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J/53  作者: 池金啓太
一話 「引き出し」
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鬼と万華鏡

ようやく初戦闘にこぎつけました、長いねまったく


お楽しみいただければ幸いです

「へえ、ホントに名前の通り鬼みたい」


周囲に高温をまき散らす陽太を前に鏡花は涼しい顔をしている


「だったらお前も名前通りなのか?えぇ?万華鏡!」


怒りのせいもあってか陽太の炎はどんどん高熱になっていく


これが藍炎鬼炎の欠点なのだ


能力の発動は問題ないのに発動し続けると陽太の感情によって炎の温度や出力が上下してしまう、陽太が制御を上手く行えない理由でもある


どうやら鏡花もそのことを正しく理解しているようだった


「清水さん、どんな能力なんだろうね?」


「変換系統で名前が万華鏡だろ、十中八九何かを自由に変換する能力だろうな、その何かはわからないけど」


命名師がつけた名前だとすれば無意味な名前は付けない


力を漲らせ陽太が突進する、その速度は人間のそれではない


炎だけの能力だと思っていた鏡花は反応が遅れる振り上げられた拳を後退しながらかわそうとするが、間に合わない


瞬間、鏡花の能力が発動する


コンクリートでできた地面が勢いよくせり上がり衝撃とともに陽太の体を上空へと弾き飛ばす


鏡花の下に残った熱が彼女に汗を滴らせる


形状変換、周囲のコンクリートの形状を能力で変換し新しい形を作り出す、変換系能力者の基礎とも言える


コンクリートの柱に打ち上げられた陽太は空中で体勢を整え地面に着地する


柱の突き出ている地面はわずかに沈んでいる、つまりあの場所のコンクリートを柱に形状変換したのだろう


喉を鳴らして姿勢を低く、力を込める、はたから見ても明らかな突撃姿勢


コンクリートの柱を元の地面に戻し鏡花も構える、姿勢を低く、片手を地面に向けた独特の体勢だ、明らかに地面に細工をする気満々といった構え


先に動いたのは陽太、四肢を繰り鏡花に向けて突進、が鏡花もそのことを予想していたのだろう、眼前に厚さ三十センチ近くの巨大な壁を精製する


足場が陥没することも厭わずに壁をさらに巨大なものにしていく


だが陽太にとってその程度の反応は予想の範囲内でしかなかった三十センチ近くあるコンクリートの分厚い防壁は陽太の拳が叩きつけられると同時にひびが入り、粉々に打ち砕かれる


(これを破るとか、どんな馬鹿力してんのよこいつ)


さすがに一撃で破壊されるのは予想外だったのか、後退しながら陽太の動きを封じようと炎の鬼に向けてコンクリートでできた拳で思い切り殴りつける


だが強化状態に入っている陽太にはそんなものはただの投石と同じようなものだったらしく、巨大な石の拳に対し自らの炎の拳で軽々と粉砕する


ならばと陽太の背後からもう一本腕を作り出し陽太の体を掴み、握りつぶそうとする


「舐めてんじゃねえぞ、こんなもんで俺を抑えておけるかァ!」


その体から炎が噴き出し、陽太が全力で力を込めると拳は指の付け根から粉々に砕け散っていた


大きく炎を吐きだし、すでに安全圏に退避している鏡花を睨みつける


「どうしたよ、逃げ回るだけか!こんなもんかよ!」


いや、彼女の変換系統能力者としての能力は非常に高い、全体像を捉えられている静希はそのことを十分理解していた


陽太の拳が鏡花に接触するさなか、鏡花は二つのことをやっていた


一つは陽太の足場の状態変換、コンクリートを僅かに液状に変化することで陽太のバランスを僅かにずらし、コンクリートの柱を瞬時に作り出すことで陽太の攻撃をかわすと同時にダメージを与えている

高速での形状変換と瞬間的な思考の切り替え、なるほど陽太が天才と形容するのも理解できるほどの実力だった


「あんたこそ何よ、真直ぐ突っ込むしか能がないの?」


「俺の辞書に正面突破以外の文字はねえんだよ!真正面からぶち破るのが男のロマンだろうが!」


「はぁ、あんたと話してると頭痛くなってくるわ」


額に手を当てる鏡花は何かを思いついたらしい、ため息をついて地面に手を当て、周囲に散乱したコンクリートの形状を元の地面にもどす


「ならぶち破ってみなさいよ、最高の壁用意してあげるわ」


鏡花が能力を発動すると同時に厚さ五十センチはあろうかと思われる巨大な壁が作り出される、わずかに陽太の方に向けて傾斜ができており、返しの効果を作っていた


「上等だよ、後悔してもおせえぞ!」


やる気が出てきたのか、陽太の体から吹き出る炎の量が上がる


炎があたりに撒き散らされ、陽太の周囲に集まり鬼の姿をさらに面妖にしていく


臀部からは太く長い尾が形成され角は伸び、身体を形成する炎はさらに高温になっていく


「こりゃ勝負あったな」


「え?」


明利が反応する前に陽太が壁に向けて突進する、身体の力全てを込めて分厚い壁にたたきつけると同時にあっけなく壁は粉砕され、陽太が勝利を確信した瞬間、陽太の後ろから声がする


「さすがにイノシシに負けるわけにはいかないからね」


聞こえた時にはもう遅かった、全力の攻撃の後、わずかに体勢を崩している状態で両サイドからコンクリートの手が陽太を地面に組み伏せ、そのまま地面と同化させていく


「この!こんなもんふりほどいて!」


炎の出力をあげてコンクリートを破壊しようとするが、体中を分厚いコンクリートで覆われ炎を出すことができない、この状態では身体能力の強化もままならない


しばらくして残ったのは首だけを地面から上に出した陽太の姿だった


前回あとがき書き忘れた・・・


書かなくてもいいがなんかこうもどかしい感じ


お楽しみいただけたなら幸いです

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