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J/53  作者: 池金啓太
二話「任務と村とスペードのクイーン」

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戦いの後に

「な・・・なんだったんだ今のは・・・」


「し、静希君・・・」


「明利!?何で泣いてるんだ!?落ち着け俺は生きてるぞ!」


「静、お前というやつは!明ちゃんがいながらなんてことを!」


「なに?結局どうなったの?」


「しらねーよ、わけわかんねーよ」


「一体何をどうしたらこうなるんだ」


生徒陣が大きく動揺している中城島が大きく手を叩く


「はいはい混乱はもっともだがそこまでにしろ、任務完了だ、村に戻って報告期間終了まで村の警護、やることは山積みだぞ」


まだ混乱が抜けない中とりあえず全員立ち上がり未だ何がどうなったのか理解の追いつかぬまま、その場を後にし、村へと戻った


戻る頃には昼、まさか午前中に事が終わるとは思わなかったなと話し合いながら自分達の能力の後始末をしながら村長の家へと向かう


先に戻っていたエルフの少女は村長の家の布団で寝かされ、小さく寝息をついていた


その顔は穏やかで先ほどまで暴走して獣のようになっていた少女とは思えない


「結局水筒無駄になったわね」


「あー、たしかに、せっかく作ってもらったのにな」


「どうせだからここで食べる?この子も起きるかもよ?」


「あ、そうだ鏡花、この子の仮面作っておいてくれ、エルフは顔見せちゃいけないんだろ?」


「あ、そっか、掟だっけ?」


詳しいことは静希達もわからないが、エルフが素顔を簡単にさらしてはいけないのは事実だ


この子の自我喪失が悪魔の憑依だった以上、完全に意識を失っていたかどうかは定かではないが一応顔は隠していてわからなかったと言い張るのが妥当だろう


「それはいいけどデザインとか材質とかは?」


「デザインは資料の通りに、材質はこれをまねてくれ、できるか?」


捕獲の際に落ちた下半分が破損した仮面を手渡す


「あぁ、これだけ分かれば大丈夫、すぐ作るわ」


いつこの子が起きるか分からない、すぐに顔につけてやるべきだろう


「あと、この子が万一まだ暴走しないとも限らない、交代で見張りをつけようと思う、目が覚めた時事情を話してやらなきゃいけないしな」


「そっか、この子からしたら里で意識を失って、気がついたら十日たっててここにいるんだもんな」


「混乱することもあるだろうから、見張りは俺、鏡花、明利、熊田先輩の四人の交代制でやろうと思う」


「ちょっとまて、なんで俺や雪さんが入ってないんだ」


「そうだぞ静、これは何かの差別か?」


「じゃあ今まであったこと十歳児にもわかるように懇切丁寧に説明できるか?」


静希の返しに二人は言葉を詰まらせる


この二人は圧倒的に説明ということが苦手だ


それはもう主語は抜けるわ擬音は使うわ、まるで漫画の文字をすべて読んでいるかのような表現法を使う


「二人には村の見回りと、村の人たちに一応獣の問題は解決したって旨を伝えてほしいんだよ、これから警護の仕事も入る、悪魔がいなくなって動物たちが戻ってくれば別の被害もあるかもだしな」


「静希、できたわよ」


二人への指示を出していると鏡花が仮面を持ってくる、写真で見た仮面と寸分違わないできだ


そっと少女の顔に仮面をつけてとりあえずは一安心だ


「お前達、そろそろ昼にするぞ、報告も忘れるな?」


襖を開けて城島が入ってくる


監査の先生は明利の治療を受け既に通常任務に戻っていて姿は見えない、さすがというかなんというか


「そうだ先生、あの子はどうするんですか?このまま村に置いておくんですか?それともどこかの医療機関に?」


「いや、今日の夜か明日くらいに捜索隊、隣のクラスのエルフの班がやってくるはずだ、その時に引き渡す」


「はぁ、大丈夫なんですか?」


「もちろんただでは渡さない、たっぷり自分達のしたことをわからせてやる」


悪い大人の顔をしてる


全員が嫌な予感にびくびくしている中で城島はあっけらかんとしている


これが経験豊かな大人というやつか


「昼はどうする?おにぎりも味噌汁もあるんだろう?奥さんがいくつかおかずも作ってくれたが?」


「マジッすか!食う食う!」


陽太はよほどここの食事が気に入ったのか即座に自分の分のおにぎりを持って台所へと走っていく


「こら待て!一人占めは許さないぞ!」


雪奈も即座に陽太の後を追って行った、あの二人は思考回路が一緒なのではと思う


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