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J/53  作者: 池金啓太
三話「善意と悪意の里へ」

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神格との交渉

ゆっくりと立ち上がり、邪薙は静希へと視線を向ける


「少年、名はなんという」


「五十嵐静希」


「ではシズキ、確認だが君達はここのエルフに依頼され、こうして私を正気に戻したのだな?」


「あ、あぁそうだよ」


「ではもう一つ、今回の原因究明は任務に入っているのか?」


「それは入っていないが、原因究明を行った方が評価は高くなる」


城島の言葉に邪薙はそうかと呟いて静希に向き合う


「シズキ、折り入って頼みがある、私をかくまってほしい」


「へ?」


「彼奴らが私を召喚したという証拠を探すのを手伝う代わりに、私を彼奴らからかくまってほしい、連中の前に出たら何をされるかわかったものではない」


「一応神様なら抵抗すればいいのに」


静希の言葉に邪薙はそれができればやっていると悔しそうにつぶやく


「先も言ったが、私は村の守り神だった、人を守る神が人を傷つけることはできん」


先ほどのは戦闘といってもこちらから一方的に攻撃しただけ、この神格邪薙は確かに静希達に向けて攻撃はしなかった


常に攻撃を防ぐだけ、守り神としての矜持というものなのだろうか


なるほどと静希は納得するが、微妙に得心がいかなかった


だったというところに妙な違和感を感じるのだ


「今は守り神じゃないの?」


「私が守護していた村は数百年前に滅んだ、それ以来祠を出て放浪、安穏と過ごしていたところを・・・」


エルフに召喚されこの様だと邪薙は自嘲気味に笑う


「じゃあ今はどこの守り神でもないんだ」


「あぁ、口惜しいがそれほど力を持ち合わせているわけでもない・・・ん?」


そこにひょこひょこと明利と鏡花が近付いてくる


「あの・・・触ってもいいですか?」


「・・・む」


明利はどうやら邪薙の顔の部分、犬の部分を触りたいようだ


動物が好きな明利にとってしゃべる動物というのは非常に珍しいのだろう、触りたいのだろう


確かに静希の目から見ても邪薙の顔の部分の毛並みは美しく、もふもふしていそうだった


「構わないが、痛くしてくれるなよ?」


「は、はい!」


胡坐をかいて明利の背にも届くようにしてくれたところを、存分に撫でまわす


どうやら非常に嬉しいようでその顔は常に笑顔で満ちている


「明利、私にも触らせて」


「う、うん」


鏡花も混ざって邪薙の頭を撫でまわす


若干居心地が悪そうにしている邪薙ではあるが、構わず会話を続けようとする


「このままこの地を去ることもできるが、侮辱されたままでいられるほど私は誇りを失ったわけではない」


その誇りは間違いなく、そして他にないほどに神様のような口ぶりだった


エルフの口にする誇りなどとは全く違う、自身の過去に対しての強い想いから来る物だとわかる


この言葉を言っている瞬間も一年女子二人に撫でまくられていなければきっとすごくかっこよかっただろうと非常に悔やまれる


「私はここの連中に借りを返さねばならん、特にあの長には・・・!」


どうやら相当恨みは深いようだ、神格でありながらエルフに侮辱され、プライドをズタズタにされたことだろう


だからこそ仕返しがしたいという、なんとも人間じみた神様だ


「わかった、俺でよければ、中に入れてかくまうのは構わないよ・・・ただ」


「ただ、なんだ?」


「ちょっと面倒なやつがいるけど」


「あらシズキ、面倒だなんてずいぶんな物のいい方じゃない」


話をトランプの中で聞いていたのだろう、メフィは自然な流れで会話に割り込んでくる


「初めまして邪薙原山尊、私はメフィストフェレスよ」


「・・・その漂う空気・・・悪魔か」


邪薙は一瞬警戒の色を強めたが、静希があきれ顔でたしなめているのを見てその意味がないことに気付き、警戒を解く


「どうやらお前も、私同様彼奴らにしてやられた口か?」


「おしいわね、原因はあいつらだけど、私はこの子にしてやられたのよ?」


「ほう、それは頼もしい」


静希を見ながらほほ笑む邪薙に当の本人は苦笑するしかなかった


「だがその前に女子達よ、そろそろ撫でるのをやめてはくれまいか」


「あ、ごめんなさい」


すっかり邪薙が気に入ったのか撫で続けていた明利と鏡花は口惜しそうに撫でるのをやめて後ろに下がる


「だがどうする?手掛かりなど今のところないに等しいぞ、あいつら何も話すつもりなさそうだったし」


確かにエルフの長は頑なに口を開くことはなかった、恐らく自分たちの不利益となることは絶対に言わないだろう


だがそこにも穴はある


「邪薙が召喚された場所が分かればまだ手掛かりが残っているかもしれない・・・何か覚えていないか?」


以前聞いた召喚の陣、それが残っていれば石動に聞いて少しでも情報を引き出す事ができる


「ふむ・・・私はこの村の地理には詳しくない、私を宿した少女に聞くのはどうだろうか」


「東雲優花か、確かにおあつらえ向きに家に招待されているな」


本来東雲家の人たちはそのようなこととは関係なしに歓迎してくれたのだが、今回はその善意に甘えさせてもらうとする


「そういえば邪薙の事は長にはなんて説明しようか、隠すにしたってここにいないのがばれたら」


「でもよ、おとなしくさせて帰らせたなんて言えばお払い箱にされるのは目に見えているぜ?」


「まったくね、あいつら喜んで追い払うでしょうね」


陽太と鏡花の言葉に心から同意する


長の心配は神格がこれ以上暴れないことだ、そして暴走することと村に被害が出ないことを願っている


「じゃあ、わんちゃん神様が暴走して鎖をちぎって逃げたってことでいいんじゃないか?それで私たちは村を捜索する大義名分が立つし」


「おぉ、深山から妙案が出るとは」


しかし仮にも神様をわんちゃん扱いとは、この人は本当に相手が神格であるということを理解しているんだろうか


「でも今すぐに逃げられたら俺ら徹夜コースだぜ?できるなら今日はゆっくり寝たいな」


確かに今すぐに邪薙が逃げたと長に報告すれば見つかるまで動かされるのは目に見えている


「じゃあ、明日までに優花ちゃんに召喚の場所を聞いて、途中で合流とか・・・だめかな」


「なるほど、それまで邪薙には怒り狂っている演技をしていてもらうと」


「う、うん」


明利からいい案が出た、明日までに場所の特定、そして邪薙がいなくなったことを理由に捜索、そして証拠を見つける


なかなか理にかなっている


「ふむ、怒りを燃やすだけでいいのなら問題ない・・・が私を拘束するのはどうする?先ほどの鎖は消えてしまっているぞ」


「うぅん・・・どうしようか」


「それこそ静希の能力ってわかってるんだから、能力で縛ってるように見せりゃいいんだろ?トランプとばして結界だから近付かないようにとかいっときゃオッケーじゃね?」


「安直だな・・・でもそれで大丈夫かな」


「ふむ、怒り狂わずに怒るふりだけなら造作もない、問題はないと思うが・・・どうやって合流する?」


「それこそ静の能力ならそのままトランプの中に入ってあとは回収すればいいだけじゃんか、楽なもんだ」


確かにこういう時にトランプごと操れるというのは楽だ


もうすでに邪薙のパスはできているから遠隔だろうと自由に出し入れ可能、条件はほぼクリアされている


fate買ってしまった・・・


だが後悔はしていない

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