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J/53  作者: 池金啓太
二十三話「世界に蔓延る仮面の系譜」

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その他勢力

結局その日は何も起きることなく、活動を終えた静希達は夜に再び静希の部屋に集まりブリーフィングを行っていた


といってもそこまで大仰なものではない、明日のことも考えて最後の確認程度のものだ


その場には当然というべきかエドたちもおり、最後の確認という事もあって集中して静希の話を聞いていた


「以上が考えられる相手の動きと、それに対する俺たちの対応だけど、これまでで何か質問は?わかりにくかったところとかはあるか?」


昨日話した時には気づけなかった疑問点や指摘があるかもしれない、そう言う確認的な意味で静希は全員を見回した


静希は現段階で考えられる限りの可能性とそれに対する対処を構築したつもりだ、これから先実際にどうなるかはさておき、想定しておくことは必要なことでもある


「一ついいかな、軍が敵に回る可能性があるって言ってたけど、どういう場合そうなるんだい?」


大野の言葉に、全員が確かにとうなずく


静希は先程話した中で、モーリス率いる合同部隊が敵になる可能性を示唆していたのだ


本来味方であるはずの彼らがなぜ敵に回るのか、その意図を測りかねている様だった


「敵に回る理由はいくつかありますけど、一番可能性として高いのは向こう側に悪魔の契約者が生まれた場合です、学生であるとはいえ日本の悪魔の契約者は邪魔に感じることもあるでしょうから、事故に見せかけた暗殺だってあり得ます」


多角的に見た場合の静希の立ち位置は非常に危うい綱渡りのような状態といっていいだろう


強大な力を持つ悪魔の契約者、それであると同時にただの学生でそこまで強くない能力者、ただの能力者であるなら何の問題もないが、居場所がはっきりしているというだけで日本にとってはかなりの戦力になる


軍としても、そして国としてもそんな存在を許容するかどうか


「でも私たちは今回は名目上は依頼を受けて実習って形で来てるのよ?そんなことあり得るかしら」


「あり得るね、事実俺らは一度悪魔が宿った状態の人間と戦闘してる、あれはただの事故として片づけられただろう?そう言う手を相手が使わないとは限らないんだよ」


静希の言葉に鏡花ははっとなって思い出す、一番最初の実習、東雲風香は確かに悪魔が宿った状態での戦闘だった


つまり静希が言いたいのは、悪魔をその身に宿し、暴走状態を演じながら静希を攻撃してくるという事だ


もしそれで静希が反撃した場合は、こちらに攻撃してきたという事で軍としても反撃するだけの言い訳を作ることになる


ここが静希達の国なら良かったのだが、生憎とここは敵地ともいえる外国、いくらでも証言や証拠の改竄は可能だ、無理矢理にそう言ったことが可能な状況に仕立て上げないとも限らない


静希を攻撃して失敗しても暴走していたと言い訳ができ、成功しても先に攻撃したのはあちらだといくらでも改ざんできる


もっとも、この可能性は静希が想定した中で本当に最悪の状況といっていい

そうなった場合上層部ごと黙らせるか、テオドールを介して国際的な対応を求められるが、確実に帰国は遅れるだろう、そうならないことを祈るのみである


「なら私からも一つ聞かせてもらおう、第三ヵ国からの介入があった場合、あるいは部隊内での内戦の場合についてだ、各部隊が反旗を翻した場合、お前はどう動く?」


城島の質問は、今回防衛と警戒に当たっている部隊、その中でも他国から派遣されている部隊の謀反、あるいはその国からの外的な武力的干渉があった場合のことだ


言い換えれば、召喚に関わってきた国が美味しいところだけをかっさらおうとしているという事だが、これも十分あり得ることだ


そしてその対応に対して、静希は特に何もするつもりはなかった


何もするつもりがないというのは、悪魔の契約者として動くつもりはないという意味だ


無論召喚を邪魔するつもりであるなら容赦なく叩き潰す予定だが、そこでメフィに助力を求めた場合、皆殺しにしてしまう可能性もあるのだ


その為、静希が悪魔の契約者として動くのは相手が悪魔が相手だった場合に限られる


「メフィには出てもらわず、軍の人間に対処をお願いするつもりです、外国のいざこざに巻き込まれるなんて御免なので、最低限の牽制程度にとどめます」


「・・・余計な横槍を入れて後で文句を言われるよりはましか・・・それもいいだろう」


悪魔の契約者として堂々と動くことのできる今回の実習では、ただの能力者の部隊が敵に回ったところで問題なく対処できるだろう、だが問題なのは対処した後なのだ


裏切りや追加で派遣された部隊は恐らく何らかの理由を付けて正当化するだろう、もしそこに静希が悪魔の力を使って一方的に殲滅したらどうなるか、まず間違いなくその部隊を派遣した国からいちゃもんをつけられる


それで面倒事を抱えるのはまっぴらごめんだ、それなら多少苦労をしても地道に相手を攻略したほうがましである


「ていうかあんたさ、考えること一つ一つの内容が面倒くさすぎるんだけど・・・何でこんなことまで思いつくのよ」


「そりゃまぁ今までの経験というやつだろうな、もう面倒事にはなれたもんだよハハハハハ」


静希は笑っているのだがその眼は笑っていなかった、今まで巻き込まれた事件の中で、書面通りだったりすぐに解決できたためしがない、その為に状況の予測や考察という事ばかり行っていたために無駄に想像力が働くようになってしまったのだ


それだけ経験を積んでいるという事なのだから本来は喜ぶべきところなのだろうが、静希は全く嬉しくなかった


今週の突発的な予定が片付くとは思うのですが、今週末から前々から予定したものがあるためにたぶん28日まで予約投稿するかもです


本当に申し訳ないです、予定が立て続きになり反応が遅れてしまいます、ご容赦ください


これからもお楽しみいただければ幸いです

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