雪奈の告白
「明利に言ってどうするんだよ・・・あいつ怒るかもしれないぞ?」
明利は静希の彼女だ、束縛が強い方ではないかもしれないが、それでも自分の彼氏に想いを寄せる人がいていい気持ちがするはずがない
「そうかもね・・・でもね、さっきも言ったけど、私は二番でいいの、いうなれば明ちゃんが正妻で私は愛人さん」
「なんだそりゃ、無茶苦茶だな・・・」
そういっていると、雪奈の表情に少しだけ陰りが見える
一体何を思っているのかと考えるより前に、雪奈は強引に静希の頭を引き寄せて抱き寄せる
少し抵抗しようとしたが、自分を抱き寄せる雪奈の体が震えていることを感じ取って静希は大人しくすることにした
「・・・静がね、腕もげて病院に運ばれたって聞いたとき、心臓が止まるかとおもった」
「・・・悪かったよ」
「あ・・・違うの、責めたいんじゃないんだ・・・静が・・・いなくなっちゃうんじゃないかって・・・そう思ったんだ・・・」
雪奈と静希は幼いころからずっと一緒だった
それこそ自我が生まれるよりも前、人生のほとんどを一緒に過ごしてきたのだ、その衝撃はさぞ大きかっただろう
「静がいなくなっちゃったらって想像したら・・・すごく怖くなった、すごく泣きたくなった・・・だから・・・私のことを好きじゃなくてもいいの、一緒に居てくれればそれで・・・」
「・・・」
雪奈の言葉に、静希は改めて自分がどれだけ雪奈に心配をかけていたかを思い知る
今回雪奈に危険がおよび、それが良く分かった
自分の知らないところでもし死んでしまったら
そんな想像が頭の中を何度も過る度に締め付けられるようだった
「あはは・・・ダメだねやっぱり・・・口ではうまく言えないや・・・」
「・・・はぁ・・・やっぱダメな姉を持つと苦労するよ」
「はは・・・ごめんね」
雪奈から離れて、その体を抱え上げると、静希はため息をつきながらメフィをトランプの中に収納する
確かに静希は雪奈を姉としてみていた、家族に等しい存在としてみていた
だが同時に、最も身近な異性として意識していたのも事実だ
明利になんていえばいいのだと困り果てながら、静希は雪奈を抱えたままとりあえずぶち破った壁の向こうへ歩きだした
「お姫様抱っこなんて初めてだよ」
「あー・・・雪姉は大きいからな」
「・・・重いって言わなかったのは評価してあげよう」
そうですかと呟きながら、静希は歩く
さっさと明利のところに行かなきゃなと考えたところで、静希と雪奈の視界は歪み、真っ白な空間から先程までいた屋敷の一室へと戻ってくることができた
「戻ってきた!」
静希と雪奈の姿を確認すると同時に明利が二人の元へと駆け寄り、雪奈の班員たちもその安否を確認するように近くに寄ってくる
抱えていた雪奈を下ろすと、ようやく今回の面倒事の収拾がほとんどついたことに静希は安堵の息をつく
「深山、無事で何よりだ」
「あはは・・・心配かけたみたいで・・・申し訳ない」
班員たちに詫びを入れる雪奈を見ながら、静希は近くに座っている鏡花とその近くにいる陽太の方を見る
どうやら向こうもしっかりと回収できたようだなと安心する
「おう静希、お疲れ、うまくいったみたいだな」
「陽太もお疲れ、うちのヒッキー女王様のお相手御苦労である」
静希の言い分に、座っていた鏡花は眉間にしわを寄せながら顔を上げる
「あんたねぇ・・・もうちょっと言いかたってもんがないわけ?こっちは傷心だってのに・・・」
ヒッキーと呼ばれてさすがに引きこもりの不名誉を受け取るわけにはいかないと反論するが、静希はカラカラと笑って見せた
「はっはっは、傷心?あんな出来損ないの言葉に何を傷つけられたのやら」
「静希君、そんな風に言わないの、結構嫌だったんだから・・・」
静希と陽太は昔の自分の言葉にはなにも感じなかったようだが、鏡花と明利の二人はしっかりと傷つけられていたようだ
