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J/53  作者: 池金啓太
二十七話「所謂動く痕跡」

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今と未来

「へぇ、じゃあそれを使って情報伝達しろと」


「そう言う事、まぁ今回は裏方ね、わかってたことだけど」


鏡花がエドから受け取った機材を見ながら静希は仕方ないなと笑いながらつぶやく


それぞれ合流した後、静希達は買い物をするため、そして情報の共有をするために近くの店に入っていた


今静希達がいるのは服屋である、丁度明利にも着られる服がないかと模索している最中なのだが、なかなかどうして身長が小さすぎるためか子供服になってしまいかねなかった


実際今回鏡花たちは大手を振って動くことができないために裏方に回るのは仕方のないことだ、無論静希も同じように大々的に動けないのだが、静希の場合はまだましといえるだろう、なにせ逃げようと思えばいつでも逃げられるのだから


鏡花たちはただの学生という名目で半分自由な状態にされているようなものだ、これで静希並に頭が回り、高い能力を有し、何より場馴れしているという事が知られたら確実に監視がつく


さらに言えば情報を流した、あるいは目標の捕縛に対する何らかの関与を疑われる可能性もある、鏡花は今回の一連の件に関しまったく目立ってはいけないのだ


「それで、なんでもカレンさんの予知にあんたの姿があったみたいだけど、その話ってもう聞いた?」


「あぁ、電話でそれらしいことは聞いた・・・って言っても、あいつらが捕まえて事が終わった後にそこに呼び出された可能性だってあるぞ?俺が無理して出ていくような場面でもないと思うんだけど・・・」


カレンの見た未来には目標を捕縛した場面に静希の姿があったのだという、実際に捕まえる現場にいたわけではないために静希の言うようなことも十分考えられる


だがどのような状況になっても高い確率で尋問の時には静希はその場にいるのだ


情報を適切な状態で取得できるという意味では絶好の位置にいるのだが、状況が状況だけにあまり手放しに喜ぶことができないのもまた事実である


なにせその場にいるという事は監視を振り切るという事でもあり、同時に現地の人間に怪しまれるかもしれないという事でもあるのだ


「今回はあんたの目的なんだから一応現場にいておいた方がいいでしょ」


「現場って、尋問の方か?」


「そうよ、その為にこんなところまで来てるんだから」


静希の今回の目的は合法的、あるいはばれないようにジャン・マッカローネを拘束してリチャード・ロゥについての話を聞くことだ、その為にはジャン・マッカローネが犯罪者かそれに近い位置であることが好ましい


とはいえ警察などの機関にそのまま引き渡したのでは正確な情報伝達ができる保証がないために自分たちで尋問して聞き出すほかないのだ


その際に物理的な手段をとることになるかもしれないが、情報が手に入るのならその程度は許容してしかるべきだ


なにせこのまま放置していたらどんな被害が出るか予想もできないのだ、早く情報を得て捕まえておかなければどうなるかわからない


少なくともこれ以上面倒事の種になる召喚や、奇形関係の事件、そしてそれに属する行動は止めなければならない


確かにそう考えると静希はその場にいたほうが正しい情報は得ることができるかもしれない、いやむしろいたほうがいいだろう


暴走する可能性のあるカレンをエドだけで止めることができるかといわれると少し自信がないのだ


今のところカレンは普段通りにしているらしいが、何をきっかけに暴走するかわかったものではない


「悪魔の有無はちょうど今頃あの二人が確かめてるのか?」


「たぶんね、朝と昼は難しかったらしいから、夕方以降確認するっぽいわ・・・ちょっと不安なんだけどね・・・」


あの二人というのはアイナとレイシャのことだ、ジャン・マッカローネに悪魔がいるかいないかを気配で察知できるのは現時点で数人しかいない、その中でも最も警戒されにくい子供なのがアイナとレイシャなのである


鏡花は警戒されにくいという意味ではむしろあの二人に任せるのは筋が通っていると思えるのだが、問題は彼女たちが目標に接触することで何かしらの情報を漏らしてしまうのではないか、あるいは接触するときに妙な警戒心を与えるのではないかというところだ


これがただの子供であるならちょっとした悪戯か、そう言う遊びをしているのであると思われるかもしれないが、あの二人は良くも悪くも優秀すぎる、その為に大人に近い考え方をすることがあるために少しながら警戒されてしまうかもしれないと危惧していたのだ


