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J/53  作者: 池金啓太
三話「善意と悪意の里へ」

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到着

「おしゃべりはそこまでだ、降りるぞ」


目的の駅につき、静希達は急いで下車の仕度をして目的の駅に降りる


「ここからはバスで移動、そしてその後は歩きだ」


「歩きっていうのがなぁ、けっこう歩くの?」


すでに時間は夕暮れ時、周囲は紅に染まり、徐々に光がなくなり暗くなっていくだろう


「そうでもない、バスを降りたら三十分程度だ」


「うえぇ」


荷物を持って三十分、しかも地図を見る限りその周辺は山道だ、ちゃんとした道があるとも思えない


静希達の乗るバスは少し待っていたらやってきた


バス停の時間を見る限り一日に三本程度しか通っていない


牧崎村も田舎だったが、ここもかなり田舎だ、すでに道路の舗装が荒くなりところどころ亀裂まで入っている


そして二十分ほど揺られてあるバス停で下車する


バス停の名前は『阿左美山入口』となっている、どこにもエルフの村の入り口とは書いていない


「本当に歩くのか・・・明利、平気か?」


「う、うん、大丈夫」


今回は乗り物酔いもそこまでひどくないのか、明利の顔はいつもと同じような血色だ


石動を先頭に道なりに山に入っていく


あたりはすでに暗くなっており、山の木々にわずかな光もさえぎられてさらに暗さに拍車をかけていた


「あぁ暗いな、おい静希、ちょっと能力使っちゃだめか?」


「だめ・・・と言いたいところだけどこうまで暗いとな・・・部分展開ならいいぞ、周りに燃え移らないように細心の注意を払うこと、先生それでいいですか?」


「あぁ、許可する」


静希と城島の許しに、陽太は右腕だけ藍炎鬼炎を発動する


周囲が陽太の炎で照らされ一気に明るさを増した


「それにしても何でこんな山の中にいるんだエルフってやつらは、なんか理由でもあんのか?」


「昔ここに住み着いたこと以外は私は知らない、長なら何か知っているかもしれないが・・・」


同じエルフと言っても知っていることにも限りがあるようで石動は周囲を確認しながら進んでいく


少し進んだあたりで石動は本来のコースから外れ、獣道に入っていく


「おい石動、道から外れるけどいいのか?」


「あぁ、こっちに行かないと村には着かない」


「陽太、ここからは能力抑え目で頼む、燃え移りそうだ」


「了解」


発動範囲を腕から掌まで抑えて陽太は周囲に気を配りながらあたりを照らす


それからどれほど歩いただろうか、もうすでに完全に日は落ち、各員懐中電灯を取り出してあたりを照らしながら山の中を行軍していた


まさかここまで歩かされるとは思っていなかったために明利だけでなく鏡花も体力がなくなりかけていた


そのため明利の荷物を静希が、鏡花の荷物を陽太が担当して持っていた


さすがにおぶるわけにもいかないので、頑張って歩いてはいるものの、二人とも運動が得意なわけではないようでかなり体力を消耗していた


学校帰りにこんな山奥を歩かされてはさすがに体力もなくなるというものだ


「石動、今どのへんだ?」


「あと少しだ、そちらも辛いだろうが頑張ってくれ」


「せめてこの木の枝落とせればいいのに・・・」


「そんなことをしたらエルフの村の場所がまるわかりになってしまう、やめてくれ」


わざわざこのようなところに村をつくるというだけあって、その場所は隠しておくべきなのだろう、なぜそのようなことをするのかは皆目見当がつかないが


「明ちゃん、後ちょっとだってさ、頑張って」


「はい・・・大丈夫です・・・!」


明利は汗をかきながらもついてきている、鏡花も同様だ


何度か周りが声を掛け合っていると石動が停止する


「どうした?」


「今壁を開けている・・・」


壁?と全員が首をかしげると石動の目の前の空間が歪み始める


延々と木の続いているはずの空間が急に開け、明かりが周囲を照らし始める


「到着したぞ」


目の前に広がっていたのは近代的な建物、こんな森の中なのになんとも似合わない程の文明の証


てっきりログハウスのようなものばかりあるようなイメージだったが、建物としては牧崎村のそれと何ら変わりない


「ようこそ、私の村へ」


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