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J/53  作者: 池金啓太
十五話「未来へ続く現在に圧し掛かる過去の想い」

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二人分の

「ねぇ二人とも、キスの場所の意味って知ってるかしら?」


「・・・意味・・・?」


メフィにキスするところを見て少し不機嫌になった二人を横目で見ながらメフィはくすくすと笑っている


流石は静希達より何倍も生きているだけあって多くのことを知っているというところは褒めるべきなのだろう


「唇へのキスは愛情、でもね、胸へのキスは所有を意味するの・・・私は今シズキに所有宣言されちゃったのよ?私は身も心もシズキに所有されちゃうの」


自分の体を指でなぞりながら官能的な声でそうつぶやくメフィを前に、僅かに体を震わせながら明利と雪奈は静希に襲い掛かりその体をメフィから引きはがした


明利は今にも泣きそうな目でメフィをにらみ、雪奈は静希の体を抱きかかえながら少しでもメフィから遠ざけようとしていた


「ふんだ!所有が何さ!私たちだって所有宣言してやるもんね!明ちゃんほらやるよ!」


「え!?わ、私もですか!?」


「おいこら服脱がすな!」


制止もむなしく上半身裸にさせられた静希は、胸元に明利と一緒に顔を寄せ口をつける雪奈に呆れながらそれ以上暴れることはなく、二人の口づけを受け入れた


もうどうにでもなれという感じである


「ふふふ、ほらあんたたちも、私たちのシズキがめでたく度量を見せたのよ?何とか言ったらどう?」


その様子を楽しそうに見ていたメフィは傍観を決め込んでいた邪薙とオルビアに急に話を振る


邪薙は目をつむったまま、オルビアは僅かに頬を赤くし、ほほえましそうに嬉しそうにその場を見ていた


「ふむ・・・男としての責任は間違いなく重くなっただろうが、まぁシズキならば問題ないだろう、祝詞でも送ってやりたいが、生憎とそのようなものは知らなくてな」


神として祝詞を知らないというのはどうかとも思うが、少なくとも祝福されているのは確かだろう、ありがたくその気持ちを受け取っておくことにする


「私の生きていた時代であれば、マスターたちはすでにご結婚なさっていてもおかしくない御歳、複数の妻となると現在は少し問題があるようですが、それすらも些細なものとお見受けします、マスター、明利様、雪奈様、おめでとうございます」


深々と頭を下げながらオルビアは満面の笑みを向けている


じゃれあっていた三人もこの言葉には多少思うところがあったのか少しだけ照れているようだった


「それにしてもさ、ユキナがいるとメーリは随分積極的になるのね、この調子でさっさと処女散らしちゃいなさいよ」


「・・・え?」


メフィの言葉に一番反応したのは雪奈だ


目を見開いて静希と明利を見比べている


「え?なに二人ともまだやってなかったの!?」


雪奈の驚きはもっともかもしれない


なにせ明利は長年静希のことを想い続けてきたのだ、雪奈の予想では付き合いだしたらそれこそタガが外れたかのごとく乱れまくるものだと思っていた


だが現実はそうではない


雪奈への罪悪感と羞恥心のせいで最後の一歩が踏み出せずにいた明利


二人の反応と人外たちが明利に視線を向けたことで雪奈は状況を大まかにだが把握したのか大きくため息をついた


「明ちゃん?そんなんじゃ私が静の初めてもらっちゃうよ?」


「そ・・・それは・・・でも恥ずかしくて・・・」


「恥ずかしいのと嬉しいのとどっちが上?一緒になれる方がずっと嬉しいよ?たぶん」


雪奈の説得に明利は静希との情事を想像しているのか、一気に顔が赤くなる

顔から火が出そうとはこのことだ


「なんだったらさ、いっそ三人でする?一人が恥ずかしくても私といればまぎれるかな?」


「え・・・あ・・・えっと・・・その・・・初めては・・・一人ずつの方が・・・その・・・いいです・・・」


顔を真っ赤にして今にも倒れそうだが、うつむいた状態で必死にそう告げる明利を見て雪奈は生唾を飲んだ


せっかく事に至れるのであれば二人っきりがいいというのは理解できる


雪奈だって静希と結ばれるのであれば最初だけは自分だけを見てほしい、その気持ちは理解できる


だが今の雪奈の頭にはまったく別なことが浮かんでいた


「やっばい・・・静、明ちゃんのこと抱いていい?性的な意味で」


「だめに決まってんだろアホ、何言ってんだか・・・」


かなり真剣な顔で明利に抱き着きながら頼み込む雪奈に、静希はあきれ返ってしまった


明利も明利でもう恥ずかしさがマックスになってしまったのか必死に抵抗しようとするものの力が入らないのか雪奈の抱擁から抜け出せなくなってしまっているようだった


結局その後、三人が情事に至ることはなかったが、今までとは違う新しい関係に互いを祝福しながらその日を終えることとなる


その数日後、城島の協力の元トランプの中に入れたままだった思成人為御神を解放し、ようやく肩の荷が下りた静希は何時もの日常に戻ることができた


もっともその日常は数日前とは全く違うものとなっていた


二人もの恋人を抱えた静希のこれからがどうなるのか、ともにいる人外にも当の静希達にも全く分からないことだった


今回で十五話が終了、次回から十六話が始まります


これからもお楽しみいただければ幸いです

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― 新着の感想 ―
[一言] まさか二股になるとは思いませんでした。 恋愛がメインではなくてもタグで注意喚起して欲しいです。 複数ヒロインやハーレムなどあれば避けたと思うので。 4日間夢中で読んでいましたがこれ以上読めそ…
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