明利はそうでもないが、鏡花の傷は大きい、いやもともとあった傷を抉られたというべきか
「明利でもこれなのにうちのエリートときたら・・・成績表通りメンタルが弱いんだな」
「うっさいわね、あんたたちみたいに神経図太くないのよ」
「あんたたちって・・・ひょっとしてもしかして私も入ってるの?!」
「あー・・・明利って結構やるときはやるもんな、ある意味タフだし」
陽太の言葉に明利はそんなことないよと少し嬉しくもありタフだと言われて少し悲しくもあり、微妙な心持のようだった
そんな中鏡花はこの三人が自分の仲間でよかったと心底思ったのだ
今さら彼らを疑うようなことはない、こうして言いたいことを普通に言えるのだから
最初敵対したのが良かったのだろうかと思いながら鏡花は安心しながら目を閉じる
「片付いたようだな・・・五十嵐、報告しろ」
何時から部屋にいたのか、城島と雪奈の班の担当教員が部屋の隅からこちらへとやってくる
むしろ静希としてはここからが面倒の本質と言ってもいいのだ
「わかりました、ちょい面倒なあれなんで、気心のしれてる城島先生だけに報告したいんですけど・・・」
静希の言葉に、城島は中から出てきた鏡花や明利、そして雪奈を見比べてその意味を察知する
「なるほど、多少トラウマを刺激されたようだしな、ここは私が報告を受けましょう、よろしいですね?」
「えぇ、問題はありません、こちらは引き続き実習の続きを・・・深山、お前は少し休んでおけよ、ほか三名は遅れた分を取り戻すように」
雪奈の班員の不満そうな声が聞こえる中、城島の機転に感謝しながら静希は安堵の息をつく
また神格などと言う面倒なものを抱え込むなんて御免だ、すぐにでもこの厄介者を外に出したいところだが、何も考えずに出してしまえば面倒の種になるのはわかりきっている
「お前たちは丁度いいから深山の傍にいてやれ、どうせやることもないんだ、話を聞いている間大人しくしていろよ?」
明利達の元気良い間延びした返事を聞きながら静希と城島は一度部屋から退出する
少し移動して屋敷から出ると城島は振り返って大きくため息をついて見せた
「で・・・今度は一体どんな面倒事だ?」
すでに静希が何らかの面倒事を抱えたことを理解している城島はもはやあきらめの境地に達しているようだった
面倒事の中心地と言ってもいい静希からすれば申し訳ない限りである
「今回の原因の元はあの霊装ではなく、その中に入っていた神格でした、何らかの力を使って雪姉を閉じ込めていたみたいです」
この中に収納してありますと言って一枚のトランプを見せると、城島は眉間にしわを寄せて大きくため息をついて見せた
「・・・で?この神格とやらは何を望んでいるんだ?またお前のお供にでもなる気か?」
「いえ、こいつが望んだのはあの霊装からの解放だけです、そこから先は俺も知りませんし関わりたくありません」
個人的にこの神格のことを好きになれない静希からすれば一刻も早くこの神格を自分の能力の中から排除したいところだが、すぐに出したら出したで面倒なことになる
今は我慢の時だと言わんばかりに不快感をこらえて能力を制御しているのだ
「なので、こいつを出しても問題ないような場所さえ用意していただければ・・・」
「ふむ・・・神格を出しても問題ない・・・とりあえず人目につかない僻地であれば・・・後は勝手に流れてくれる・・・という認識でいいのか?」
大体それで問題ないですというと、城島はまたため息をついて自分の知っている場所について考え始める
少なくとも神格の力を悪用されないためにも人目のつかないというのは第一条件だ
そして他にも、その場所にいる生き物に影響を与えないような場所が好ましい
なにせ悪魔に対してはあそこまで過剰に生き物が反応するほどだ、存在の種類が違うとはいえ神格にも何らかの反応が見られるとみて間違いない
彼女の知る中で、今のところその場所に該当がないのか、頭を捻りながら唸り始めてしまう
