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J/53  作者: 池金啓太
十二話「夢か現かその光景を」

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トイレは道連れ

深夜一時三十分、明利は目を覚ました


雪奈の仕掛けた睡眠薬が切れる時間でもあったため、唐突に意識が途切れたことと、今こうして目覚めたことに若干の混乱を生みながら周囲を見渡す


寝息を立てる鏡花と石動、そして壁に背を預け、横になっている雪奈


先程まで見張りをしていたのだが、何も聞こえない何もない空間での沈黙に耐えられず寝てしまっていた


口からはよだれが垂れて幸せそうに寝息を立てている


そんな中明利はわずかに尿意を感じる


寝る前に飲んだお茶がいけなかった


利尿作用のあるお茶を飲んだせいで非常にトイレに行きたくなってしまっていた


だが明利はここで思い出す


幽霊がこの部屋で出ることを


周囲を軽く見回してみるが特に変わったところはない


静寂の中に流れる雨の音と時折鳴り響く雷の音が不気味さを演出し、すっかり寝てしまっている同級生たちの寝息が明利の耳に届く


そんな中、この暗闇の中で一人トイレに行く


恐ろしくてそんなことできるはずもない


かといって気持ちよさそうに寝ている三人を起こすわけにもいかない


どうするかと悩んだ末に明利は携帯を取り出して電話をかけ始めた


数分後に明利達の部屋の扉が小さくノックされる


ゆっくりと扉を開けるとそこにはライトを持った静希が立っていた


「ご、ごめんね静希君・・・こんなことで呼んじゃって・・・」


「別に構わないけど、見張りは今明利なのか?お前が引き受けるとは思えないんだけど」


てっきり明利以外の三人が見張りをしているものだと思っていた静希は怪訝な顔をしながら部屋の中をのぞき込む


そして一人だけ布団に入っていない雪奈を見て、あぁなるほどと状況をほぼ正しく把握した


「これは後で班長に報告する必要があるな、それはさておき、さっさと済ませよう」


「う、うん・・・本当にごめんね」


静希の服の裾をつかみながら申し訳なさそうに後ろからついてくる明利


怖がりだがまさか深夜にトイレに行きたいから一緒にきてくれなどと言われるとは思わなかった


静希が起きていたからよかったものの、もし寝ていたらどうするつもりだったのだろうか


山崎家のトイレ前に到着し明利が中に入るのだが、なかなか扉を閉めようとしない


紙でもないのだろうかと訝しんでいると、明利はわずかにこちらを見て泣きそうな顔をしている


「あ、あのね?開けてちゃダメかな?」


「・・・いやそれはさすがに・・・ちゃんと待ってるから」


「うぅ・・・絶対だよ?勝手にいなくなっちゃだめだよ?」


怖がりなのは知っていたし、昔からこういう反応をする子だったが、まさか高校生にもなって反応がまったく変わっていないというのはどうなのだろう


渋々と中に入り用を足し始めるのだが、どうやら完全に扉を閉めていないようだった


少しだけ外が見えるように隙間を開けている


「静希君、いる?」


「いるよ」


「ま、待っててね?」


「待ってるよ」


なぜそんなに見たこともないようなものが怖いのか静希には理解できない


もちろん幽霊が不気味であるということは理解できる、見たことがないからこそ、理解できないからこそ怖いという理屈も納得できる


だがここまで怖がるものだろうかと思ってしまうのだ


幽霊なんかよりもずっと身近にいる悪魔などのほうが恐ろしいと思ってしまうのは静希の感性がおかしいだけなのだろうか


「ね、ねえ静希君、何か話してよ」


「何かって・・・何を?」


「なんでもいいから、黙ってると怖いから」


何か話をしたり聞いたりして怖いのを紛らわせたいのだろうか、明利の声は震えてしまっている


本当になんでこんなにも怖いのかがまったく理解できなかった


「えーっと・・・そうだな・・・そういえば風呂場で猥談してたって言ってたけど、具体的に何話してたんだ?」


「そ、そんなの言えるわけないよ!」


「明利、もう夜遅いから静かにな」


つい声を大きくしてしまったことを詫びながら明利は風呂場でのぼせるまで話し込んでいた内容を思い出す


主に男性経験というか、男性との付き合い方のようなものを話していたように思う


途中から何を話していたのか、記憶が確かではないので判断できないが


「じゃあ、さっき俺らの部屋の前に来たけど、なんの用だったんだ?雪姉も一緒だったけど」


「そ、それも内緒、絶対言えないから・・・」


秘密にすることなど不思議ではないが、こうまで頑なに話そうとしない明利も珍しいなと思いながら静希は携帯をいじる


時刻はすでに深夜二時になろうとしていた


引き続き予約投稿


怖い時は本当に怖いんです、怖いものは本当に苦手です


これからもお楽しみいただければ幸いです

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