表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
J/53  作者: 池金啓太
十五話「未来へ続く現在に圧し掛かる過去の想い」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

569/1032

事態の収拾へ

『え?なに、邪薙にオルビアも出てるの?』


オルビアと邪薙を出した時とは逆に、メフィをロッカーの中に入れてからトランプに収納した静希は雪奈のメールに書いてあった店へと向かっていた


簡単に事情を説明すると、メフィはようやく自分が悪いことをしたという自覚を持ったのか、あちゃーと少しだけ反省しているようだった


『そうだよ、お前がいなくなってから走り回ってこれだよ・・・雪姉と邪薙とオルビアには後で詫び入れなきゃな・・・』


今回面倒に巻き込んでしまった三人を思い浮かべて静希はため息をつく


こんなことを創り出したメフィには多少灸をすえなくてはならないが、それより先に邪薙とオルビアを回収する方が先だ


これ以上人外をトランプの外に出しておくのは静希の精神衛生上よろしくない


「軽い食事から腹八分目まで、お食事はいかがですか?今なら席も空いています、どうぞご来店ください」


雪奈の言っていた店の前までやってくると、そこには店の看板をもって客引き文句を言っている犬顔の神格がいた


表情や声、そして素振りからかなり堂に入っている、どうやらかなり慣れたようだった


『うわぁ・・・邪薙があんなことしてるの見たくなかったかも・・・ほんとに悪いことしたわね・・・』


『・・・自覚があるならあとで謝っておけよ?』


接客というわけではない物の、まさか客引きをしているとは思わなかっただけに静希もいったいどのような顔をしていいのかわからない


笑っていいものか、いや、普段の厳格な邪薙を見ている者からすればあの光景は笑えない


「・・・邪薙・・・お前何やってんだよ」


「おぉシズキ!待ちくたびれたぞ!彼奴は回収できたのか?」


「あ、あぁ・・・問題なく回収した・・・にしても・・・」


雪奈のメールには店にいるとしか言っていなかったが、まさか店の手伝いをさせられているとは思わなかった


この容姿から仮装しているとでも思われているのだろう、人の目を引くにはちょうどいいマスコット代わりだったのかもしれない


どちらにせよ雪奈に礼を言うべきだろう


メフィと同じようにロッカーの中に入れてからトランプの中に収納し店内に入る


「いらっしゃいま・・・五十嵐さん!」


「あ!?お前・・・風香か!?何でこんなところに?」


店に入るとウェイトレスの姿をした仮面の少女が静希の元へと駆け寄ってくる


しかもよく見れば優花の姿まであるではないか、まさかこんなところに東雲姉妹がいるとは思っていなかっただけに少し驚いた


「実は一緒にいろいろ行こうと思って探してたんです」


「五十嵐さんを待ちながらお店の手伝いをさせてもらってたんです」


東雲姉妹独特の同時の会話に一瞬戸惑いながらある程度事情を把握し、もう少ししたら一緒に回れることを告げて裏にいる雪奈の元へと案内してもらう


「雪姉、いる?」


「おぉ静、来たってことは無事に回収できたかい?」


「あぁ、世話かけたみたいで悪いな」


静希の謝罪にいいよいいよと朗らかに笑いながら雪奈は包丁を片手で操っていく


危なっかしいと思えるかもしれないが、彼女にとってそれはペン回しよりも容易に行える所作だ


「五十嵐、問題は片付いたか?」


「どうもです、何とかなりましたよ」


「まったく、邪薙の姿を見た時は肝が冷えたぞ・・・」


「すいませんでした、以後気を付けます」


事情を知っている熊田にも軽く詫びを入れながら静希は本当にこんなことになるとは思っていなかっただけに申し訳なかった


「深山さん、ありがとうございました!」


「深山さん、お世話になりました!」


「あれ、二人とももう行っちゃうの?もうちょっとゆっくり働いてけばいいのに」


二人の同時発音にも動じることなく雪奈はウェイトレスの恰好をしている二人に抱き着いて引き止めようとするが、二人は必死にもがいて雪奈の元から抜け出した


手早く元の服に着替えるとそそくさと厨房から出て行ってしまう


「まぁなんだ、もう客入りもずいぶん少なくなったし、あの二人がいなくとも問題ないだろう」


「そうだけどさぁ・・・癒しがないよ癒しが」


熊田と雪奈の言葉に僅かに頬を緩めながら静希は二人に頭を下げてから厨房から出ていく


「五十嵐さん!どこに行きますか!?」


「五十嵐さん!どこに行きたいですか!?」


廊下で待っていた二人の言葉に気圧されながら二人の頭をなでながらもう一人回収しなくてはいけない人外がいることを思い出す


「とりあえず俺らが働いてる店に行くか、お茶とかもごちそうできるかもだしな」


「「本当ですか!?行きましょう!」」


この二人は本当に息がぴったりなのかそうじゃないのかわからないなと思いながら、二人に手を引かれ、静希は苦笑するしかなかった


夏休みに特訓に付き合ったときもそうだが、この二人は元気すぎる


自分が子供の頃もこんな感じだっただろうかと思い返しながら二人の後をついていくことになった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