「五十嵐、その件については私が場所を探しておく、それまではお前が責任をもって神格を押えておけ」
「えぇ・・・こいつとは一秒でも一緒に居たくないんですけど・・・」
一週間程度だから我慢しろと城島が言うので、静希は仕方なくため息をつきながら城島の元からトランプを取り戻す
少なくとも一週間はこのいけ好かない神格と一緒に居なくてはいけないと思うと頭が痛かった
『そういう事だ・・・もしもの時は頼むぞお前ら』
人外たちに声を飛ばすと全員がしっかりと返事をする中、仮入居者は全く返事をしない
静希に対して口出しをしないという願いを遂行しているだけなのだが妙に腹が立つのはなぜだろうか
それを願っておいて返事をしないから腹が立つというのも我ながらひどいものだと思いながらとりあえずもうこの件に関してはあきらめることにした
一週間の我慢だと言い聞かせてトランプを懐にしまってとりあえず雪奈たちのいる部屋に戻ろうとすると、この屋敷の片づけをしている先輩方が家具などをどんどん表に運び出しているところに出くわす
よくよく見ると屋敷の壁に直径一メートルほどの穴が開いている、そしてその穴の向こう側はどこか違う空間へとつながっているようだった
「おぉ五十嵐、城島女史との話は済んだか?」
そうこうしていると穴の向こう側から小物をいくつか持った熊田が平然とこちら側へとやってくる
「えぇ・・・それにしてもこれなんですか?」
「ん?あぁ、これは井谷の能力だ、転移系の能力で、場所と場所をこの穴でつなぐことができる、一度触れていないと穴は作れないらしいがな」
どうやら穴の向こうは片付けをしている部屋であるらしい、次々と荷物を持った先輩が通っていく
物質を転移させるというよりは離れた空間をつなぐ能力に近い、だが一瞬にして物質を別空間に転移させているという意味では転移系と言えなくもない
「この能力だと、雪姉とかの奇襲とかに役立ちそうですね」
雪奈の攻撃は基本刃での近接攻撃だ
事前にこの穴を作れる状態にしておけばいつでもどこでも雪奈の奇襲攻撃が行える
熊田の能力で相手の場所を特定しておけばさらに成功確率は上がるだろう
何気に雪奈の班はバランスが良く、互いの連携も容易に行えるような能力であるようだ
「ははは、流石と言ったところか、よく使う手だ・・・っと、まだやることがあるのでな、失礼するぞ」
引き留めてしまっただろうか、小さく詫びながら頭を下げると熊田は気にしていないようで軽く手を振りながら穴の向こう側へと向かい、再び片づけを行いにいった
城島は城島で、ここにいた先生と何か話に行ったようでここにはいなかった
静希も明利達と合流するべく足早に屋敷の中に戻ることにした
エントランスを通ると、そこには城島と雪奈たちの担当教員が何やら話しているようだった
恐らく今回のことに関してこれからどうするかを話しているのだろう
今日は土曜日、まだ校外実習はあと一日残っているのだ、このまま静希達がいつまでもいるわけにはいかないだろう
撤退の準備を進めたほうがいいかもしれないなと思いながら静希は明利達のいる部屋へと向かう
「あ、帰ってきた、お帰り静」
「おぉ・・・って何やってんだよ」
静希が戻ってくるとそこには明利を抱きかかえて離さない雪奈の姿があった
胡坐をかいてその股の間に明利をすっぽりと収めて抱き着いて羽交い絞めにしている
明利も恐らくは抵抗したのだろうが、もうあきらめたのかなすが儘にされている
「雪奈さん絶好調よ?休む必要ないんじゃないの?」
精神的にダメージを受けた鏡花ならいざ知れず、雪奈はほとんどノーダメージであるかのように振る舞っている
だが雪奈とてさすがに心理的負担はかけられたのだ、気丈に振る舞っているだけだろうと思いたいところである
「まぁあれだ、お前と一緒で案外繊細なところがあるのかもしれないぞ?今は好きなように」