「あの二人は確かに小さいけど、エドの弟子だ、その所はうまいことやるだろ、それにあの二人、結構肝が据わってるからな」


「肝が据わってるのが逆に問題なのよ・・・子供っぽくないじゃない、たまに明利より大人っぽく見えるわよ?」


最後の方は小声でつぶやき、服の試着をしている明利の方に視線を向けるがどうやら明利にはそのつぶやきは聞こえなかったようだ


聞こえなくて何よりだが、あっちはあっちで着られる服がなくて憔悴しているようだった、明利が着られるだけの服は海外で見つけるのは難しい、それこそオーダーメイドか、購入後に鏡花が手を加えるしか方法がないと言っても過言ではないのだ


「あの二人は大人に囲まれてるからな・・・多少思考や仕草が大人っぽくなっても不思議はないだろ、それでもまだまだ子供だよ」


「それならいいんだけどね」


鏡花としても子供は子供らしくあってほしいのか、いや、あるべきだと思っているのか、アイナとレイシャのことを多少なりとも気遣っている様子だった


「そう言えばあの二人、結局うちの学校に留学するとかいう話が出てたけど・・・結局どうなったのかしら」


「なんだよ、会ってたのに聞かなかったのか?」


「今日の目的は世間話をするためじゃないんだけど?」


今日の目的はあくまで情報の交換とこれからの打合せのようなものだ、余計な話をしているような時間的余裕はあまりなかったし、何よりそこまで気が回らなかったのである


「まぁエドの事だから必要書類は問題なく用意しただろうけど、問題はそれが学校側に認められるかどうかだよな」


「まぁ学校側からすれば、どこの誰とも知れない人間を留学させるってのもねぇ・・・」


ただの学校交流で数時間会うだけならいざ知れず、留学は短期ではあるものの現地に住んで生活しなくてはならない


これがただの学校であれば多少の融通は利かせられたのかもしれないが、アイナもレイシャも能力者で、日本に四校しかない能力者専門学校に留学させるとなると審査も面倒なほどに多いと聞く


能力者を教育するという上での機密事項などはありはしないが、学生を万が一にも傷つけないように細心の注意を払っているのだ


「留学したらあんたの所だっけ?それより私とか明利の家の方がいいんじゃないの?あの子たち女の子だし」


「まぁそれも考えたけど、隣の雪姉の部屋でも問題ないしな、何より妙に懐いてるし」


鏡花の言うように男の家に女二人が住むというのはあまりいい行為ではない、雪奈の家が隣にあるためにほとんど住み込みのようなものだが、女性ならではの悩みも雪奈なら十分に理解することができるだろう


それに留学といっても最長でも恐らく一か月程度のものになる、そこまで問題があるようには思えない


「でも一緒に住むんでしょ?いろいろと必要なものもあるわよ?そのくらいは向こうで用意するかもしれないけどさ」


「そりゃそうだろうけど、あの二人も結構いろんなところに行ってるみたいだし平気じゃないのか?」


「まぁそうかもだけど・・・男女の違いじゃなくて食文化の違い的な意味でもよ?こっちの食事は合わないかもしれないんだから」


鏡花の言うように男女の違いという意味だけではなく食文化という意味でもあの二人は静希達とは大いに異なる生活を送っている


移動する生活が多いせいか特定の決まった味を食べ続けるというものも、またきちんとした栄養素をとれているかも疑問である


そのあたりは保護者であるエドが管理しているだろうが、日本の食事に適応できるかは不明である


そんなことを考えていると試着室のカーテンが開き、服を試着した明利が顔を出した


「鏡花ちゃん、この服どうかな?」


「・・・まぁ明利も通い詰めるだろうし平気かしら」


「・・・?何の話?」


明利がいれば食生活及び栄養素的な問題はほぼないと言ってもいい、さらに言えば医師免許を取得したために簡単な診察もできる、健康面に関しては明利の存在は大きなものになるだろう


