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J/53  作者: 池金啓太
十二話「夢か現かその光景を」

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幽霊対策

廊下に並ぶ三人の生徒、明利、雪奈、石動


城島により言いつけられた罰によって固い床に正座させられながら反省を強いられていた


「ったく・・・お前たちはなぜ少し目を離すと騒ぎ出すんだ・・・」


「まったく申し訳ないです・・・でも今回は珍しい組み合わせですね」


今までも正座で反省させられたことがあるが、明利が反省させられるというのは非常に珍しい


おそらくだが石動もあんな姿になるのは初めてではないかと思う


この時間に騒いでいたバカを粛清したとのことらしいが、なるほど、あの場で最も声を出していたのは雪奈で、ほかに声を出していたのは弁明しようとしていた明利と石動だ


あの対応も、ある意味仕方のないことなのかもわからない


普段城島に迷惑をよくかける静希からすると他人事とは思えないが、少なくとも自分があの姿にならなくて本当に良かったと思う


「ところで、何であんなことになっていた?不純異性交遊なら一応注意しなくてはならんのだが」


あんなこと、とは二人が静希の上に乗っていた件だろう、静希からしてもどうしてああなったと言いたいところであるが、自分の発言のせいであることは自覚していた


「あぁ・・・えぇっと、まぁちょっといろいろあってあの二人に口封じをされそうに・・・」


「口封じとは穏やかじゃないな、石動はともかく幹原までとは珍しい」


城島の言う通り明利があそこまで過剰に反応するというのは珍しい、特に実力行使にまで出たのは数年ぶりではないだろうか


そこまで恥ずかしかったということでもある、いくら体は小さくとも心は乙女ということだろう


悪いことをしたかなと心の中で謝罪しながら静希はのうのうと水を口の中に含む


「ところで先生どこ行ってたんです?風呂ですか?」


「いや、風呂はこの後頂くつもりだ、少し現場を見ていた・・・無駄だったがな」


現場、それは今日明利達女子が寝る部屋でもある


今は何の変哲もないただの和室だが、深夜になると幽霊が出没するということだった


幽霊が出る以上何かあると踏んでいたようだが、城島の反応から判断するに特に何も見つけられなかったようだ


「でも正直なところどうするんですか?もし静希の能力でどうにかできなかったら・・・」


鏡花の言葉に静希も同意しながら耳を傾ける


今回の依頼ははっきり言えば静希の能力頼みでもある


人外に対して効果的な静希の能力だからこそ今まで悪魔や神格に対応できていたものの、幽霊にそれが通じるかどうかは分かったものではない


「まぁ、今回は実習でもないからな、評価対象にはしないでおく、あまり気張らずに対応すればいい」


「いや、そうじゃなくて、もし失敗したとき残った幽霊をどうするのかってことですよ」


もし静希が失敗した場合、ほかの班員にどうにかできるような内容ではない

陽太も鏡花も明利も、そして城島も、おそらく石動も幽霊に対する有効な対応ができるとは思えない


だからこそ静希に重圧がのしかかっているのだが、万が一失敗したら幽霊の対応はだれがやるのだろうか


「それはその筋の人間に託すしかないだろうな、専門家が何人か挑んだとは聞いたが、ほかにも専門家はいる、その中の誰かが何とかできるだろ」


「なんとかって・・・ちょっと無責任じゃないですか?仮にも頼まれてるのに・・・」


鏡花の物言いに城島はため息をつきながら髪を掻き毟る


何を言っているんだこいつはという反応だ


「確かに、一度頼まれたからには何とかしてやりたいというお前の気持ちはわかる、だがな、五十嵐にどうにかできないのであれば我々の力ではどうにもならん、それこそできることなどない、なら諦めるしかないだろうが」


それに今回のことは金も発生していない、それこそただのお手伝いレベルだよと付け加えて城島は先程撮影した写真を注視していた


確かに城島の言う通り、今回は正式な依頼でもなければ、実習でもない


石動から頼まれた、本当にお手伝いレベルの行動なのだ、その内容が少々高度というだけで


だからこそ自分たちが失敗しても何の責任も発生しないし、気にする必要もないのだが、


なんだかもやもやする


鏡花からすれば関わったことは完璧にこなしたいが故に、失敗した場合のプランを考えられないというのが非常にもどかしかった


「静希は?あんたもそう思ってるの?」


城島の話を黙って聞いていた静希は腕を組んで唸り始める


正直失敗したら本当にできることなどないのではないかとも思えるのだが、さすがにあそこまでできた人物に対して、一回程度の失敗で失敗しましたからもうできることはありませんなどと言うことはできる限りしたくない