「んん明ちゃんは可愛いなぁ・・・ここかい?ここがいいのかい?もう!いい反応しちゃってぇ・・・!」
「・・・繊細・・・?」
「ごめん、俺の気のせいかもしれないな・・・」
幼馴染に対して犯罪すれすれの接触行為をしている雪奈に対して多少あきれ果てる静希
だが普段はあそこまで過激な接触はしていなかったように記憶している
やはり多少何かを紛らわせようとしているのだ
そうだと思いたい
「とりあえず、問題も解決したし、これからたぶん撤収になると思うから、今のうちに準備はしておこう」
「あー・・・そっか、俺らが実習やってるわけじゃねえもんな」
今回静希達はあくまでこの現場に緊急助っ人としてやってきただけ、まだ雪奈たちの実習が終わったわけではないためにいつまでもここにいるわけにはいかない
「雪姉も、いつまでも明利で遊ぶなよ?そろそろ先輩達の手伝いに戻れって」
「むぅ・・・静は意地悪だなぁ、それとも嫉妬してるのかい?自分の彼女がいいように弄られて」
「そんな軽口が言えるなら問題ないな、ほれ先輩方のところに行くぞ」
静希に首根っこを掴まれる寸前に、雪奈は明利に耳打ちし、そのあとあーれーというお決まりの言葉と共に引きずられてどこかへと連れ去られていった
その様子を見ながら鏡花は小さくため息をつく
今回のことで一番醜態をさらしたのは自分だとわかっているために気が重いのだ
「鏡花ちゃん、大丈夫?」
「・・・どっちかっていうと私のセリフだけど・・・顔赤いわよ?」
先程までいいように弄られていた明利は自分の顔が赤いことに気が付いていなかったのか、手で顔を覆って恥ずかしそうにうずくまる
雪奈にからかわれるのは慣れているとはいえ、あそこまでの過剰接触は明利も久しぶりだったのだろう、身だしなみを整えながら深呼吸を繰り返していた
「・・・さっき雪奈さんになんていわれたの?」
「え?・・・あぁ、実習が終わった日に静の・・・静希君の家で待っててって、話があるみたいだったけど」
「ふぅん、話ねぇ・・・いったい何言われるんだか・・・」
鏡花は考えをめぐらすが、一体何を言われるのかわかったものではない
雪奈から何かを言われるということ自体あまりないために、想像がつかないのだ
それなりに雪奈の人格は理解しているつもりでも、やはり幼馴染には劣る
その幼馴染である明利もいったい何を言われるのかわかっていないようだった
「もしかしたら愛の告白かもしれないわよ?明ちゃん!愛してるんだ!とか」
「や、やめてよ!そんなのありえないって・・・うん・・・たぶん」
絶対と言い切れないあたり、明利と雪奈の関係性は少し見直した方が良いのではないかと思えるが、今さら後の祭りである
だがこの時この二人は思いもよらないだろう
まさかある意味本当に愛の告白にも近いことをいう事になるのだから
「お前達、そろそろ撤収するぞ」
しばらくすると城島が静希と一緒に部屋にやってきた
恐らく向こうの班との折り合いがついたのだろう、もうここに自分たちがいる必要はないという事でもあった
その後静希達は現場を後にし、今回の事件は終結へと向かった
だが、巻き込まれた中で一つの確執を生んだのも事実である
その証拠に、明利は二年生の実習が終わる日曜日に静希の家に来ていた
別れ際に残した雪奈の言葉に従ったのだが、一体何の話なのか、静希に聞いても教えてもらえなかったのだ
静希曰く
「雪姉が言うっていったなら俺が言うわけにはいかない」
ということだった
何か自分に関係しているのだろうことは理解できるのだが、一体何を言われるのだろうと少しだけ怖かった
人外たちと戯れながら家で待っていると、しばらくして静希の家のインターフォンが音を放つ
いつものようにオルビアが対応すると、明らかに疲労を蓄えている雪奈がよろよろとやってきた
「ただいまぁ・・・疲れたぁ・・・」
