表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
J/53  作者: 池金啓太
十八話「雪の見えるその場所で」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

686/1032

寒気と気配

予定通り起床した静希達は軽く朝食をとった後ですでに行動を開始していた


昨日と同じような雪上装備を整えた状態で移動を開始するのだが、夜中に降った雪がさらに積もり行動しにくくなっている


「また今回も積もったな・・・こりゃ移動も面倒くさそうだ」


「でも途中までは明利のマーキングが効いてるし、多少は楽でしょ、問題はその後じゃない?」


陽太や鏡花の言う通り、積もった雪の下に昨日までの雪が残っており、新雪と僅かに解けて凍った雪の二重構造になっているせいで余計に歩きにくくなっている、だが同時に昨日までの行動のおかげで途中まではほぼノンストップで移動することができている


そして先日静希達が到達した場所にたどり着くのに約三十分、昨日の移動速度に比べれば随分早くここまで来れた、足跡を確認しながらではないとここまで早く来られるとは少し複雑な気分である


「んじゃまた足跡をたどっていくか、陽太頼むぞ」


「あいあい、んじゃ再び捜索していきますか」


その体に炎を灯し、右腕に槍を作ってまるで掃除機でゴミを吸う時のような動きで少しずつ雪を溶かしながら進んでいく


雪を溶かし、足跡を確認しながらのため普通の歩く速度よりも数倍遅いがそれでも確実に先に進むことはできていた


「やっぱりこれだけ雪があるとさすがにすごいわね、雪が多すぎて遊ぶ気も無くなってくるわ」


「あはは、雪国の人なんかは見慣れてるみたいだしね、多いところでは身長よりも高く雪が積もるってテレビでやってたし」


「そんなに積もったら雪の洞窟とかできそうだよな」


「崩れそうだけどな・・・お、足跡発見」


適度に緊張感を保ちながらかつ雑談を含めて前進していくこと数時間、その変化は唐突に表れた


「・・・あれ?」


「どうした?」


陽太が急に前だけではなく周囲の雪も溶かし始めたことで静希達もその変化に気が付いた


陽太の視線の先にあった足跡を見てみると、足跡の進行方向が変わっているのだ


しかも曲線ではなく、ほぼ直角に


「移動方向が変わってるな・・・この先にいるのか?」


「とりあえず種まいておくね」


静希が地図を広げる間に明利はこの場所に集中していくつかのマーキングを施して場所がわかりやすいようにする


方角と地図を確認して明利に現在位置を割り出してもらい、進行方向に何があるのかを探そうとするが、やはりその先にも山しかない


一体どこを目指しているのか不思議になってくる


「ここまで直角に曲がることなんてふつうないわよね・・・他に何か痕跡とかは・・・」


辺り一面の雪を陽太に溶かしてもらい、近くを軽く散策してみるも昨日と同じように足跡以外の痕跡は全くなかった


一体何を目印に曲がったのか、それともただの気まぐれか


どちらにせよ移動方向が変わったのは事実だ


「とにかく行ってみるか・・・他に足跡もないっぽいし・・・」


「・・・そうだよな・・・他に足跡ないんだよな・・・」


陽太の言葉に静希は口元に手を当てて考え出す、キャンプ場の方に来たということはその時の足跡も残っているはず、そしてそのまま去って行った時の足跡もあるはず、つまり二つの足跡が残っていなければおかしいのになぜかこの場所には一つの足跡しかない


自分の足跡の上を歩けば確かに一つだけの足跡で移動もできるが、それはつまり来た道をそのまま戻っていったということになる


やたらと足跡がわかりやすいのも二度体重をかけた影響だろうか


「・・・とりあえず行くか、行けばなんかわかるだろ」


静希は考えを一度やめてとにかく進むことを選択する


情報が少なすぎて考察することもできない、可能性が多すぎるのだ


今はこの足跡を追うことを第一に考えたほうがいい


明利の索敵範囲も着々と広くなっている、変化が起きたことで静希達の集中と緊張の度合いもいい具合に上がってきている


気温も少しずつ上がってきて動きやすい天候と気温になりつつある、相変わらず雪が鬱陶しいがそれも問題ないレベルだ


そんな中周囲の気配にも気を配っていた陽太が急にあたりを見渡し始める


急に周囲を警戒しだしたことで静希達も同様に戦闘をいつでも行えるように身構え、あたりを警戒しだしていた


「どうした陽太、動物か?」


「・・・いや違う・・・なんだろうなこれ・・・動物じゃないな・・・」


動物じゃない、その言葉に静希達はより一層警戒を強める


動物以外でこの山にいるとしたら目標か、あるいは人間ということになるだろうが、自分たち以外がこの山で行動しているという報告は城島からも小此木からも聞いていない


静希達の予想していた第三者か、それとも全く予想もしていない誰かか


陽太の気配の察知はそれなりに高性能だ、もちろん索敵が本業ではないため近距離に限られるが、事前準備が必要な明利よりも即効性に優れていると言える


雪山の静寂と乾燥し冷えた空気が静希達の体を撫でる中、緊張感が増していく


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