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J/53  作者: 池金啓太
二十三話「世界に蔓延る仮面の系譜」

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警戒区域の中

静希達と別れた後、鏡花と陽太は宣言通り町の中をぶらついていた


警戒しながらの見回りというのもそうだが、どちらかというとせっかく来ることのできたフランスの街を陽太と一緒に見て回りたかったというのが本心である


こんな形にはなってしまったが、海外に来ることができるのは恐らく数えられる程度になるだろう、無為に過ごすことはない


それをわかっていたからこそ静希も止めなかったのだ


警戒をするのであれば全員で固まっていた方がいい


無論まだそこまで警戒のレベルは高くないとはいえ、一塊でいたほうが安全なのは事実だ


「にしても・・・まさかまた海外に来られるなんてね」


「そーだな・・・まぁそこは静希に感謝ってところか?」


「感謝するべきなのかは微妙なところだけどね」


鏡花たちからすれば、今回は静希の面倒事に巻き込まれた形になるために、その言葉通り感謝するべきなのかは微妙なところである


ただ陽太のいう事も間違いではない、学生でありながら何度も海外に来るなどそうそうできない経験だ、そう言う意味では静希に感謝してしかるべきだと思われる


ただ、そこに悪魔の契約者などという最大級の面倒事が関わっていなければの話である


「まぁなんにせよだ、せっかく時間もあるんだし、それなりに楽しまなきゃ損だろ」


「警戒中だってこと忘れないでよね?ま、少し位ならいいでしょ」


その言葉に鏡花も丸くなったなぁとしみじみと陽太が何度も頷く中、昔はそんなにとんがっていただろうかと鏡花はわずかに過去の自分を思い返していた


そこまで融通が効かないような対応をした覚えはないのだがと考えていると、二人は少し広い通りにたどり着いた


交通規制がされていることもあって車の数は少ないが、人はそれなりにあるいていた


「そういやさ、外からの入りを制限するのはいいけど、この辺りに住んでる人とかはどうするんだろうな」


「なんでも別の所に一時的に避難しててもらうらしいわよ、一応災害のための訓練って名目みたいね、九時から十時にかけてこの辺りの人たちを完全にゼロにするんだってさ」


実際に潜伏されていては困るために、朝の時間のうちにこの辺りの人たちに一時的に避難していてもらうというのもかなり前から事前に知らせてあったことらしい


無論それでもゼロにすることは難しいかもしれないが、そのあたりはこの国の軍人たちが上手くやるだろう


もし警戒区域の中にいた場合、最悪死ぬかもしれないのだ、彼らとしても必死になって住民を避難させるだろう


それなりに日も高く上った時間帯なだけあって、その移動率は高いだろうが、人が集まれば中にはひねくれ者の一人や二人はいるものである


特に軍が人々を外に押しのけて何かするのではないかという事で侵入を試みる一般人もいるだろう


鏡花たちは担当外であるからそう言ったことは気にしなくてもいいとはいえ、軍人たちの仕事が多いのは確かだ


以前静希が言っていた三百人では足りないというのもあながち間違いではないのだろう


「明日って日曜日だろ?俺休みの日とか鏡花に起こされないと昼まで寝てる自信あるぞ」


「確かにね、いつも電話するときあんた寝ぼけてるもんね」


訓練をするようになってから鏡花は時折日曜日にも陽太を呼び出すことがあった、そう言う時は必ず電話をかけるのだが、陽太は決まって寝ぼけているのだ


休みの日くらいゆっくり寝かせてくれというのが陽太の言い分なのだが、鏡花としても休みを削っているのだからそのくらい我慢しろといいたくなったのも事実だ


最近はそこまで強くものをいう事が少なくなったために、陽太からすれば少しだけ寂しく思っていた、本当にほんの少しだけである


「でも戦闘に巻き込まれないようにするには必要な事よ?建物だって崩れないとは言い切れないんだもの」


「まぁな・・・本気でやりあったらそれこそこの辺り更地にできるだろ?寝てる間にあの世行きとかシャレにならねえもんな」


二人のいう事は決して過剰表現ではない、仮にこの場で悪魔と悪魔が本気で戦った場合、本当にこの辺り一帯が更地になる可能性だってあるのだ


二人は悪魔の力を実際に目にしているからこそそのように感じることができていた


一撃で巨大なダムを半壊させるほどの威力、人間が作り出した兵器でもあそこまでの威力を出せるものはそうそうないだろう


しかも現在この辺りにいる悪魔は三人、あれほどの威力を持った能力を使える存在が三人、この辺り一帯どころか、この街一つ丸ごと無くなっても不思議はない


幸いにしてこの周囲はパリの街の中でも郊外にあるためにそこまで人口や建物が密集しておらず、被害も少ないことが予想できるが、それでもこの広さだ、万が一があっては困る、だからこそ軍は避難を呼びかけているのだ


「にしてもこっちは悪魔と対峙するんだろ?大丈夫かよ」


「邪薙を貸してくれるって言ってたけど、たぶん邪薙は明利の防御で手一杯になると思うわ、一番防御力ないの明利だし」


鏡花の言うように三人の中で最も防御力がないのは明利だ、耐久力をあげられる陽太と壁を作れる鏡花と違い明利は戦闘においては何もできないと言っていい


それに静希の恋人である明利を一番に守るのは、邪薙の動きとしては至極真っ当であると思えるのだ


「だから私の防御はあんたに任せるわ、しっかり守ってね?」


「おうよ、ばっちり守ってやるから任せとけ」


胸を張って笑う陽太、恐らく陽太も多少不安なところはあるだろうが、自分を安心させようとしているのが鏡花にも読み取れた


バカなんだからと小さくつぶやきながら陽太の手を握り、鏡花は薄く微笑んだ


予約投稿中です、反応が遅れるのでご了承ください


どれくらい投稿しておけば十分かを図り兼ねています、もうちょっと投稿しておくべきかな・・・?


これからもお楽しみいただければ幸いです

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