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J/53  作者: 池金啓太
十七話「追い追われる先に」

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警察での

城島への報告を終え、その日の授業も終了した後で、静希はとりあえず警察の方に顔を出すことにした


事情聴取というより事後報告に近いが、とりあえず被害の有無の確認と周りの住民に被害があったのかどうかも確認したかったのだ


先日実習で行った場所と違い、こちらの警察署は閑散と、とまではいかないもののそこまで忙しそうにも見えず、やってきている人もそれに対応しているのも片手で数えられる程度、後はデスクに向かっていたり資料を整理していたりとそれなりに仕事はしているようだった


「あれ?えっと・・・確か五十嵐君・・・だったかな?」


静希が受付に向かう前にこちらにやってきたのは城島の知人の竹中だった


以前一般人向けの刑務所の現場にいたことからこことは違う場所での勤務かと思っていたのだが、なぜこのような場所にいるのだろうと静希は首をかしげてしまう


「あ・・・竹中さん・・・でしたっけ・・・何でここに?ここの勤務なんですか?」


「いや、違うんだけど・・・今は仕事でここにいるってだけだよ、君こそどうしてここに?」


警察というだけあって幾つか場所も移動して行動しなくてはいけないこともあるのだろうか、詳しいことまでは知らないがいろいろ都合というものがあるのだろう


「実はうちに空き巣が入りまして・・・その件で一応何度か足運んでくれみたいなこと言われたんで来たんですよ」


「空き巣かぁ、そりゃ災難だったね・・・確かそっち関係はあの受付に言えば担当の人に繋いでくれると思うよ」


竹中が指差す先には二名の警察官が並んで事務仕事をしている受付のような場所があった


国家公務というだけあってお役所的にやるべきことなどが振り分けられているという事だろう


「あぁ・・・そうか、だから城島先輩から連絡があったのか」


「先生がどうかしたんですか?」


「いやね、うちの生徒が面倒事抱えたからお前から少し話を回せとか言われてね・・・あの人はもう・・・なんというか昔から無茶苦茶ばっかりで」


無能力者でありながら特殊部隊に配属されたのが運のつきとでもいうべきか、そんなことができるかどうかもわからない状況でも城島からは無茶で無謀な頼みがやってくることがある


昔からこんな扱いをされていては若い警官としてはいろいろと辛いだろう


少し同情しながら頑張ってくださいと激励を送って静希はとりあえず窓口に向かい、事情を説明して担当の人間に取り次いでもらう


数分待った後、個室ブースのようなところに通された後で静希の部屋に来た警官ともう一人、白髪交じりの男性職員がやってくる


「えっと・・・五十嵐静希君だね、今回は災難だったね・・・」


「どうもです・・・とりあえず家荒らされたけど盗まれたものは確認できませんでした、不幸中の幸いですね」


盗みに入られながら盗まれたものはとりあえずない、というよりは盗まれても問題ないようなものしかリビングにはないと言ったほうが正しいかもしれない


ゴミ箱を荒らされ、あちこち足跡だらけにされ、ガラス窓を粉砕されたのが唯一腹立たしいところだろうか


「他の家はどうでした?うちの隣は無事みたいでしたが」


「他のお宅にも確認に回ったんだけどね、今のところ確認した家では被害はないそうだよ、君の所だけが被害を受けてる」


警官の言葉に静希は眉をひそめる


城島の言っていた、静希を標的とした何か、いよいよこれは警戒を高めなくてはならないかもしれない


ただの偶然で何世帯もある中から静希の家を選び侵入するなどと言うことがあるだろうか?たまたま入った家が静希の家だったなどという確率はかなり低い、偶然とは思えない


「犯人の方はどうですか?何か手がかりとか」


「君の部屋に残っていた靴跡くらいだね、指紋は何も出なかった、恐らく拭き取ったんだろう」


普段静希が生活しているというのに何も指紋が出ないというのは明らかにおかしい


警官の言う通り触った後でふき取ったと考えるのが無難だろう


手慣れているというのであればもとより指紋を残さないようにゴム手袋でもすればいいのにと思ってしまうが、今は置いておこう


「まぁ、ガラス割られたくらいだし、運が悪かったと思うしかないね、一応こっちも捜査はするけど・・・証拠が少なすぎるから、あまり期待はしないで」


「わかりました・・・まぁしょうがないですね」


正直に言えば最初から警察に犯人が捕まえられるとは思っていなかった


相手が能力者の可能性がある以上、無能力者が多く集まる警察機関ではほとんど役に立たないと言っていい


ただ能力者であるという証拠があるというわけでもないのだ、全ては状況証拠であり物的証拠があまりに少ない


唯一残っているのは靴跡のみ、窓ガラスにも血液だとか髪の毛だとかも落ちていなかった


泣き寝入りというのも腹立たしいものだが、彼らの言うように被害はガラスを割られて部屋を荒らされた程度、そのガラスも鏡花によって修復された、ほとんど被害ゼロであるが、問題は空き巣が静希の家に入ったという事実だ


何が目的だったのか、それを知るためにも一度犯人を捕まえておきたかったのだが、手がかりが少なすぎる、足跡だけで探せるほど日本の警察は優秀ではないだろう


その後も昨日どんなことがあっただとか最近誰かに恨まれるようなことはなかったかだとか、いろいろなことを聞かれて静希は解放された


さすがにすべて偽装したわけではないが、悪魔のことなど重要なことはすべて伏せて心当たりなしということにしたのだが、正直に言えば心当たりがありすぎていったい何が原因なのかさっぱりなレベルだ


