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J/53  作者: 池金啓太
二十三話「世界に蔓延る仮面の系譜」

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そして当日へ

静希が考えだした可能性の話を終えて、とりあえず全員明日に向けて早めに就寝する体勢に入っていた


エドは自分がとったホテルの方へ、そして各員それぞれの部屋に戻ると部屋の中でふわふわと浮いていたメフィが何やら唸りながら考えている様だった


メフィが考え事をしていてよい事柄だった記憶はあまりない、ここは無視しておくのが一番だと思っていたのだが、その前にゆっくりと眼前に移動して露骨にアピールしてくるメフィにさすがに反応せざるを得なかった


「・・・さっきから何唸ってるんだ?」


「ん、今回召喚されるのは誰かなと思って・・・ついでにやってくる悪魔は誰かなと」


メフィの言葉にそう言えばメフィはそれなりに悪魔の世界の知識は多いのだったと気づき、あることを思い出す


今回近くに来ているカロラインと契約している悪魔のことだ


「ちなみに、トラウマからその悪魔を特定する事ってできるか?」


「できなくはないけど・・・ちょっと候補多いわよ?似たような状況がトラウマになってるような悪魔って結構いるし」


今回の場合は首をおとされた死体、状況からみればなるほど確かに似た状況は十分考えられる


特に中世などにはギロチンという処刑道具もあったほどだ、首を切り落とすということ自体はそこまで珍しいものではないのかもしれない


静希に言われてメフィは首の落された死体をトラウマにしている悪魔を思い出し始めた


全ての悪魔を知っているわけではないとはいえ、それなりに有名な悪魔であれば彼女の記憶にも残っている様だった


「そうねぇ・・・まぁ有名どころで言うとバフォメットとかかしら」


「・・・どっかで聞いたことあるな、キリスト教にとっての敵だっけ?・・・それってどんな悪魔なんだ?」


バフォメット、文献上では過去キリスト教にとっての異教の神として扱われていたと記憶している、ヤギの頭に人の体をした姿をしているという事までは覚えているのだが、そこから先は当人同士でしか知り得ないことだろう


「あいつはねぇ・・・気の毒な奴よ・・・?」


「・・・一応聞いておくけど・・・なんで?」


「だってさ、あいつが偶然そこにいたってだけで強烈に攻撃されたり追いかけられたりと不幸な目に遭ってきた奴だからね・・・さすがの私もあいつには同情するわ」


一体何があったのか想像するのだが、本当に何があったのかわからない、メフィの顔から見るに相当なことがあったのだろうが、悪魔を追い詰めるほどの何かがあったのだろうか


「それはあれか・・・宗教的なやつか」


「そうよ、キリスト教の連中って基本異教徒には容赦ないからね・・・特にあいつは勝手に異教の神に仕立て上げられちゃってたから」


どうやらそのバフォメットは自ら望んでその座についたわけではないようだった


以前イギリスに行ったときに聖堂に行くのはいやだとメフィが言っていた気がするが、そこまでキリスト教の信者は過激なのだろうかと思ってしまう


過去の話というだけなのではと思えるのだが、今現在そこまで過激な集団が残っているかは疑問である


「ちなみになんでそいつはそんな面倒な神様扱いされちゃったんだ?もともと悪魔なんだろ?」


「んー・・・なんて言ったらいいかしら・・・本当は全く関係なかったのよ、当時そいつが契約してた人が偶然キリスト教相手に面倒を起こしちゃってね、当時のキリスト教徒がその人を異教徒の兵隊だって勘違いして・・・」


「・・・あーなるほど・・・その姿を見てたからあれは異教の神だって・・・そう言う風になっちゃったのか」


当時は今ほど能力やら人外たちへの見解が広まっていたわけではない、むしろ情報の伝達が早くなった現代でも人外の存在を知るのはほんの一握りだ、情報伝達の遅かった当時ではその実態を正確に把握している人はさらに限られていただろう


とはいえ当時の人間はそんなことは知らず、悪魔と神格の違いなど分かるはずもなく、そのバフォメットという悪魔はそのまま異教の神として恰好の的になってしまったという事になる


たった一度のいざこざで、のち数百年にわたり敵意を向けられることになるとは、当人も全く予想していなかっただろう、メフィが気の毒というのも納得できるというものである


「しかもそいつのせいで別に宗教とかやってない人たちまで粛清対象になっちゃったことがあってね、その時のこと思い出すと今でもへこむのよ・・・地味にメンタル弱いから」


「なんか意外だな、悪魔ってそういうことでへこむとかないと思ってたよ」


静希の中の悪魔のイメージがメフィでほぼ固定されているために、悪魔は常に飄々としていてなおかつ適当に動いたり考えたりするような存在だと思っていただけに、昔のことを悔いて落ち込むような悪魔がいることに驚きである


