表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
J/53  作者: 池金啓太
三話「善意と悪意の里へ」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/1032

神格

「メフィ、それじゃいくつか聞きたいことがあるんだけど」


「わかってるわ、神格のことでしょ?」


先ほどの石動の話ではどうにも要領を得ない、班の中での神格への知識を十分にする必要がある


悪魔と同等なのか、それ以上なのか


「確認したいんだけど、その神格はエルフの連中が呼びだしたのね?」


「あぁ、資料では精霊の呼び出しの時何らかの不祥事があり誤って召喚してしまったとか」


「それならたいした神格じゃないわ、安心しなさい」


それを聞いて班員のほとんどは安堵するが静希だけは違った


「メフィ、神格ってそもそもどういうものなんだ?イメージができないんだけど」


「そうね、神格、つまりは神だけど、神はどこにでもいるし誰でも何でもなれるのよ」


「なれる?」


神様になれるという言葉に全員が疑問符を飛ばす


誰かが神格になったなどと聞いたこともないしそんなことがあり得るとも思えない


「昔話に出てくる動物の物語でよくあるでしょ?村を守った獣や英雄が力を得るだの神聖な力を使っただの、そういうのはどこにでもあるわ・・・つまり偉業か奇跡かそれに勝る何かがあれば神格への道は開く」


「うまくイメージできないな・・・」


「じゃあ見方を変えましょう、物に魂が宿る、大事に大事にしていたものが意志を持つ、これも神格への道が開くということよ、日本では九十九神って言われてるんだっけ?」


あぁと全員が納得する


これは日本に伝わる伝承だ、長く大事にした物を依り代に神様や霊が乗り移ることを指す


「何でもだれでも神様になれるんだからどこにだって神様はいる、それこそ八百万くらい余裕よ」


「でもなんでそれが大したものじゃないってわかるんだ?もし本当は強いのだったら」


メフィは実際に神を見ていないのになぜそんな確証もないことが言えるのか、いや確証もなくこの悪魔はそんなことは言わない


「私達悪魔と違って神っていうのは信仰や知名度で力の上下が決まるのよ、強ければ強いほど多くの知名度と信仰を持ってる神ってことね、そしてそういう神はたいてい何かに強く縛られている」


「縛られる?」


「そう、場所だったり神器だったり、強いがゆえに自分の強さに自身が縛られてしまう、エルフが数人、いえ何十人集まってもそんなに強い神は召喚できやしないわ」


だって召喚するってことはその神より強い力で召喚を行わなくちゃいけないんだからと付け加えてメフィは大きく伸びをする


「だいたい、強い神を怒らせたのならその村がまだ残ってるはずがないじゃない、大災害の中心地になっておしまいよ」


メフィのいうことももっともだ、強すぎる神様のできる事がどれくらいなのか理解はできないがとんでもないことだけはわかる


「それに無名も結構いい点あるのよ?弱点がわからないし、対応できないし」


「どういう・・・こと?・・・ひゃあ!」


質問する明利の近くにやってきて頬擦りしながら抱きつきはがい締めにしている


メフィは本格的に明利を気にいったようだ


「じゃあ逆に聞くわ、あなた達アキレスの弱点知ってる?」


アキレス、ギリシャ神話に登場する英雄の名前、たいていの人間はこの名前を知っているだろう


「アキレス腱?」


「その通り、まぁ名前にもなってるくらいだもんね、じゃあ弁慶の弱点は?」


「脛?」


弁慶の泣き所、また渋いところを持ってきたなと眉をひそめながら聞いていると静希は気付く


「そうか、有名だとその分いろんな話があるから」


「そのとおり、弱点、特色、苦手なことや得意なこともわかってしまう、人間のスポーツと同じね」


有名なチームだとその戦略やその選手まで研究しつくされる、だが無名のチームはそこまで注目されずに放置されるパターンが多い、調べようがないというところもある


どうやら神様も理屈としては同じようだ


「なあメフィ、お前この間一粒の砂と砂漠の話、したよな」


「えぇ、したわよ?」


人間の使う魔素を砂一粒とした時の、悪魔の使用する魔素は砂漠に等しい


静希が愕然としたたとえばなしだ


「俺達の使う魔素を砂一粒として、神が使う魔素はどれくらいなんだ?」


そうね・・・とメフィは考え込む


「さっきもいったけど神も結構ピンキリなのよ、弱い神ならコップ一杯からバケツ一杯、強い神なら・・・海を全部砂にすれば事足りるかしら」


先ほどたいしたことないと言われた安堵が一瞬にして消しとんだ


強い神ならメフィよりも多く魔素を使うことができるということだ、それは確かに噴火くらいできるかもしれない


だが問題はそこではない、弱い神でも人間の何千倍も強い力を使えることになる、これははっきりいって最悪なことだ


「っていっても目算だからあんまり信用しないでよね?私だって強い神格なんて数えるくらいしかお目にかかってないんだから」


そうは言う物の、すでに神格というだけで人間の手に負える問題ではない


「そんなんを俺達だけでどうやってなだめろっつーのさ、エルフの連中何考えてるんだよ」


「だからシズキが必要なんでしょ?私をちゃんと言うこときかせてるんだから」


「そういうことだ、連中は一班の誰かが悪魔を退治したか手懐けたことをすでに知っている、なにしろ自分達で呼びだしたんだから」


だがそれが誰かまでは分からない、だからこそ一班を丸ごと依頼で引っ張って何とかさせるつもりなのだ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