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J/53  作者: 池金啓太
三話「善意と悪意の里へ」

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精霊、神格そして悪魔

「その精霊って見ることできるのか?」


「いや、使役者以外は見えない、それがお前達人間に精霊の存在を疑われる由縁でもあるのだが・・・」


ため息をつきながら難儀なことだと頭を悩ませながら手札を混ぜていく


「じゃあ石動には精霊の姿が見えているのか?」


「あぁ、毎日いろいろと口うるさくしてくる、もっと早く寝なさいだの、もっと栄養バランスに注意しなさいだの・・・」


まるでお母さんだと思いながら全員が静希を見る


「なんだよ」


全員の目は憐みを含んだ眼差しで、それが静希の心情を逆なでする


確かにメフィとは別の意味でやかましいようだが、そっちの方が何倍もいいなと思いながら静希はため息をついていた


『あら、私もお母さんみたいに注意した方がいいのかしら?』


『そんなことできんのか?』


『無理ね、栄養バランスとかどうでもいいもの』


「ったく、これだからうちのは・・・」


「うちの?」


「あ、いや何でもない」


うっかり口に出してしまっていたことに気付き静希は自身を叱責する


ただでさえ悪魔という爆弾を抱えているのだ、余計なことを話すべきではない


その存在が露見してはいけない、しかもここは公共機関内、どこに人の目があるかもわからないのだ


迂闊、その一言に尽きる


「そういえば東雲はどんな精霊をつけてるんだ?結局暴走したままだったけど」


「あぁ、あの子は事故の後ちゃんと風の精霊を召喚してもらえたようだ」


そうなのかと安心した静希とは対照的に鏡花は眉をひそめた


「そんなに簡単に召喚ってできるものなの?時間とかかかるんじゃ」


「もちろん準備は大変だが、召喚を行う場所が全部で四か所ある、風香はその一つを使ったようだ」


「そしてその中の一つで以前の事故が起こって東雲は暴走し、今度は神格を呼びだした・・・か」


「・・・早い話が、そういうことです」


城島の発言に石動は肩身を狭くする


石動は召喚の陣を描くには時間がかかると言っていた


つまり四つもあるのは召喚を複数行うか、または召喚がうまくいかなくなった時の予備か、もしくはそれぞれ呼び出す物に特徴を持たせるものか、そのどれかと言ったところだろう


「まずはその召喚の陣を見せてもらって、神格にご挨拶しなきゃな」


「殺されなきゃいいけどね・・・」


「まったくだ、怒り狂っていないことを祈るよ」


「うぅ・・・いやだなぁ・・・」


「またナイフが効かないとかなったら私達役立たずだな」


「あぁ、物理攻撃が効く相手であればいいんだが」


戦闘に重きを置く雪奈としては重要な問題だろう


メフィの時は静希のナイフも雪奈の刀も通用しなかったのだ


神格がどのような特性を持っているかは分からないが、物理攻撃が効かないとなるとまた陽太の攻撃頼りになりかねない、それは避けたかった


「待ってくれ、今回は鎮めるのが目的だ、戦闘などにならないようにしてほしいのだとおもう」


「っていったって、あっちは怒ってるんだろ?どうやってなだめるのさ、お供え物でもするのか?」


「お供えって・・・お菓子くらいしかないわよ?」


「しかも食べかけじゃなぁ・・・」


すでに菓子はだいぶ食い散らかされ残りもわずかだ、こんな物で荒ぶる神がその怒りを和らげてくれるとは思えない


「本来ならば巫女に頼む仕事なのだろうが・・・長がなにを考えているのか、私にもわからない・・・だがお前達を指名してきた以上、何かあるはずなんだ」


その言葉に全員がバツの悪い顔をする


それは確かに何かがあるだろう、彼らは悪魔と対峙し、その怒り、というか八つ当たりを受け止め、抱えていた苛立ちを発散させたのだから


恐らく鍵になるのは五十嵐静希


悪魔を収納し、悪魔に魅入られた少年


その理由がなんなのかは悪魔メフィストフェレスしか知らない


当の本人の静希でさえ、なぜメフィが機嫌を良くしたのかを知らないのだ


どうしても不安は残る


だがやるしかないだろう、そうでもしなければ村が滅ぶかもしれないのだ


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