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J/53  作者: 池金啓太
二十三話「世界に蔓延る仮面の系譜」

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対抗、そして

とはいえ、静希が言っていたようにやりようはある


予知系統には大まかにではあるが特性がいくつかあるのだ、具体的に言えば『どのような未来が見えるか』である


例えば現在から十秒後という時間的な未来だったり、自分が怪我をすると言った状況的な未来だったりと見えるものは能力によって異なる


だがそのすべてに共通するのは、状況が変わることによって見える未来の内容も変わってしまうという事である


過去はすでに起きていることであるため変えようはない、現在は今この時の行動、そして未来は今この現在の行動によって常に変わり続けているのだ


未来など見えない静希からすれば意識しようもないが、それを認識できる人間にとって行動とは常に未来を変えるという事に他ならない


先程の行動であげるのであれば、カロラインは静希が銃を撃つという未来、あるいは静希に銃で撃たれるという未来を予知したという事になる、だからこそ避けられた


バイクからいち早く脱出できたのも、バイクが射撃されるという未来を予知できたからに他ならないだろう、逆に言えばその未来を予知し、行動をしたことによって未来が変わったという事になる


撃たれるという未来から、避けたという未来、つまりすでに彼女が見た未来と現在は別物になってしまっているという事である


予知能力の欠点はそこにある


確定した未来はごくわずかだ、あらゆる要素が重なってようやく出来上がる未来、それを覆すことは難しいが、確定していない未来は覆すのは容易、その場合何度も何度も予知の能力を使わなくてはいけない


一度に見ることができる景色に限りがあるように、一度に確認できる未来にも限りはある、静希がやろうとしているのはその処理能力の限界を超えた連続攻撃である


幸いにしてこの辺りは市街地、身を隠す場所も罠を仕掛ける場所もたくさんある


静希の攻撃に対してどのレベルまで対応でき、またどれほどの未来を確認できているのかを判断するには絶好の機会である


召喚が確認されたとき、そこが勝負の始まりになる


静希は明利のナビを聞きながら確実にカロラインを追い詰めるためにトランプの配置を始めていた


『シズキ、もしあっちに悪魔が出て暴れだした場合、どうするの?』


『・・・その場合この場を軍に任せる、徹底包囲までは俺が足止めしてそれが終わり次第救援に向かう形だ・・・そのくらいの時間は持つだろ、それで悪魔が出たほうにエドと軍の配置を入れ替える』


静希達は今戦力を三分割している、静希、鏡花たち、エド、この三分割だが鏡花たちは悪魔に対して有効的な手段は有していない、どうしても自分が行く必要があるのだ


カロラインの確保が静希の目的でもあるが、その代償として鏡花たちが死んでしまったら元も子もないのだ


エドがいればどちらに悪魔が宿っているかわかった時には足止めくらいはできる、その展開に少し時間がかかってしまうかもしれないが召喚が終わればこちらに人員を割くこともできる、時間が経てばたつほどこちらが有利になるのは明白である


もちろん相手がそんな悠長な手を使ってくるはずがないことは静希も理解していた


静希がトラップの配置をしながらカロラインを追う中、研究所内にいる鏡花たちの緊張は高まりつつあった


もうすぐ十時、すでに召喚陣は完成したのか、煌々と光を放ち屋内を照らしていた


「そう言えば実際に召喚を見るのはこれが初めてね・・・」


「そうだな、奇妙なもんだな、何でこんなところにいるんだか」


今まで人外達とは多く触れあってきたというのに、その始まりともいうべき召喚には関わってこなかったというのは鏡花たちにとって幸運だったのだろうか


こうして今その場に立ち会っているという事を考えると、経験しておいて損はなかったかもしれないが、今となっては後の祭りである


そんな中研究者たちが召喚陣に近づいていき、いよいよ召喚が始まろうとしていた


「どうする?明利をこっちに集中させるか?」


「やめておきましょ、あっちはあっちで佳境なんだから、明利の分は私達でフォローするわよ」


もうすぐ召喚が始まろうとしている今このときにも明利は静希のナビをやめようとしなかった


現在進行形で移動するカロラインを追うには、同じように今この状態で相手を把握しそれをナビする存在が必要なのだ


明利はそれをわかっている、たとえ自分が危険になろうと今この場では索敵し正確に情報を伝達するのが自分の仕事なのだと理解している


そして明利の索敵を近くの通信兵が常に範囲内の部隊に伝達している、その為通訳は大忙しだ、近くにいる鏡花や陽太の会話が気にならないほどに


そもそも明利の入手できる情報全てを伝達するには口が一つでは足りない、後三つほど必要なのではないかと思えるほどに多いのだ、切羽詰るのも無理ないだろう


「どうする?もう能力使っておくか?」


「・・・やめたほうがいいわね、好戦的な印象を与えるよりは交渉の余地があると思わせた方がまだましよ・・・もし攻撃するようなそぶりを見せた時は、あんたに前に出てもらうから・・・任せたわよ」


「・・・アイマム、任せておけって」


不安そうな鏡花を励まそうとしたのか、陽太は笑みを浮かべながら自分の胸を叩いて見せる、陽太なら大丈夫、そう思える何かがこの笑みにはあった


そして集中を高めているとついに召喚陣がその役割を遂げようとしている


部屋一帯が光で満ちていき、僅かな稲光にも似た閃光が明滅し始める


十時ちょうど、召喚は時間通り行われた


新たな予定が生まれない限り予約投稿は今日までにしておこうと思います


長かった・・・本当に長かった・・・反応が遅れているとは思いますが本当に申し訳ありませんでした


これからもお楽しみいただければ幸いです

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