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J/53  作者: 池金啓太
二十三話「世界に蔓延る仮面の系譜」

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警戒と先読み

自分の名を呼ばれたことで、目の前にいる人物が自分のことを知っているという事を察したカロラインは僅かに警戒の色を強める


エルフ特有の仮面、半分しかないその仮面の奥から覗く瞳は疑心と警戒に満ちていた


静希は未だ顔を隠している、その表情は彼女からは見ることができていない、そして静希の能力自体も隠しているが自分の前にことごとくあらわれて見せたことから自分の位置を何らかの方法で把握しているという事までは気づいているとみていい


相手は顔を隠す術を失い、なおかつ移動手段であるバイクも破壊した、対してこちらは未だ顔も見せず、移動手段であるフィアも失っていない、そして相手の能力もある程度解明し、こちらは能力の欠片も見せていない


一見すれば静希の方が有利に見えるが、静希は内心かなり焦っていた


なにせ静希の能力と予知系統はかなり、いや最悪の相性といってもいいほどだ


収納系統は本来戦わずに後方からの支援を行うタイプが多い、中には戦闘を行う能力者も存在するが、主に事前に用意した物質などを用いてのものが多い


そう、予知系統が相手の場合、こちらが手の内を見せる前にそれを把握される可能性があるのだ


先手を打つか、不意を突くのが静希の戦闘での常套手段だが、それが通じない相手が予知系統なのだ


無論能力の種類によってはその特性の穴をつくことだってできるし予知だって万能ではない、だが情報などを重視する静希にとってこれほど嫌なタイプはない


「お前には幾つか聞きたいことがある、拘束させてもらうぞ」


「・・・この言語・・・日本人か・・・何故こんな所に・・・」


静希は日本語を、カロラインは静希の知らない別の言語を話しているのにもかかわらず両者が対話できていることから、カロラインは静希の全身をくまなく観察し、先程謎の人物であるオルビアが出てきた剣を視線に入れた


一瞬ではあるが自分に組み付き、ヘルメットを奪って消えたあの人物がいったい何者か、恐らく悩んでいるのだろう


とはいえ足を止めている状態は良くないと判断したのか、静希のいる場所とは反対方面に走り出す


静希は警告もなしに銃を発砲し攻撃するが横の脇道に入られいともたやすく回避されてしまう


やはりある程度攻撃を予知されているとみて間違いない、恐らく点での攻撃ではまず当たらないだろう


先程バイクに直撃させられたのも全面からの能力の攻撃に合わせて側面から援護射撃したからこそ当たったのだ、物理的によける隙間のない状態だったからこそ当たっただけで、きっと避けられる隙間があるならどんな弾丸の雨でも当たらないのかもしれない


静希はフィアにまたがり明利のナビを聞きながら再びカロラインを追跡する


そろそろ十時、召喚が行われる時間だ、せめてそれまでは自分がこうして追いかけて対象を近づけさせないのが理想である


どうやら弟のフリッツの方も上手く足止めができているようで、このままいけば無事に召喚はできそうだ、それまでは鏡花たちに警戒を呼びかけるしかない


だが問題は召喚が終わった後だ、悪魔がどう動くか、そして悪魔の召喚に対して周りの人間がどう動くかがネックである


『静希、こっちは召喚がもうすぐ始まるわ、そっちはどう?』


「絶賛追いかけっこ中だ、相手が予知系統っぽいから苦労してるよ・・・」


無線で連絡が入り鏡花たちの方で召喚が間もなく始まるという事を知ると静希は眉間にしわを寄せた、これから面倒なことが起きる可能性もあるのだ、無理もない


『予知か・・・あんたとは相性良くないかもね』


「あぁ、でもやりようはある、何とかするよ・・・そっちも注意しろ、何が起こるかわからないからな」


『わかってるわ、いざとなれば研究所全部ぶっ壊してでも逃げてあげるから安心しなさい』


鏡花の能力ならそれもできるだろうなと苦笑しながら静希は鏡花との通信を終了する


向こうは恐らく大丈夫だ、悪魔が召喚されても多少は持ちこたえられる


問題はこちらだ、予知系統の能力者相手に立ち回るのはこれが初めてだ、しかも相手は悪魔を連れている可能性が大、そうなると少々こちらが不利だ


静希もそうだがメフィの攻撃も基本は射撃に近い点攻撃が多い、しかも撃った弾は撃ちっぱなしでそのまま一直線に進む、正直言って避けやすいことこの上ないのだ


『メフィ、お前って絨毯爆撃みたいなことできるか?』


予知系統に対して有効な手段は、予知していてもどうしようもないレベルの広範囲、及び高威力の攻撃をぶつけることだ、そう言う意味では静希はすでにその手段を有していると言っていい


なにせメフィは一撃でダムを半壊させるレベルの威力がある攻撃ができるのだ、広範囲に攻撃する事なんてわけない


『ゲームみたいなやつ?できなくもないけど、この辺り一帯更地になるわよ?』


『だよなぁ・・・町破壊するわけにもいかないし面攻撃は無しだな』


あえて欠点をあげるのであれば、その手段において攻撃力が高すぎるのが問題だ


ここがただの岩場だったり草原だったりするのであれば何の躊躇もなくその手段をとったかもしれないが、生憎ここは市街地、どこかの誰かの家や建物がある以上必要以上に壊すわけにはいかないのだ


だが範囲が狭い攻撃では容易によけられてしまう、悩みどころだった


メフィ自身別段絨毯爆撃もどきに抵抗があるわけでも問題があるわけでもないが、もしそれをやった時に来るしわ寄せが静希に来るのがネックなのだ


鏡花がその場にいれば住宅地の形を変えることくらいできたかもしれないが、この場にいないのが本当に悔やまれるところである


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