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J/53  作者: 池金啓太
二話「任務と村とスペードのクイーン」

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合流

能力は本来一人に対してまたは一つの生き物に対して一つしかない、その能力の強弱の差はあれど、人の歴史が始まって以来、観測上複数の能力を持って存在する者はいなかった


そしてそれはきっと悪魔にも適応されるだろうと思っていた


だが目の前の悪魔は光の弾丸を放ち、毒ガスの中から悠々と脱出、その毒ガスを消し、さらにはエルフの少女が使っていた能力に酷似した力を行使した


少なくとも三つの能力を使っていることになる


問題は、複数持ってることではない


実際に能力を体で体験した陽太も、能力を使っているところを何度も見ている静希も、今の現象を理解していた


「何でお前が・・・あの子の能力を使えるんだ!?」


うずくまりながら悪魔を睨む静希は既に強がりなど微塵もない


すでに身体はほとんど動かない、足は痙攣し、強く残るダメージからか意識も朦朧としてきた


だがこれだけははっきりさせなくてはならない


なぜ目の前の悪魔があのエルフの少女の能力を使えるのか


「うーん・・・私に勝てたら教えてあげるって約束だからね、教えてあげない」


悪戯っ子のように笑い、静希と陽太を見比べる


静希はもう動けそうになく、陽太もだいぶダメージが蓄積されてしまっている


かなり炎の出力をあげ、強化を高めているのにそれを完全に無視してこれほどダメージを与える、悪魔はだてではないということか


互いに消耗している中、それでも悪魔を睨んでいると茂みの奥から3人の監査官の分身が現れる


「すまない、眠り過ぎた」


一人は静希を木に寄りかからせ、一人は鏡花の前に立ち、一人は悪魔と対峙する


「なに?あんたは別に期待してないんだけど」


「生徒の方がお好みか?」


「えぇ、あの子たち有望よ?十分楽しませてもらったわ」


「ここいらで引いてくれると助かるんだがな」


ナイフを構えながら目の鋭さを強くする


だが悪魔は全くひるまず呆れるような顔をする


「それは無理ね、まだまだ八つ当たりし足りないわ、あなた分身できるなら、せいぜい的になって頂戴ね?」


悪魔が動いたかと思ったら監査員の腹部に光を纏った腕が突き刺さり、その顔が苦痛にゆがむ


どうやら分身だったようで霞むように消えていく


「そっちの二人分も、早く消してあげるわ」


動きが見えなかった、それは強化状態の陽太も同じだったようだ


そして自分達よりずっと実力が上なはずの監査員さえも


「まったく、嫌になるな悪魔なんて、夢なら覚めてほしい」


「じゃあ苦痛で目覚めさせてあげる」


悪魔が邪笑を浮かべながら能力を発動するその数瞬


「じゃああんたは眠っていろ」


一瞬だった、静希の近くにいる監査員に近づき始めた瞬間、背後から突如現れた雪奈が日本刀で悪魔の体を薙いだ


だがその表情は驚愕に染まっている


「て、手ごたえがない?」


雪奈たちは悪魔に対し物理攻撃が効かないことを知らない、この反応は当然だったが、当の本人の精神的動揺は大きい


「静!陽!鏡花ちゃん大丈夫?」


「な、なんとか・・・」


「大丈夫かな」


「私は、でも静希が・・・」


この中で一番の負傷者は静希だ


強化もなにも行っていない身体で突っ込み、悪魔の能力に直撃してしまったのだから


「あらら、さっきの子たちが戻ってきちゃったのね、本当に遊び過ぎたかしら」


新たに戦力が加わっているというのになんという余裕だろうか


明らかにこちらを舐めている


「五十嵐、無事・・・ではなさそうだな」


「はは・・・生きているうちに間に合ってよかったです・・・」


静希の返答には力がなく、かなり消耗していることがうかがえた


「静希君!」


「明利・・・なんで村に残ってなかった・・・!?」


明らかに戦闘派ではないくせになぜ出てきたのか


真面目な明利が自分のできることを放りだすとは珍しい


明利は静希の身体と同調し、身体の傷んだ部分を治癒していく


身体の痛みは徐々に消え、静希の顔から苦痛の色が取り除かれていく


「へえ、その子回復ができるのね、やっかいね」


悪魔がその腕を光で覆っているのを静希は見逃さなかった


「っ!明利!」


静希の叫び声に反応したのは陽太と鏡花だけだった


陽太は悪魔の腕を掴み止めようとし、鏡花は地面から土の壁を作り、静希は光を纏う悪魔の腕を腹に受けながら明利をかばっていた


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