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J/53  作者: 池金啓太
十二話「夢か現かその光景を」

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幽霊部屋の調査開始

「とりあえず、今日はもう出ないだろうけど、三時くらいまで待ってるよ、それで出なければもう寝よう、明日もあるんだ」


「そ、そうだね、そうしようか」


明利を抱いたまま雪奈はナイフを片手に持ち続け警戒を続けている


雪奈は明利ほどに怖いものが苦手ということはないが、さすがに本物を見たことはなかなかのショックだったようだ


そしてしばらくしてからようやく鏡花たちも事態を把握したのか、全員で警戒を強めていたのだがそれ以降まったく幽霊が出る気配はなく、結局三時になっても姿を現さなかったためにその場は解散することになる


静希は自分たちに宛がわれた部屋に戻り、鏡花たちも自分たちの布団に戻り眠っていた


その中で雪奈は明利を抱いたまま寝ていたという


翌日、静希達は居間に集まって対策会議を開いていた


山崎によってふるまわれた朝食を平らげ、頭がしっかりと働くようになったところでとりあえず城島への報告を含めて深夜の状況を全員に報告する


「と、いうことが昨日あったわけだが・・・明利平気か?」


「だ、大丈夫だよ、全然平気」


大丈夫と言ってはいるものの、その表情と顔色は到底大丈夫とは言えないようなものだ


あの時のことを思い出したのかわずかに震えながら静希の服の裾をつかんでいる


「はいはい明ちゃん平気だよ、おばけなんてなーいさ、おばけなんてうーそさ」


明利の頭をなでながら慰める雪奈を見ながら静希はわずかにため息をつく


まさか第一発見者が明利になるとは思わなかった、そうならないように睡眠薬を渡したのだが、それが裏目に出るとは


「とりあえずさ、静希の能力が効くかわからない以上、様子見ってことか?」


「そうなるな、今回は全員での待機も考えるべきかもな・・・特に攻撃とかされなかったし」


あの場でそこまで接近させられながら何もせずに消えたということは、攻撃の意思はないと思っていいのだろうか


一見してそこまでおどろおどろしい外見はしていなかったが、やはり靄のような物体が体を形作るというのはなかなかに不気味である


「今回は私たちの出番はなさそうだけど・・・とりあえず私たちは明利のフォローに回るわ・・・こんな状態じゃあ・・・」


雪奈に慰められ続けている明利を見て鏡花はわずかに気の毒そうに言葉を止める


怖がりなのは聞いていたが、まさか気絶までするとは


完全に予想外だったため、意識を取り戻した後明利を平常時に近づけるのにひどく苦労したのだ


とにかく誰かについていないと怖いようで鏡花や雪奈がひっきりなしに抱き着かれることとなってしまったのだ


雪奈が明利に抱き着くことはあれど、その逆は珍しい


自ら誰かを求めるほどに精神状態が不安定になっているのだ


離れようとするとまるで世界の終わりでも訪れるかのような絶望的な表情をするために、どうしても拒絶できない


普段明利を可愛がっている雪奈もこの反応には苦笑いしていた


雪奈曰く


「前怖がらせちゃったときもここまでじゃなかったなぁ、やっぱ本物見ちゃったから怖かったのかもね」


ということらしい


雪奈自身もショックがあったのだ、臆病である明利のそれは計り知れない


よくお漏らししなかったねと雪奈がからかうのだが、それに反応するだけの余裕もないのか、半泣きのまま静希の服を離そうとしない


これは相当重症だった


「その幽霊ってどんなんだったんだ?明利がそんなにビビるもんなのか?」


「いや、外見は二十代後半くらいの男だったと思うんだけど、ちょっと靄が強くて認識しにくくてな・・・ただどっかで見たことあるような気がするんだよ・・・」


形を作ってはいたもののそれははっきりとはせず、せいぜい輪郭と少しだけ表情がわかる程度


顔も把握できたのだが、全体的にぼやけていたのが印象的だった


「なに?また静希関連での面倒事ってわけ?」


「いや、そうじゃないと思うんだけど・・・」


そうではないと思いたいが、それを立証できるだけの証拠はない


幽霊を見たのは静希と明利と雪奈だけ


この三人が判断するしかないのが痛いところだ


「で、どうする?また今夜まで待つのか?」


場を切り裂く石動の言葉に静希は首を振る


「そんな悠長に待ってられるか、とりあえずはあの部屋を徹底的に調べる、なんかあるかもしれないしな・・・というわけで山崎さん、あの部屋をちょっと捜索したいんですけど構いませんか?」


「えぇ、好きなだけ調べてください・・・ただ部屋にある写真などは壊さないようにしてくださいね」


山崎の協力的な返答に安心しながらとりあえず静希達は先日女子たちが泊まった部屋に移動する


「にしても俺も見たかったぜ、何で呼んでくれなかったんだよ」


「お前俺が戻った時寝てただろうが」


陽太の不満を一蹴して部屋の中に入り、とりあえず幽霊が現れたあたりを徹底的に調査することになった


主に鏡花と明利の出番で静希達は部屋に変わったところが見られないかを確認する程度だったがそれでもやらないよりはましである


引き続き予約投稿


本作品の幽霊はあくまでイメージです


もしかしたら本物はもっとくっきりしているかもしれませんがご容赦ください


これからもお楽しみいただければ幸いです

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