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J/53  作者: 池金啓太
十七話「追い追われる先に」

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不穏な気配

『・・・シズキ・・・一ついいか』


『・・・ん?どうした?』


そんな話をしながら今日の午前中の授業を終えたあたり、唐突に邪薙が話しかけてきた


学校の中で話しかけてくるのは珍しい、一体何があったのだろうかと明利の作ってきてくれた弁当を開いたところで眉をひそめる


少なくともその声音からあまりいいニュースではないことは察することができた


『自宅の結界に反応がある・・・何者かが家に入り込んでいるぞ』


邪薙が自宅に張っている結界は簡単に言えば障壁の下位互換のようなものだ、障壁ほど強い拒絶能力はない代わりに、その結界を通過した際、あるいは接触した際に邪薙はそれを感知できる


能力とは別なもので、彼が守り神としてもともと所有している力の一つ、メフィで言うところの使い魔の作成だとかそういう独特のスキルのようなものである


『・・・父さんたちが帰ってきたとかそういう事か?』


『・・・窓から侵入するような人物だぞ』


その言葉に静希は弁当を急いで口の中に放り込みながら眉間にしわを寄せる

要するに空き巣だ、何で能力者の住んでいる家庭に空き巣なんて入るんだろうと呆れてしまうが放っておくわけにもいかない


「静希君、どうしたの?美味しくなかった?」


「あ・・・いやすごい美味い、けど今ちょっと問題が発生した・・・職員室行ってくるな」


弁当を食い終り、明利の頭をなでた後、静希はすぐに職員室へと向かう


空き巣が入っても盗られるようなものは特に置いていないし、武器などはすべて簡単に持ち出せないようにしてある


ナイフはともかく銃弾などは特に厳重に保管してある、簡単には見つからないはずである


職員室に急いで入ると、静希の担任である城島も丁度昼食時だったのか、弁当を広げている最中だった


「先生、お食事中すいません、ちょっと問題が起きました」


「あぁ?また誰かが逃げ出したとかそんな話じゃないだろうな?」


「いえ・・・俺の部屋に空き巣が入ってるみたいです・・・」


城島の耳元に声を小さくしてそういうと、城島は眉間にしわを寄せてため息をついた


空き巣に入った奴も運がないとかそういう事を考えているのだろうか


何故そんなことを知ることができたのかと聞こうとした瞬間に、静希の周りにいるその人外たちを思い出して納得してしまう


こいつは面倒事を引き寄せる何かでもあるのだろうかと思えてしまうほどだ


「一度家に戻れ、私が警察へは連絡しておく、可能ならその空き巣も捕まえてこい」


「了解です」


静希は職員室を出てすぐに靴を履きかえて走り出した


フィアに協力を要請することも考えたが、そこまでの緊急事態でもないのに昼間から大きな獣の姿を衆目の前に晒すべきではないと考え走るだけにとどめた


『邪薙、家はどんな状況だ?まだ犯人はいるか?』


『あぁ、まだいるぞ、リビングをうろついているな』


『私たちの家に入り込もうなんて随分と度胸のある空き巣ね』


『それにしても窓からとは・・・相手も能力者でしょうか・・・?』


人外たちの話の中で気になるのは二点、リビングにまだ犯人がいるという事と、犯人が能力者である可能性についてだ


静希の住んでいるのはマンションの中でもかなり上の階だ、そんな場所に無能力者がホイホイと登れるわけがない


しかもなぜ静希の家なのか、もしかしたら他の部屋から順々に回っているかもしれない


そう考えると確かに捕まえたほうがいい


貴重品などはすべて静希のトランプの中に保管してあるとはいえ、自分の家に勝手に入られていい気持ちなどするはずがない


人外たちへの協力は難しい、相手に人外たちを見られるのはあまり好ましくないからだ


とはいえ窓から入ってきたような人間だ、静希が帰ってきたとわかればその場からすぐに脱出することもあり得る


警察の到着を待つことも考えたが、城島が連絡してから到着するまでおよそ十分以上はかかるだろう、悠長に待っていられるような時間的猶予はない


自分の家の前まで来て静希は音をたてないようにゆっくりと鍵を開け勢いよく中へと入る


その瞬間、静希が帰ってきたことを察したのか、中にいた誰かは窓を割って外へと勢いよく出て、ベランダから跳躍していってしまった


「くっそ!逃がすか!」


静希は即座に窓を開けてベランダから下を見るが、その先には誰もいない


どこかに隠れているのではとあたりを見回すが、一瞬だけ見えた空き巣の姿はもうなくなっていた


『やられたな・・・ありゃ完璧能力者だな』


『・・・すまん、もう少し強固な結界が張れれば』


お前のせいじゃないだろと静希はあたりを見渡してため息をつく


多少荒らされているがそれはリビングの中だけのようで、特にひどいのはゴミ箱、いつもフィアが入っているケージ、そしてキッチンや雑貨の入っている引き出しくらいのものだ


自分の寝室兼自室や、両親の部屋と書斎などは一切漁られていない


特に武器などは徹底的に調査したが、ナイフの一本たりとも紛失してはいなかった


何がしたかったのかわからないが、空き巣に何も盗られていなかったというのはある意味僥倖だ


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