静希は良くも悪くも一部の人間に注目されている


敵を作るような行動をしているつもりはないが、どうしても自然に敵ができてしまうのだ


いや、敵の方が勝手に増えていくという方が正しいかもしれない


こちらとしたら平和に過ごしたいのになぜかどんどん相手の方から喧嘩を吹っかけてくる、そのせいで面倒ばかりだ、挙句空き巣にまで入られる始末


いや、空き巣と静希の敵対勢力図が本当に関係しているのかはいまだ不明だが、もう何もかもが誰かしらの陰謀に思えて仕方がない、疑心暗鬼というのはこういう状態のことを言うのだろうか


「お疲れ様、本当に災難だね」


静希が椅子に腰かけていると竹中が自販機の缶コーヒーを差し出してくれる

多少なりとも同情しているのだろう、苦笑しながら隣に座ってきた


「被害がなかったのはいいんですけどね、面倒には違いないです」


「はは・・・まぁ犬にかまれたと思って忘れることだよ」


いちいち悪いことを覚えていたらきりがないからねと竹中はある意味達観した言葉を残して自分もコーヒーを口にする


さすがに自分より経験を積んでいる大人だ、多少のことでは揺るがないという事だろう


「・・・ちなみに、竹中さんだったらどうやって犯人捜します?マンションのベランダから侵入して手がかりは足跡だけですけど」


「うぅん・・・ベランダから・・・足跡だけか・・・まずは聞き込みをしてから・・・その足跡から靴を特定するかな」


靴?と静希が聞き返すと、竹中はとりあえず缶コーヒーを置いて手帳を取り出す


その中にはたくさんの情報が書き記されていて、項目に分かれているのが見て取れる


そして初動捜査という部分に聞き込みと、使用している物の特定というものがあった


「ベランダから入ったってことはそれなりに目立っていただろうし、誰かしらに見られていてもおかしくない、侵入されたのは日中?」


「はい、昼頃です」


それならまず間違いなく誰かが見ているだろうねと竹中は自信をもって別の手帳に情報を書き込んでいく


静希の住んでいるマンションのベランダの方には普通の住宅が広がっている、その中にはもちろん一般家屋からアパート、静希の住んでいるのと同じ程度の高さのマンションもある、昼頃なら家から出ていても、家の中に居ても不思議はない、しらみつぶしに聞き込みをすれば誰かが現場を見ている可能性もゼロではない


「目撃者ってのはわかるんですけど、何で靴?」


「靴に限らず、犯人が使っていた道具はかなりの有力な情報だよ、例えば靴だって新品と使い古したものでは足跡も変わってくる、摩耗状況を見てどれくらい使われている物かを予想することだって可能だ」


確かに靴は毎日使うものもあればほとんど使わずにとっておくようなものもある


それに品種を特定すればいつごろその靴が売られていたか、どの地域で売られていたかもわかるのだ


「もし靴の詳しいメーカーや商品を特定できたら、その靴を扱っている、もしくは扱っていた店に出向いて話を聞く、摩耗状況と販売時期からその一定時期にその靴を買った人をリストアップしていく、その人がクレジットとかを使ってくれていれば話が早くなるね」


「・・・なるほど、そういう探し方もあるのか・・・」


今まで直接的な証拠がなければ動くことはできないものだと思っていたが、ただ一つの痕跡からでも十分以上に捜査ができるのではないかと思えてしまう


だがもちろんそれで犯人を捕まえられるかと言われれば、やはり難しい


「でもなんかさっきの警察の人の反応だと、あまりやる気がないようでしたけど・・・」


「ん・・・まぁ被害がなかったっていうのが一番の理由じゃないかな、実際器物破損と不法侵入・・・他にも事件はあるからそこまで力を入れる必要はないって思ってるんだろ」


警察が処理する事件は数多い、こうしている中でもいくつかの事件や問題を抱えて日々それを解決へと導くべく行動している


そんな中で金銭的被害なし、窓ガラスを割られた、部屋を荒らされた程度の被害で本気で動くほど警察も暇ではないのだろう


理解はできるが、なんというかやるせない


実際警察では頼りないと思ってはいたが、やる気を出してもくれないとは、一国民として複雑な気分だ


「一応、こっちからもまともに捜査するように掛け合っておくよ、正直あんまり効果はないだろうけど」


「お願いします・・・期待しないで待ってますね」


静希の言葉に竹中は空笑いをしながらコーヒーを飲み干す


彼は本来ここの勤務ではなく、別件の捜査でこちらにやってきているだけの協力員のような立ち位置らしい、よそ者ではあまり発言権は大きくないだろうからそこまで期待はしないで犯人はもう見つからないだろうくらいの気概でいたほうがいいかもしれない


何を企んでいるのか、それがわかれば話は早いのだが、生憎相手がどこにいるのかもわからない、そもそも裏があるのかすらわからない、静希はもう考えることをやめてコーヒーを飲み干して大きくため息をついた


誤字報告が五件たまったので二回分投稿


これからもお楽しみいただければ幸いです

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