試着に夢中になっていたためかこちらの話は聞いていなかったようで明利は衣服を試着した状態で小首をかしげていた


何でもないわよと告げた後で鏡花が軽く明利の体を観察するが、やはりわずかに服が大きいのか随分とゆとりができているように見える


「これならちょっと装飾を増やすだけでサイズは丁度良くなるわね・・・いいんじゃない?似合ってるわよ」


「本当?静希君、どう?似合ってる?」


「あぁ、可愛いぞ、ちょっと大人びて見えるな」


静希の褒め言葉が嬉しいのか明利ははにかみながら試着室の方へと戻っていく、おそらくあの服は購入するのだろう、大人びて見えるという言葉が決め手になったようだった


「うちのと違って褒めるのが上手いわね」


「まぁな、あっちに良い褒め言葉を期待する方が間違ってるって」


鏡花と静希の視線が何やら帽子を物色している陽太の方へと向く、恐らく付き合い始めてからもあまり良い意味での褒め言葉は貰っていないのだろう


陽太らしいと言えばらしいのだが、鏡花としてはちょっとくらい褒められたり直接的な言葉をぶつけられたいのだろう


陽太は恥ずかしがるという事はしないだろうが言葉の選び方が下手だ、鏡花が望むような言葉を向けられるのは一体いつのことになるのか、前途多難である


「ちなみに鏡花とかが新しい服着ていくとどんな反応するんだよ」


「そうね・・・例えば鏡花っぽいとか言われたことはあるわね」


鏡花っぽい、それは褒め言葉なのだろうかと静希は首をかしげる


陽太が言わんとしていることは理解できるのだが、文章的には何が言いたいのか全く分からないひとことである、少なくとも鏡花に対する褒め言葉ではないように思える


「なんていうか、あいつらしいな」


「まぁね、あれでも結構これいいんじゃないかとか勧めてくるのよ?反応がわかりやすいからすぐに似合ってるかどうかわかるけど」


二人の関係が恋人になっても対応が変わっていなかったがどうやら二人で買い物などは頻繁に行っているようだった、陽太の性格から嘘はつけないだろうし、表情にも出るためか買い物の時は陽太の顔を見て似合っているかどうかを判断するようだった


なんだかんだでうまくやっているようで何よりである






「今日の報告はそんなところです、何かあればお願いします」


買い物もそこそこに切り上げて静希達は宿泊しているホテルへと戻り城島に報告を終えていた


今後の予定に展開の仕方、そして得た情報など、城島に報告することが多く地味に時間がかかってしまった


「ふむ・・・予知のことに関しては気になるところではあるが・・・五十嵐自身はどうするつもりだ?強行して尋問現場に向かうつもりか?」


「今のところそのつもりはありませんが、余裕があれば向かいたいところです、とはいえ大体監視がついてますから振り切るとそれだけで警戒されかねないのでちょっと荒事が起きない限りは難しいと思いますよ」


監視を振り切るというのは口で言うのは簡単だ、そして静希なら実際についてきた監視を振り切ることもできるだろう、だが問題はその後だ


何の前触れもなく突然監視を振り切ればそれだけ何かあったという事を教えるようなものである


以前召喚実験の護衛を行ったときのように周囲で戦闘などが起きれば『そちらの応援に回った』という大義名分が立つために、監視を振り切ったところで問題はないのだが、今回の場合他の場所で戦闘が起きるという事は考えにくい


何故なら今回は秘密裏に人を攫うのが静希達の目的だ、そして静希と陽太がいく現場では犯人の確保と人質の救出が目的、そんな状況で多数の場所で戦闘が起きるとは考えにくい


そうなると静希が現地のチームににらまれることなくその場から離れるのは難しい、それこそちょっとした荒事が起きない限りは


「荒事を起こそうと思えば起こせるだろう、手札の一つを切ればいいだけだ」


「トランプの中の連中は出しませんよ?無駄に手の内をさらしたくないんですから」


「バカを言え、市街地でそんなことをさせられるか、他に荒事に向いている奴がいるだろう」


城島の言葉に静希は自分の中の知り合いを思い浮かべる、そして荒事に向いているという条件で探し出すと一つ心当たりがある


「なるほど、テオドールですか」


「あぁ、何かしら面倒を起こさせればいい、火が起きないなら火種を作ればいいという事だ、あいつの商売上、この辺りで暴れるだけの理由は探せばあるだろう」


テオドールは非合法な組織、マフィアやギャングに近い組織に身を置いている、その規模はヨーロッパ圏内で随一と聞く、このイタリアでも強いパイプを持っているとみて間違いないだろう


