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J/53  作者: 池金啓太
二十二話「二月半ばの男女のあれこれ」

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想いを込めるべく

二月


今年が始まってすでに一か月が経過したその月は、日本にとってそれなりに重要なイベントのある月となる


と言っても、その重要性は成人などよりも学生の方が重要である場合が多い


本来日本の風習でも何でもないが、和であろうが洋であろうが取り込む日本の懐深さ、というか節操のなさを感じるそのイベント、つまりはバレンタインデーである


日本の男子諸君は無駄にそわそわしたり、無駄に何度もトイレに立ったり、無駄に学校に遅くまで残ったりするところである


そして女子はその対極、バレンタインまでが勝負であり、恋人のいる明利や雪奈、そして片想い中の相手がいる鏡花も当然のようにその準備に没頭していた


「というわけで、チキチキバレンタインチョコ作成会議!」


「「わぁー・・・」」


場所は明利の家、いつものように明利、鏡花、雪奈の三人が集まり雪奈の掛け声と共に明利と鏡花のやる気のない合いの手が入る


何故集まったのかは言うまでもないが、雪奈の言ったとおりバレンタインチョコに関しての会議である


特にネックなのは鏡花である


すでに付き合っている明利と雪奈よりもその重要性はかなり高いのだ


「さて・・・じゃあ鏡花ちゃん、どんなチョコを作ろうか」


「えっと・・・そうですね・・・」


雪奈は笑顔を向けるが、その笑顔に反してとてつもないプレッシャーを放っているのが鏡花は理解できた


そもそもなんでこんなことになったのかというと、この前の実習の後のデートの内容をちょっと話す機会があったのだ


例によって女子三人で集まってちょっとした世間話や相談に花を咲かせていた時に丁度鏡花の恋愛話になり、デートの内容をとりあえず話したところ


『はぁ!?デートしたのにキスもしてないの!?』


と雪奈が驚愕したのだ


てっきりデートするという話をした時点で告白ももう済ませているものだと思ったばかりにその驚愕は大きかったようである


更には告白すらまだであるという状態に雪奈は驚きを通り越して唖然、決めたら羞恥をほっぽり出して突っ切るのが雪奈の信条であるが故にその場で足踏みをしている鏡花の考えが理解できなかったのだろう


流石に見ていられなくなったのか、年上のお姉さんとして二人の仲を猛烈にプッシュする気満々のようだった


もっとも、かなりありがた迷惑な感じではあるため、そのストッパーとして明利がいるのだ


「一応手作りにしようとは思ってますけど・・・あいつってどういうのが好きなんですか?甘いのか、それともビターなのか・・・」


「あー・・・別にどっちでもいいと思うよ?いつもおいしそうに食べてるし、ね?」


「うん、いつもあげてるのはミルクチョコとかイチゴチョコだけど特に気にしないで食べてるよ?」


二人の言葉にそういえばこの二人は幼馴染なのだったなと思いながら、長年この二人からはチョコをもらっていたであろう静希と陽太のことを思い出して小さくため息をつく


初めて渡すチョコに、身近でなおかつレベルの高い比較対象がいるというのも何とも難易度が高い気がしたが、もう今さらという感じだった


「でも手作りってどのレベルで作るの?湯煎?」


「え?私の能力だったら湯煎なんてせずにすぐ形作れますけど・・・」


「あ、そっか、形変えるだけだもんね」


普通チョコの形を変える時は細かく砕いて湯煎で融かし、形を整えてから再び固形化させるのが常套手段だが、鏡花の場合それが必要ない


何故なら触れて能力を発動すればすぐにその形状を変えられるのだから


「えー・・・なんか愛がないよそれ・・・もっとこう・・・苦労しようよ」


「なんですかそれ・・・まぁ言いたいことはわかりますけど・・・」


鏡花自身、雪奈の言いたいことは十分理解できる


なにせそこら辺のスーパーかコンビニで板チョコを買ってきて能力で形を整えてラッピングするだけで終わり、それではさすがにあまりにも手間や苦労が少なすぎる


初めて好きな人に渡すチョコならやはりそれだけ本気でかかりたいというのもまた鏡花の正直な気持ちである


「ちなみに参考までに、去年はどんなのあげたんです?」


「去年は確か・・・二人でマフィン作ったよね、チョコ味の」


「はい、作り方調べて一から全部」


その言葉に鏡花はへぇと感心する


ただチョコをあげるのではなく、チョコを使ったお菓子にしてからあげるという方法だ、それならなかなか手間がかかっているし鏡花の能力でワンアクションできるようなものではない


「なるほど・・・チョコ菓子か・・・選択肢広まったわね・・・」


「作るなら静のと陽のと別々にしないとね、本命には気合を入れなきゃ」


「そうですね、今年はどうしようかな・・・」


どうやら明利も雪奈も静希にあげるものにはそれなりに気合を入れるようだった、無論鏡花も陽太にあげるチョコは気合を入れるつもりである


ここはがんばりどころであると自分で気合を入れながら、自分の知るチョコ菓子を思い浮かべていた


この話から二十二話スタートです、三回分の内の一回分


たくさん投稿するとこういう事がまれによくあるのがなかなかに大変です


これからもお楽しみいただければ幸いです

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