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J/53  作者: 池金啓太
二話「任務と村とスペードのクイーン」

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作戦実行

土の腕が目標を捉えた瞬間、苦しそうにうめく目標の咆哮により発生した衝撃波で腕は根元から粉々に砕け散る


鏡花の操作から抜けた土の腕は動かなくなり目標への拘束をやめ、強引に抜け出した目標は大きく跳躍する


「くっそ、やっぱ意識を奪わないと無理か・・・」


「二人とも!合図だ!」


熊田の指示が入ると同時に二人は意識を捕獲から作戦へと切り替える


幸い目標は今空中、行動は非常にやりやすい状況にある


「行くわよ!」


「よっしゃこい!」


陽太の立つ地面を高速で隆起させ目標に向けてぶつける


空中で身動きの取れない少女は、なすすべもなかった


「さぁ、お空の旅へご招待だ!」


そこからさらに強化状態の陽太の拳で上空高くへと打ち上げる


木の幹を越えて、風しかないはるか上へ


「上げたぞ!」


「了解!」


即座に変化させた土を元に戻し、今度は地面全体を形状変換していく


周囲の木を押しのけ、上空にいる目標を中心に小規模な広場のような空間を作り出す


そして上空から目標が地面に落下する瞬間、衝撃と暴風が吹き抜ける


どうやら能力で着地の衝撃を殺したようだ


少女が地面に足をつける、その刹那


「昨日の借りを返しに来たぞ」


森から飛び出した雪奈のナイフが目標の腕をわずかに切裂き、そこに手刀を打ちこむ


傷口をえぐるように、その傷の内部に明利の種を植え付ける


まさに一瞬


接近、そこから目標の腕、しかも自分が与えられた傷と寸分違わぬ大きさ深さの傷口を作り、そこに種を埋め込む正確さ


まさに、切裂き魔


悲鳴とも絶叫とも付かない声があたりに響く中雪奈は即座に距離を取り、放たれる衝撃波から身を守った


「作戦完了、間に合ったか」


「遅えぞ静希!」


「これでも走ったんだよ」


「はぁ・・・はぁ・・・怪我はない?」


別行動の三人がそろったことでこの場に六人のチームが出来上がる


「ようやく借りを返せた、悪くない気分だ」


ナイフについた血を舐めとり雪奈が邪笑を浮かべる


腰につけているナイフを一本取り出し、両手にナイフを装備する


静希が出した作戦は非常にシンプル、静希達が合流するまでの時間稼ぎ


ある一定のポイントに目標を誘導し最低限の位置を限定する


そして大きな隙を作るため、そして目標の姿を正確に捕捉するために空中高く打ち上げ詳細な位置を把握、目標の動きを封じるために周囲の木々を移動させ地面に着地させる


タイミングさえ合えばこれだけのシチュエーションであれば雪奈が攻撃を外すことはない


「雪姉、これ以上の傷はまずい」


「ちぇ、これからが楽しいっていうのに」


腕を負傷したためか、人数が増えたからか、周囲に対する警戒の色が強くなり、徐々に全員から距離を取り後退の意志を見せ始めていた


「どうするよ、いったん逃がすか?」


「逃すメリットはない、ここで捕まえる!」


その言葉を聞いて全員が標的に対して接近する


周囲を囲み、逃げられないようにする


視界は今や開けている、森に逃げることはもはやかなわない


「鏡花、相手の能力なんかわかったか?」


「だいたいね、終わったら話すわ」


「気をつけることは?」


「複数同時に接近し過ぎると鎌鼬みたいに切断される」


「単身切りこむか、別の方法で捕らえるか・・・」


なら、とすごんで静希はトランプを大量に空中に展開するそのうちの三枚を等間隔に目標を囲むように展開する


「周りは囲うから上から捕獲できるか!?」

「やってみるわ」


「それじゃあ行ってみようか」


静希が指をならすと三枚のトランプからワイヤー付きのナイフが同時に隣のナイフに向けて射出、そして即座に回収されるワイヤーは続いたままになっておりワイヤーが尽きた途端に射出、そして隣のトランプへと回収される


ワイヤーで作られた三角形


その距離がどんどん狭まり目標の行動範囲を狭めていく


目標が跳躍しようとした瞬間、落とし蓋のように巨大な腕がゆっくりと少女のきゃしゃな体に覆いかぶさろうとする


捕らえたか


全員がそう思った瞬間、腕とトランプが轟音とともに爆散する


岩の破片が周囲に飛び散り、その衝撃とともに目標の小さな体が森に向けて吹き飛ぶ


そして小さな衝撃音が連続する、どうやら高速で移動しているようだ


「まじかよ、あの状態からどうやって・・・」


トランプを手元に回収し、ため息をつく


「ごめん、まさか自爆してでも逃げるとは思わなかったわ」


「あの能力なんだ?衝撃やら、斬撃やら・・・」


全員の空気の緊張が緩んでいる中、鏡花が口を開く


「たぶん、空気を圧縮してるんだと思うわ、弾丸みたいに射出したり、圧縮を解除することで爆弾みたいなものを作ったり、刃みたいにして切裂いたり」


「うっへ、本当にあの子意識ないのかよ・・・」


十歳の女の子が扱えるほどの能力ではない、それがましてや暴走中であるのにも関わらず


静希は感心するしかなかった


「捕獲は何度か試したのか?」


「うん、でも逃げられたわ、切っておとしたり、爆散させたり、たいしたもんだわあの子」


「感心してる場合か、追おうぜ」


陽太の声に全員が反応する


「捕らえるにはやっぱり・・・」


「意識を奪うしかないな」


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