「実は風呂で邪薙と話して考えたことがいくつかあるんだ、もちろんこれも成功するかわからないけど」


「へぇ、どんな?」


少なくとも人間が考えるよりも同じ人外である邪薙が考えた案のほうが幾分かまともな案が出そうな気はする


特に今回は幽霊などと眉唾な存在なだけにその傾向が顕著である


「まぁ一つは俺の能力で収納して、そのあとの反応で対応を変えるってやつなんだけど、もう二つほど案がある、一つは収納したまま外に出さないで永久封印する」


「・・・それってあんたのトランプの中にずっと入れておくってことよね?そんなことできるの?」


無理じゃないと静希は言ってのけるが、実際はこの方法はできる限りとりたくない


誰が好き好んで幽霊なんかを懐の中に入れておかなくてはならないのか


そのうち呪われるのではないかとさえ思えてくるだけに笑えない


「無理じゃない、無理じゃないけどやりたくない、入れ続けておくこと自体は簡単だけど・・・できるならやりたくない」


「ま、まぁ誰だって幽霊と同居なんていやよね、普通は」


そう、普通は嫌なはずなのだ


それに対してこの家の主たる山崎は平然と暮らしている


一般的な見解を言えばゴキブリがいることを認識しながらもそのまま放置し続けるくらいの神経の強さだろうか


一人暮らしをしている静希からしても、女子である鏡花からしても信じられない精神力をしている


「で、もう一つは?」


「もう一つはこいつらにご足労願う」


静希が取り出した二枚のトランプ


スペードシリーズの悪魔と神格の入っているカードだった


「最終手段になるけど、俺らで何とかできないならこいつらに何とかしてもらうしかないだろ、これが俺の出す案だ・・・何か質問は?」


「すっごい他力本願な最終手段だけど・・・まぁもとより私たちは何もできないしね、何も文句はないわ」


以前のダムの時もそうだったが、内容がピンポイントすぎると班全体でできることが一気に限られてしまうのだ


普段ならそれこそ連携も取れるのだが、それこそやることが限られている分、働くことのできる人材も限られてくる


静希の班が完全に役割分担制であることが原因でもあるのだが、ほかの人員が手持無沙汰になってしまうのがどうにもいただけない


「でもいいの?あいつらって見返りとか求めるんでしょ?またケーキとか?」


「いいや、今回は成功報酬だからまだ決めてない、あいつらも一度見ておかないことには判断できないんだと」


幽霊に詳しい邪薙はともかく、メフィは幽霊をテレビなどの内容でしか知らない


実際に見て自分の手に負えるかどうかを知りえないと、交渉以前に対処できるかも怪しいのである


邪薙から言わせれば長時間変質していない霊は相当強力らしいがそれでも神格や悪魔には劣るらしい


何とかなるだろうといっていたが、その声は微妙に自信なさげだった


「ふぅん、あいつらだったら何とかできると思うけどなぁ」


「なんでも人外としての種類が微妙に違うんだとさ、あいつらから言わせると柿の種とケーキくらい違うらしい」


「・・・何でその二つなのよ」


知らねえよと悪態をつきながら静希はトランプを懐の中にしまいこむ


悪魔や神格の中では例えを食べ物で済ませる流行でもできているのだろう


静希からしたらまったくもって興味のないことだが、そろそろ甘露にも飽きてほしいものである


「だから何としてもまずは一目見ないとな・・・見張りは頼むぞ」


「出る時間までのんびりしてればいいんでしょ?最悪また交代の見張りを立てるわよ」


今回は出る時間が深夜とわかってはいるものの、細かい時間までは把握できていない


出た家の家主自体が把握していないのだ、静希たち自身で確認するしか方法はない


「まぁできるなら全員で起きてくれてたほうがありがたいけど・・・お前らも眠いだろうしな」


今日一日普通の学校生活を終えた後でここにきているためにそれなりに疲れている、早めに就寝したいのにもかかわらず深夜まで起きていなければならないというこの苦行


如何ともしがたいものだと鏡花はため息をつく


「おーい静希、お前が言ってたのってこれか?」


「あぁそれだ、悪いな」


二人で話し込んでいると二人が寝る部屋に行っていた陽太が小瓶を持ってこちらにやってくる


陽太が一度部屋に用があると言っていたのでついでに持ってきてもらうように頼んだのだ


「ん?なにそれ?」

「睡眠薬だよ、一応明利に持たせておこうと思ってな、怖くて寝られないなんてことがないように」


「・・・明利ってどんだけ怖がりなのよ」


静希の睡眠薬はたびたび登場するが、不意打ちでの強制ログアウト以外での正しい使用法をするのはもしかしたらこれが初めてかもわからない


効果は約二時間ほど


そのまま本眠に至ることもあれば、二時間程度で目を覚ます人もいる

疲れている今ならば確実に本眠に至れるだろう


もし恐ろしいものを見てもこれならばきちんと意識を奪えるはずだ


小瓶を受け取ってから数分後、ようやく城島からのお許しが出たのか正座させられていた女子三人、一部足のしびれを訴えている残念姉貴分を引き連れて居間に戻ってくる


個人的にうれしいことがあったので複数まとめて投稿


今回は完全な私情です、本編とは全く関係なく誤字とも全く関係のない複数投稿です、ご容赦ください


これからもお楽しみいただければ幸いです

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