まるで我が家であるかのように荷物を置いてソファに倒れこむ雪奈を眺めながら、静希はため息を、明利は台所からお茶を持ってきていた
「お疲れ、ほとんど掃除ばっかりだったんだろ?」
「そうだよ・・・実際あそこに住み着いてた生き物なんて一時間で片付いて、ほぼ三日間ずっと屋敷の掃除、これほど合わない実習はなかったよ・・・」
女子としてこの評価が正しいものかはわからないが、雪奈の能力と性格は戦闘に特化している、掃除やら手伝いやらは最初から肌に合わないようだった
静希達が帰宅した後霊装は委員会と日本の霊装を管理している部署が合同で移送したらしい、その後どうなったかは静希も雪奈も全く分からないようだった
明利からお茶を受け取り一気に飲み干すと雪奈は疲れを残しながらもその体をソファに沈めていく
「あの・・・雪奈さん・・・それで話って・・・?」
「あー・・・そっかその事話しに来たんだったね」
「疲れてるなら、別に明日でも私はいいですけど・・・」
明利の言葉に雪奈は少し目をつむってから首を振る
雪奈の決意は固いようで手に持っていた湯呑を置いて姿勢を正して見せる
雪奈にしては珍しい所作を見て明利も思わず姿勢を正してしまう
「えー・・・その・・・明ちゃん、私は明ちゃんに告白しなければならないことがあります」
「・・・へ・・・?」
突然の雪奈の言葉に明利の体が強張った
明利の脳裏には先日鏡花と話した内容が浮かび上がっていたのだ
雪奈が明利に愛の告白
その想像をしたとたんに明利は顔を赤くして挙動不審になり始める
「あ・・・あの、ゆ、雪奈さん・・・わ、私はその、そっちの趣味は・・・なくて・・・えっと」
「ん?そっち?・・・よくわかんないけど・・・コホン」
雪奈は咳払いを一つしてから明利の目を正面に見据えてみせる
「明ちゃん、私ね、静のことが好き」
「・・・へ・・・?」
再び雪奈の言葉で強張った明利だが、すぐにその意味を理解したのか、それとも間違って理解したのか、なんだそんなことかと安堵の息を吐いていた
「なんだ・・・てっきり雪奈さんが私に告白するのかと・・・」
「なんだとはなにさ!・・・いや明ちゃんがそのつもりなら私もその・・・やぶさかではないけどさ」
「話がずれてるぞ二人とも、とりあえずいったん落ち着け」
片方は疲労を抱え、片方は緊張によってまともな思考ができていないのか話が妙な方向に向いてしまっているのを静希が修正を加える
なにせ自分もかかわっているのだ、口を出さないわけにはいかない
「えっと・・・雪奈さんが静希君を好き・・・って・・・なんで今さら?」
「い・・・今さらって・・・だって明ちゃんは静と付き合ってるんでしょ?それなのに好きでいるなんていいの?」
雪奈は自分の伝えたい意図が明利に伝わっていないと思っているようで、何とか明利にも伝わるように言葉を選んでいるようだが、それでも明利は動じていなかった
むしろ何でそんなことを今さら自分に言うのか理解できないといった顔をしている
「雪奈さんが静希君のことを好きなのはずっと前から知ってましたよ?だから私もいろいろ悩んで・・・」
「待って待って!私の好きは姉弟の好きじゃなくて、男女の好きだよ!?」
「・・・?そうですよ?ずっと見てきたんですから、そのくらいわかりますよ・・・」
明利の言葉に、雪奈はぽかんとしてしまった
そしてそれを聞いていた静希も少し驚いていた
ずっと一緒に居て気づかなかった自分もそうだが、まさか明利がそこまで人を見ているとは思わなかったのだ
観察、または洞察とでもいうのだろうか、人の動きだけではなく感情の機微にも敏感な明利ならではの察知力なのかもしれない
日曜日プラス誤字報告十件分ということで合計四回分投稿
時間がないって言ってる時に限ってやってくる誤字報告、読み返してくれている方々には本当に頭が上がりません
これからもお楽しみいただければ幸いです