その荒事を起こすだけの理由はいくらでもある、今は無いかもしれないがないのなら作ればいいだけだ、何かしらの仕事のプランを早めたり、ついでにやってしまえばいい仕事をこれを機にしてしまえばいいだけである


商売もしてなおかつ静希に恩を売れる、テオドールとしては悪くはない条件だろう


「小さな荒事程度ではお前が出る幕ではないという風になるだろう、あえて人質か犯人を逃がすように手引きさせてお前が後を追うという形で逃げればいい、それはお前が打診しておけ」


「わかりました・・・先生がこういう事言うとすごくスマートに聞こえますね」


「・・・一応褒め言葉として受け取っておこう」


城島が助言することは大体荒っぽいんだけどなという三班全員の認識はとりあえず心の内に秘めておくことにした


城島も何とはなしに心にもないことを言っているとわかっているのか、そこまでこのことを追及するつもりはないようだった


「向こうの人間から何か追加の情報はないのか?実行時間や内容などは」


「いいえ、何も・・・やっぱり静希を良いようにつかいたいんでしょうね、情報を規制して振り回そうとしてるのが目に見えてますよ」


あらかじめ教えられていなければ考えるだけの余裕も得られない、十分に準備をするだけの余裕がなければ指示に従うほかない


普通の学生ならそれで十分だろうが、生憎静希達は良くも悪くも普通の学生という垣根はすでに超えてしまっている


特に静希はこういう不確定要素の多い現場は慣れっこなのだ


「向こうの動きは読めていても、向こうの動くタイミングがわからなければどうしようもないという事か・・・連中もバカではないからな・・・五十嵐の力を利用するためならそのくらいはするだろう」


「とはいえ、今回俺は別に犯人逮捕に関しては傍観に近い形でいてもいいんですけどね、むしろ勝手にやっててくれって感じです」


「身もふたもないこと言わないでよ・・・まぁあんたからすれば誘拐された人とか興味ないかもしれないけどさ・・・」


静希が求めるのはあくまでもリチャード・ロゥの情報であって、その研究者たちが何をしていたのかというと事には正直言って興味がない


あれだけ大掛かりに金が流れ、絶妙なタイミングで事件が起こっているのだ、まず間違いなく奇形化に関する研究を行っていたことだろう


犯人と誘拐されていた研究者に関しては静希は基本ノータッチを貫くつもりだった


手を貸せと頼まれれば協力することも吝かではないが、自分の行動の妨げになるのであれば断る腹積もりだった


元より相手がこちらを利用するのではなく、こちらが相手を利用してこの場にいるのだ、そもそも体面上は協力していてもそこまで行動を共にする義理は無い


もし失敗したとしても悪魔の契約者などがいないのであれば自分に出る幕はなく、その場合はただ単に捜査チームの腕が悪かったとしか言いようがないのだ


そんな話をしていると静希の携帯に電話が入る、相手はエドからだった


「もしもし、エドか?」


『やぁシズキ、今平気かい?ちょっと話でもと思ってね』


電話の向こう側から聞こえるエドの声から、そこそこ機嫌がいいという事を察した静希は僅かに頬を緩める、いい知らせが聞けることを期待して近くの椅子に腰かけながらメモを準備すると鏡花たちの視線が自分の方に集中した

こちらとしても確認したいことがあったためにこのタイミングでの電話は最適だったと言えるだろう


『まずは報告から行こうか、アイナとレイシャが向かっていた目標の周囲の索敵に関してだ・・・結論から言えば彼女たちは悪魔の気配は感じなかったそうだよ、彼だけではなく、彼の周囲にもそれらしい気配は感じなかったそうだ』


