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J/53  作者: 池金啓太
一話 「引き出し」
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鏡花

お楽しみいただければ幸いです



日が出ていると洗濯物の乾くのが早いこと早いこと

一方、静希に後を任された明利はというと非常に戸惑っていた


何を話せばいいのか、どう切り出したものかと苦心真っ最中である


「ごめんね幹原さん、せっかく二人を紹介してくれたのに、雰囲気悪くしちゃって」


その様子をさすがに汲み取ったのか、鏡花は食券を購入しながら苦笑していた


学食は始業式だけあってあまり混んでいない、入学式に出席するのは一年と教員と一部の上級生だけだ、すいていて当然と言えるだろう


「き、聞いてもいい?」


「なに?」


勇気を振り絞って発した言葉を高速で返されて明利は戸惑ってしまう、静希たちと話すのとは勝手が違い、何度も話す言葉を選んでしまう


「あ、あの、なんであんなこと・・・いったの?」


あんなこと


その意味を鏡花はほぼ正しく受け止めていた


売り言葉に買い言葉となったあの発言、あれさえなければ仲良くやっていけたかもしれないのにと明利は半分二人をあの場で紹介したことを後悔していた


「あの二人の結果見たでしょ、五十嵐と響の」


「う、うん・・・いつもとだいたい一緒だったけど」


段階に分けた評価は絶対ではないにしろ正直である、相対的に見たその人物の大まかの能力が見て取れるのだから


「五十嵐、あいつは能力が極端に弱いのね、基本能力値と能力応用値だけEとD、それ以外は全部Aだった、ずっと努力してる証拠だわ」


能力を育てていくにあたって個人の努力でどうにかなるのは制御性、操作性、精神力だけである、基本能力値と能力応用値は努力しても必ず限界がある、完全なる才能の世界だ


制御、操作、精神が好評価で他が低評価ということは静希は努力を重ねたが強い能力を保持する才能がなかったということである、それは彼が一生抱えていかなくてはならないものだ


「でも、響のは違う、基本能力値はA、応用能力C、その他はDとEばっかり努力を怠ってる証拠よ」


「そんなこと・・・」


ないと言いかけたが、静希が行っている努力を百とするならば陽太のしている努力は十にも満たないだろう、それだけの努力を静希は続けている


「あの二人って仲いいんでしょ?」


「え?うん、私が知りあう前からずっと仲良しだったみたい」


「だったらなおさらむかつくわね」


一瞬見えた憤怒の色に明利はおびえて箸を床に落としてしまう


鏡花は咳払いして自らの感情を戒めた


「五十嵐がどんなに努力しても持っていないものを響は持っているのにそれを活かそうとしない、宝の持ち腐れにしている、あんなに近くにとても努力をしている人がいるのにそれに気づかずにのほほんとしてる、それがむかついたのよ」


それは同じく才能を持っている者の矜持だろうか、それとも才能に依存している者への叱咤だろうか、どちらにせよあの場では彼女はああいうことが間違っているとは思えなかった


明利の目には恐怖はなく、その言葉をじっと聞いていた


なぜならそれは、わずかながら彼女自身も感じていたことだったからだ


むかつくという一点ではなく、彼女が感じていたのはもったいないという点だった、しっかりと能力を確立できているのに、それを活かせていないことに


「だから発破をかけようと思ったんだけど、予想外に事が発展しちゃったわ」


「あ、あの、だったら今から静希君に言えば中止にも」


「しないわ」


争うことなく事を収められるかと思った明利の提案はあっさり打ち砕かれる


「この際よ、徹底的に叩きのめして自覚させなきゃ」


「あ、あんまり酷くしちゃだめだよ」


「大丈夫よ、手加減した方が効果的だもん、さて、どんな能力なのかな」


「お、教えようか?」


「いい、どんな能力なのか知らない方が面白そう、だいたいイメージできてるけど」


すでに炎を繰り出す発現系統というところまでは会話に出ている、対処法も頭に浮かんでいる


最適化するのは本番になってからだ


鏡花は口をゆがめながらイメージトレーニングにいそしんでいた


早く一話を完結させて二話に行きたいです


投稿するペースが書くペースに追い付かないです



今回もお楽しみいただけたなら幸いです

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