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J/53  作者: 池金啓太
十三話「その森での喪失」

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炎の変化

陽太と目標との戦闘を鏡花は少し遠いところから監視していた


最初の目的は陽太が確実な隙を作ってからこちらが動いて目標を拘束する、そのつもりだった


だが陽太の戦い方を見て、唖然としていた


あれは本当に自分の知る陽太なのだろうか


言葉にならない声を張り上げ、無造作に拳を振るい、隙も何もあったものではないような移動と停止を繰り返す


あれではただの獣だ、理性も何もない、自分の怒りを無造作にぶつけているだけ


あれでは奇形種と何の変わりもない、あれでは能力者に対しては勝てない


静希のいっていたことをようやく理解できたと歯噛みしながら鏡花は目標の様子をうかがう


今、目標は陽太に集中しきっている


陽太が放つ咆哮のおかげで自分たちの存在にはまだ気づいていないようだった


不幸中の幸いと言えばその通りだが、正直に言えばマイナスの方が勝っている


陽太が理性的に動いてくれているのであればまだやりようはあったが、あのようにむちゃくちゃに暴れられてはフォローも何もない


むしろ下手に動けばこちらの存在まで露見し窮地に立たされるのはこちらだ


「・・・あの能力・・・ただの爆破じゃないみたい・・・」


自分と同じく戦闘の様子を見ていた明利がふとつぶやく


鏡花もよく見てみると、その違いに気づくことができた


炎と咆哮をまき散らしながら飛翔する球体を時に回避し、時に拳で薙ぎ払う陽太、彼の周りで起こる爆発に大小の違いがあるのだ


具体的に言えば回避したものは大きく爆発するのに対し、爆発する前に陽太が打ち払った球体は本当に小規模の爆発しか起きていない


あれでは炎を余計に陽太に与えるだけで致命打にはならない


「本当だ・・・いったいどういう・・・」


「たぶん・・・あの能力は定点爆発なんだと思うよ・・・設定した位置でしか本来の威力の爆発が起きないんだと思う」


明利の言葉に鏡花はさらに球体を注視する


特に陽太がよけたものは別に何かの障害物にあたっているわけでもないのに勝手に爆発している、衝撃や接触で爆発するわけではないらしい


定点爆発


明利の言うように、確かにある程度の時間か、あるいは位置でしか最大威力の爆発が起きないのだろう


陽太の高速での移動と攻撃にまだ目標は慣れていないのか、それともどんどん炎を強め身体能力が強化がされていく陽太の動きに予測がついていかないのか、何発も爆破を起こしても八割以上が無力化されている


そんな中、陽太の体を見て鏡花はあることに気づく


陽太の炎の色が少しずつ変化しているのだ


灼熱のような赤から、太陽のような鮮やかなオレンジへ、そして少しずつその色素が落ちていくかのように白へと変わっていく


炎はその温度によって色を変えていく


可燃物によってもその色は変わるが、別に陽太の炎は燃える対象が決まっているわけではなく、陽太自身が炎を出しているためにその線は考えられない


つまり陽太の炎の温度が上がっているのだ


以前静希が言っていた、陽太の能力が全開になった時、その炎は青くなるのだと


藍炎鬼炎、その名に偽りのない、青い炎を纏った鬼になるのだと


今の陽太が纏っているのは白炎


炎の色が変わりだしてから、その動きはどんどん速く、そしてどんどん人間離れしていく


炎の総量と温度に依存する肉体強化


普段陽太が振るう拳は、自分たちが学校の訓練の時に倣う対人格闘をもととしたれっきとした格闘術から行われるものだ


陽太は自力でも大人だろうと打ち倒せる実力があり、能力を使えばその力はさらに強くなる


だが今の陽太の拳は、その動きは全くない


正しい拳の振るいかたではなく、効率よく力を伝達させることもなく、ただ殴っているだけ


いや殴っているという言葉さえ正確ではない


あれはただ握り拳をぶつけているだけだ


ただ拳を地面に叩き付けただけでまるで爆撃でもしたかのような轟音があたりに響いている


あの姿でさえ、全力ではないのか


鏡花は恐ろしくなった


もし陽太が青い炎を顕現したら


そしてもし、その状態を理性ある状態で維持できたら


恐らく陽太は身体能力強化の中で間違いなく最強の部類に入ることができるだろう


怒りを込めた咆哮があたりの木の葉を騒めかせる中、鏡花はその様子を注視していた


あれほどの肉体強化をもってしても、目標は依然として攻撃をかわし続けている


当然だ、理性のない状態ではいかに強い力を持っていても獣と同じ、いなすのは簡単だ


学生であればその力の強さに多少怯みができるかもしれないが、彼は間違いなく熟練の能力者


それなりに死線も越えているだろうし、何より周りへの警戒を怠っていない


陽太がいつまでも突破口を見つけられない反面、相手は陽太への攻略法をほぼ見極めたのか、周囲へ注意を向けることもでき始めている


このままでは陽太が手玉に取られるだけだ、何か手を打たなくては


いい加減陽太の相手も飽きたのか、一瞬距離をとって陽太の上半身に向けて一発、足元に向けて一発赤い球体が射出される


上半身に飛んできた一発は何の問題もなく陽太の腕が打ち払うが、足元の一発は反応しきれずに爆発し、陽太の体が空中高くに持ち上げられる


それと同時に数発の球体が陽太の体めがけ飛翔し、空中でさく裂し強引に陽太の体を遠くへと押しのけていく


あらすじを変えたほうがいいのではというアドバイスを頂いたので変えてみました


けど敢えて言うとすれば、自分はあらすじを書くのが下手です、というか苦手です


人の興味を引くあらすじとかどうやって書けばいいのさ・・・


これからもお楽しみいただければ幸いです

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