特に自分のせいで粛清されてしまったなんて人間臭い感情があるとは思わなかったのだ


「あいつは結構人間好きなところがあってね、契約の数はさておいて関わってきた人間の数では悪魔の中でもトップクラスなんじゃないかしら」


「へぇ、人間嫌いならまだわかるけど人間好きな悪魔ねぇ・・・なんかさらにイメージ変わったな」


異教の神として祀られていた存在が人間好きだったと言われても全く想像できない


だが少なくとも、メフィのようなタイプの悪魔ではないことは理解できた


どちらかというと人間に近い感性や考え方を持つ、まじめなタイプの悪魔なのだろう、悪魔なのに真面目というのも妙な気がしたが、そこは人それぞれという事にしておこう







その後悪魔についての話を二、三聞いたところで静希は就寝し、ついに召喚実験当日


静希達は予定通りの時間に起床し、各種装備を身に着けて研究所へ向かっていた


鏡花や明利はエドから受け取った銃火器を装備し、静希はそれに加えて鏡花製の鞘にオルビアを収め、その身に備えていた


全員が仮面を手にし、準備万端となったところで、研究所へと到着する


中はすでに慌ただしく動き回る研究者や軍人であふれていた、これから本格的に行動を開始するという事がわかっているのだろう、それぞれの顔に緊張の色が走っている


時刻は七時三十分、静希達は召喚陣のあるホールへとやってきた


「・・・来たか、予定通りといったところか」


「そんなところだ、頼んでいたものは?」


静希の言葉にモーリスは部下に指示して通信機の入った箱をいくつか提供する、それらを仮面に装着し微調整を加えたうえで動作チェックを行っていると、一人静希達の元にやってくる人物がいる


「頼まれていた通訳だ、急ごしらえのためそこまで高度な会話は難しいかもしれないがゆっくり話してくれれば問題ないとのことだ」


軽くお辞儀をする男性を見て静希はわかりましたと伝えた後で周囲の様子を見渡す


召喚陣の周りには何人かの研究員がすでに作業を始めていた、恐らく召喚陣を完成させるための作業に入っているのだろう


となれば自分たちも動き出した方がいい


「とりあえず今のところ何か連絡事項は?なければもう行動を開始するけど?」


「今のところはない、早めに行動してくれるのならこちらとしても助かる」


モーリスの言葉を聞いた後、静希達は互いの顔を見合わせた後城島の前に整列する


「先生、これから行動を開始します、何か一言いただければと」


鏡花の言葉に城島は少々口元に手を当てた後小さく息をつく


「今回は行動範囲が限られるとはいえ、相手は完全に未知だ、いかなる状況にも対応できるように気構えだけはしておけ、以上」


城島の一言を受けた後、全員が仮面を装着し無線通信が可能な状態にしていく


その姿は学生とは見えないほどの凛々しさを持っていた


「それじゃ行動を開始しましょう、私達は研究所内の見回りと警戒、余計なものがあったりしないかのチェックよ、静希は明利のナビを聞きながら警戒区域内の移動・・・初期段階はこれでよかったわね?」


「あぁ問題ない・・・あと明利、これ・・・気を付けてな」


鏡花の指示を確認した後で静希は明利に邪薙の入ったトランプを手渡す

それを受け取った後で明利は何度かうなずいて自分の胸元に張り付けた


「静希君も気を付けてね」


「あぁ、それじゃ鏡花、陽太、この場は任せるぞ」


「了解よ」


「任せとけって」


頼もしい二人にこの場を任せる中、静希はトランプの中にいる邪薙に意識を向ける


『邪薙、こいつらのこと頼むぞ』


『うむ、任されよう・・・メフィストフェレス、オルビア、フィア、シズキのことは任せたぞ』


『はいはい、言われるまでもないわ』


人外達の中でも声を出しながら互いを鼓舞しているのがわかる、以前よりも彼らの仲が深まっていると思ったのは気のせいだろうか


オルビアはすでにトランプから出してしまっているために反応できないが、邪薙からの気づかいは確かに存在する、時間の経過が彼らの関係も少しずつ変えているような気がした


静希は単身班から離れ、研究所の外へと移動を始めた


「明利、とりあえずこの辺りで一番高い建物に行きたい、ナビ頼む」


『了解、ナビゲーションスタートします』


すでに明利は仕事モードに入っているようで無線からは凛とした声が聞こえてくる、この状態になった明利はとても頼りになる、完全に行き先を任せられるからである


軽く小走りで移動を始めていると、静希は背後に誰かついてきていることに気付く


気付かれてもいいという動きで自分の後ろをついて走ってきている、恐らくは部隊の方から派遣された静希の監視役だろう


『静希君、後方十五メートル程度の距離に部隊の人が二名追走しています、どうしますか?』


「このままナビを続けてくれ、監視くらいさせてやるさ、それよりも俺だけじゃなくて全体に気を配って何かあったら教えてくれ、すぐに現場に急行する」


『了解しました、ナビを続けます』


部隊としても静希が今どこにいて何をしているのかは確認しておきたいことでもある


追跡を一名だけにしなかったのは評価できるが、仮にも悪魔の契約者だとわかっている人間に対して二人というのは些か不用心ではないかと思えてならない


そこは静希が学生だから舐められているという事だろうか、それとも追跡に特化した二人なのだろうか、そのあたりは判断できないがこの程度何の問題でもなかった


その気になればいつでも振り切れる、今はまだこのままでいい


もし本格的に活動することになったらまず間違いなく後ろの二人は邪魔になるだろうが、その時にはすでに静希は監視から逃れているだろう


伊達に逃げ隠れを得意としているわけではない、入り組んだ場所もある街の中では静希に好きに動けと言っているようなものである


とはいえパリの郊外、開けている場所もある以上捕捉される可能性が高いのも事実だ


事前に歩いて回ってある程度の街の状態は把握している、建物や住宅などが並ぶ市街地域、広い視界と道がある郊外地域、おおよそ六対四ほどの割合でそれぞれが配置してある


動くときにはその二つに十分気を付けなくてはいけないだろうと頭の隅に入れながら静希は明利のナビに従って走り続けた


土曜日なので二回分投稿、そして予約投稿中です、反応が遅れます、ご容赦ください


予約投稿だと何が困るって曜日感覚が狂うってことです、地味に困りますね


これからもお楽しみいただければ幸いです



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