラが買いたがっていた忍者道具の一式を購入することにした









「いやぁ・・・買ったねぇ・・・荷物だらけだ」


秋葉原での買い物を終え、静希の家に戻ってくると、部屋の中は購入したものでいっぱいになっていた


時刻はすでに十七時になろうとしていた、随分と長く買い物をしていたものだと静希自身驚いていた


フィギュアにコスプレ衣服、武具の類に各種グッズなどなど、よくもここまで買ったものだと呆れてしまう


「こっちが私たちので、こっちがセラの?私達も結構買ったわね・・・」


一度荷物の整理をするために鏡花たちもこの場にやってきていた、一括で払うためにまとめてレジで会計したためにどれが誰のものなのかわからない状況となってしまっていた


「こっちがコスプレで・・・こっちが武器で、こっちがグッズで・・・」


「とりあえず鏡花ちゃんたちが帰る前に記念写真撮っちゃおうよ、ほらほら着替えよ」


「え?マジで写真撮るの?」


家に帰ったら記念写真を撮ろうというのはいっていたが、まさか本当にとるとは思っていなかっただけに、静希と鏡花は若干嫌そうな顔をしていた


コスプレをするだけならまだわかるのだが、その写真を撮るとなると羞恥心が大変なことになりそうな気がしてならない


鏡花は嫌そうにしながらも雪奈に引きずられ、別室で着替えを始めてしまう


「えぇ・・・マジで写真撮るのか・・・なんだかなぁ・・・」


「いいじゃんいいじゃん、こういうのも思い出の一つだよ」


陽太はノリノリで着替えを始めている、これはもう逃げられないなと思いながら静希も着替えを始める


『・・・祭りとかで仮装するっていうのはよくあるけど今の日本では普通に仮装とかするのね』


『いや、こういう趣味を持ってる人じゃないとやらないけどな・・・まぁ今日くらいはいいんじゃないのか?』


トランプの中にいる人外たちは静希達のコスプレ衣装に随分興味を持っているようだった


特にメフィやオルビアは基本的に人間とほとんど変わりない、コスプレをしようと思えばいくらでもできるのだ


特にオルビアは常日頃からメイド服を着ても問題ないだろう、そして静希は買い物袋の中にオルビアのサイズに合わせたメイド服があるのを見逃さなかった


恐らくは雪奈が余計な気を利かせて購入したのだろう


『オルビア、よかったな、私服のレパートリーが増えたぞ』


『やはりあのメイド服は私のためのものでしたか・・・雪奈様の計らいでしょうか・・・?』


『えー・・・オルビアばかりずるいわ、なんか私にも頂戴よ』


『お前服着る事自体嫌がるじゃねえか』


静希と陽太が着替え終わるとちょうど鏡花たちも着替え終わったのか先程のようなコスプレ姿になった女性陣たちが現れる


どうやらサイズなどを若干鏡花が調整したらしく、それぞれ動きやすくしてあるようだ


「よしよし、じゃあセラちゃんを中心にして写真撮ろうか、静、デジカメ出して」


「はいはい・・・ちょっと待ってろ」


静希はテーブルにデジカメを設置し、タイマーをセットする


オルビアたちを出すことができるのであればこんなことをすることもないのだが、セラがいるために人外たちを外に出すわけにもいかないのだ


それぞれポーズなどをとってから位置とタイマーを調整して静希もすぐに配置につく


数秒後にフラッシュと共に撮影され、確認すると全員が上手い具合にフレームに収まっているのがわかる


これだけ見るとコスプレ好きのただの痛い集団に見えてしまうから不思議である


「どうどう?どんな感じ?」


「あぁ、上手く撮れてるよ、後は一人ずつ撮っていくか?」


静希の提案にそれよさそうだねと雪奈も同意し、それぞれポーズをとって個人撮影をすることになった


と言っても各員思い思いの恰好で写真を撮るだけなのだが、これもまたいい思い出になるだろう


鏡花は顔を赤くしていたが、明利はもう慣れたのか可愛らしく、雪奈は最初から恥じらいなどなく堂々とポーズをとっていた


この辺りは開き直れるかどうかの差である、鏡花は過度な露出はあまり好きではないようだ、これでよく陽太とできたものだなと思ってしまうが、そのあたりは置いておいた方がいいだろう


そんなことをやっていると突然インターフォンが鳴り響く


一体誰だろうかと思い出てみるとそこには荷物を持ったエドたちがいた


「・・・あれ?・・・ま、間違えたかな・・・?」


「・・・あー・・・いや、あってるぞ、悪いなエド、今ちょっと立て込んでるんだ」


そう言えば近日中にエドがやってくるのを忘れていたと、静希は額に手を当ててため息をつく


コスプレしたままで外に出るなんて恥ずかしいことをしてしまったのもそうなのだが、これからどうしたものかと非常に悩んでしまっていたのだ


なにせエドがここにやってきたのはアイナとレイシャの件が関わっているからである、今さらそれを後日にしてくれなんて言えるはずもない


ただでさえセラを抱えているのだ、人外たちを外に出すわけにもいかない

とりあえず家に上げたほうがいいなとエドたちを招き入れることにする


誤字報告五件分とブックマーク登録件数が3300件突破したので二回分(旧ルールで四回分)投稿


陽太はアンデルセン、静希はアーカード、鏡花はレヴィのつもりでコスプレさせました、これを機にメフィをオタク文化に染め上げようとしてたのは内緒


これからもお楽しみいただければ幸いです

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