「へぇ、それはいい報告だ、間違いはないんだな?」


『あぁ、結構長い間入念に調べてくれたらしくてね、今は疲れて眠っているよ』


子供の体力では街を歩くだけでも長時間は続けられないだろう、それを神経を張りながら気配を探っていったのだから疲れもする


「わかった、二人を信頼しよう、こっちは目標の周囲に悪魔がいないという方向で動くことにするよ」


あえて口に出すことでその場にいる全員にその事実を伝え、静希は満足げに微笑む


鏡花たちもその報告に安心したのかひとまず安どの息を吐いていた、なにせ自分たちが危険にさらされるか否かが決定される内容だったのだ、その安心は一入だろう


「それで?報告以外にも何かあるのか?」


『一応確認しておこうと思ってね、結局のところそっちには具体的な作戦の開始の情報は入っているのかい?』


エドの言葉に静希は若干表情を曇らせる、エドたちは仕事をしっかりとこなしてくれているというのに自分たちは満足に情報を得られていないのだ、僅かながらに申し訳なさが静希に襲い掛かる


「いいや、向こうはこっちに詳しいスケジュールを伝えるつもりはないみたいだな、俺の推測でよければ話せるけど」


『ふむ・・・じゃあシズキの意見を聞かせてくれないか』


静希は一息ついてから自分の中で考えていた最適と思えるこの作戦のスケジュールをエドに話すことにした


もちろんこの中には静希の個人的な見解も含まれている、その為正確とは言えないという事を枕詞にしてから口を開いた


「決行は多分明日になると思う・・・明日はまだ平日だ、個人の行動が掴みにくい休日より、勤務をしてある程度予測できる平日に合わせて捕縛を行うと思う」


『それは、スケジュールをジャン・マッカローネに合わせているという事だね・・・という事は作戦は同時に行われると見たほうがいいのかな?』


「そうなるだろうな、動いている人間としても事を大きくしたくはないはずだ、たぶん夕方から夜にかけてが本格的な行動開始になると思う」


真っ当な人間ならば平日の行動はある程度パターン化されることが多い、何時に通勤、通学し、何時に帰宅するか、ある程度予測もできるし行動場所も特定しやすい


早朝ではなく夕方から夜と限定したのは、企業側に対しても余計なアクションを起こさせないためでもある


もしジャン・マッカローネだけではなく企業の方でも連携して金の工面に協力しているのであれば、中心人物であるジャン・マッカローネが平日に唐突にいなくなれば何かあったのではないかと勘繰られる


その場合最悪証拠を処分されかねないのだ、その為その日の企業の活動が終わった後で確保、そして情報を得るというのが最もスマートな行動順だと思われる


静希達がこちらに到着したのは水曜日、そして今は木曜、明日は金曜日だ、今週最後の平日であるためにその日が終われば土日をはさみ企業の動きは鈍くなるはずである


現場の捜査チームとしては企業そのものが結託していることも考え目標を捕える必要があるのだ、夜の暗闇は相手にとっても逃げられるだけの隙や隠れられる場所を用意することにもなりえるが、その暗闇は静希達にとっては好都合だった


『同時攻略ってことは、シズキの協力は難しいかな?』


「それはまだ何とも言えないな、ちょっと裏で手を回そうと思ってるけど・・・カレンたちの予知で詳しい時間とかわかったりしないか?」


ちょっと待ってくれといったん受話器を置いたのか向こう側から聞こえるエドの声が急に遠くなる、どうやらカレンに幾つか確認をしているようだった

正確に言えばカレンに予知の光景を見せているオロバスにというべきだろう


『もしもし、一応確認してみたけど、時間までは難しいようだよ、今こうしている間にも若干未来が変動しているらしい・・・ただ一つ、君がそこにいるという事だけは変わっていないようだけど』


エドの言葉に静希はそうかと呟き口元に手を当てて考え出す


未来というのは変わりやすいものと変わりにくいものがあるらしい、きっかけは些細なものかもしれないが、それがドミノ倒しのように連動して未来に影響する


その影響によって現在、いくつもの未来をオロバスを介してカレンが見ているのだろう


だが絶対的に変わらない未来が一つだけある


目標を捕縛したその場に、静希がいる


よほど強く決定づけられた未来なのだろう、どんな行動をとってもどんなことが起こってもその場に静希がいるという事が変わらない


その未来を見たカレンも驚いていたが静希自身少しだけ驚いていた、何故自分がそうまでその場にいるのか、エドたちを信頼するのであればそこに行く必要性はそこまで高くはないというのに


誤字報告を十件分受けたので二回分(旧ルールで四回分)投稿


早く生放送の動画上がらんかな・・・一週間経過しちまったよ・・・いっそプレミアムに・・・いやいかんな


これからもお楽しみいただければ幸いです

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