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J/53  作者: 池金啓太
三話「善意と悪意の里へ」

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村と指名

「エルフの村に?」


昼食後、残り少ない昼休みの時間に職員室で城島を見つけた後、エルフの村に一緒に行きませんかと言うと素っ頓狂な声をあげて眉間にしわを寄せていた


「はい、前回の実習で」


「まて五十嵐、その話はここでするな、放課後に時間をよこせ」


「は、はい」


城島は腕を組んで唸り始める


「お前、石動と言ったな」


「はい、石動藍です」


「そうか・・・いや、お前も放課後に時間をよこせ、二年二人には私が話を通しておく、放課後職員室に来い、空き教室を一つ借りておこう」


「あ・・・わかりました」


前回の実習はエルフと通常能力者と無能力者の確執を生みかねない事件だった


徹底された情報統制、そのせいで遅れた対応、その上多くの人間を危険にさらした上での放置


このことを一般教員に話すわけにも聞かせるわけにもいかない


そのことに気付いた静希は全員を先導して職員室から出ていく


放課後、城島の集合案内の下、多目的室には一班班員、二年生深山雪奈、熊田春臣、石動藍が集められた


「さて、でどういう話だったか?」


「前回救出した東雲が関わった全員に改めて礼をしたいとのことで、エルフの村にぜひ来てほしいと、そしてエルフの村の村長が城島先生にお話があると、そういう話です」


「なるほど・・・ね」


鏡花が場をまとめて話を始めると城島は考え出して舌打ちをする


「あの耄碌じじい、まだ納得してねえのか、嫌になるな」


明らかに教師の言葉ではない、さすがに生徒の前でこんな言葉を吐くのはどうなのだろうか


「どういうことですか?なんかあったんですか?」


「あぁ、あの実習の後後始末をつけにエルフの村で色々と話をした、賠償とかそっちの話、五十嵐の映像のおかげで説得は楽だった・・・んだがな」


静希の撮った携帯の動画、きちんと仮面とその少女の顔が映し出されている、エルフと断定するには十分だ


「なんか問題でも?」


「あぁ・・・えっとな」


熊田の言葉にちらりと石動に視線を映してしゃべり辛そうにしている


「あーっと・・・村長が言うには、あの子が暴走したのを止めたのは誰か、そしてその原因を詳しく教えろってことだったな、賠償なんかよりそっちの方を聞きたがってた」


「原因ってそりゃ・・・あ・・・」


言いかけて気付く、石動は悪魔の存在を知らない


東雲が暴走したのはせいぜい精霊制御か能力の問題程度だと思っているだろう


だが実際は違う、あの少女には悪魔が乗り移っており、それが原因で暴走していた


「もちろんこっちの任務にあっちは関わっていないからな、完全守秘したが・・・石動、精霊とかの召喚って村長とかのお偉いさんが見ていたりしなくてもできるのか?」


「何を突然、基本的に村長には見守る義務があると思います、何か問題があってはいけませんから」


「決定的か・・・ったくあの腐れ狸が」


もはや教師どころか女性の言葉ですらない気がしてきたが今更だろうか


「あの先生・・・それって」


「ったく面倒なことになってるな・・・これを見ろ」


城島は長机の上に紙の束を置く


そこには極秘と書かれた依頼状がある


「ちょっと、これ俺たちに見せていいんすか?」


「お前たちにしか見せちゃいけないんだよ、備考欄見てみろ」


「私は見てもいいのですか?」


「あぁ、むしろお前は見なきゃいけない」


「私らもおっけーですか?」


「あぁ、深山と熊田も見ろ」


全員が備考欄を覗くとそこには「一年B組一班にこの任務を受領させたし」と書かれていた


「ご指名ですか?一年の私達に?」


「あぁ、基本任務指名はできないことじゃない、二年になってからはよくあることだけど、今回は異例だな」


どっかの誰かさんのせいかもなと付け加えて静希を見る


「内容は・・・ってなんですかこれ?『神格の撃破または沈静化』?」


「なに!?神格!?」


一番驚いていたのは石動だった


「なあ鏡花、神格ってなんだ?」


「神様に近い存在か、または神様を表す言葉ね、なに?お祭りでもして神様を鎮めればいいの?」


「なんだ、結構簡単なのか?あ、でも神事とかに詳しくないとだめなんじゃ」


「お祭りかぁ、久しくいってないね」


「いいなぁ、綿あめとかりんご飴とかイカ焼きとか」


「祭りか、幼いころ行って以来まったく行っていないな」


「まて先生!私はそんなこと何も聞いていないぞ!どういうことなんだ!?」


「落ち着け石動、言っただろうこれは極秘だと、どうやら委員会の一部の連中に口利きして無理に通してきたんだろうな、本来ならあり得ん」


ほんわかしている一班+二年と違い、城島と石動だけやたらと剣幕が強い


どうやらお祭りをして何とかなるというわけでもないようだ


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