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J/53  作者: 池金啓太
十二話「夢か現かその光景を」

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教師として

「あらあら、藍ちゃんが連れてきた子だからどんな子かと思ったけど、随分と心配症なのね」


「え・・・」


最悪、明利だけでも静希達の部屋に避難させておいた方が良いのではないだろうか、そんなことを考えていた時掛けられた言葉に、静希は一瞬何を言っているのか理解できなくなってしまう


何故今の会話だけで心配症などと言われなくてはならないのだろうか


「大丈夫よ、この家に来る人はみんな心の優しい人、だからその幽霊だって誰かを傷つけるようなことはしないわ」


まるで静希が考えていたことが聞こえているのではないかと思えるほどに、心を見透かされていたのではないかと思うように静希が抱いていた懸念を言い当てた


静希が目を見開いて驚いていると山崎は朗らかに笑って見せる


今まで静希の考えが誰かに読まれたことなどは無い、そういう能力を持っている人物ならまだしも彼女は無能力者のはず、なのに何故わかったのだろうか


不思議そうに石動の方を見ると軽くお手上げのポーズにしてため息をつく


「昔から先生はこういう事ができるんだ、こっちがなにを考えているのか、どう悩んでいるのかを一発で当てられる・・・すごいところでもあるのだが、昔から隠し事ができなくてな・・・」


「あら、私は教師なんだから、そのくらいは当然なのよ」


その言葉に一班の人間が全員城島をみるが、すぐさま彼女のデコピンが飛んでくる


読心は教師の必須技能じゃないなと思いながら全員額を押さえる


今になって再確認する、この人は規格外だ


子供とはいえエルフに教鞭を振るっていた人物、一体どんな人なのかと思っていた


一目見た時は穏やかな顔立ちと性格をしたただの普通の女性と思ったのだが、そんな認識が吹っ飛ぶほどの衝撃だった


長く時間を過ごした幼馴染でさえ分からないような静希の思考を見事に言い当てる


人を観察するなどというレベルではない


会って一時間も経っていない静希の心境を言い当てる


教師をずっとやっていればこんなことができるようになるのだろうか、いや間違いなく無理だろう


これはこの人の才能だ


人を見て、少し会話して、その人の表情を見てなにを考えているのか、何を悩んでいるのかが分かる


なるほど、石動が尊敬する訳だ


台所で料理をする姿などはどこにでもいるような年配の女性だ


どこも変わったところは無い


石動と明利が手伝いに行っているが、彼女達に向ける表情もまったく変わったところはなく、普通のほほ笑みだ


「静、さっきのって本当に言い当てられたの?」


「あぁ・・・正直まだ驚いてる・・・あの人何者だよ・・・」


「静希の考え当てるとか宝くじ当てるより難しいんじゃねえのか?」


幼馴染二人が不思議そうな視線で山崎を見ていると、その視線に気付いたのか彼女は視線をこちらに向けて少し恥ずかしそうにほほ笑む


読心ができる能力というのは別段珍しくは無い、人に同調できる能力者なら六割程度はできる芸当だからだ


だが無能力者で読心ができるというのは非常に珍しい


心理学に精通している人物でも、その人物がなにを考えているかまでは分からないだろう


精々嘘をついているかどうか、そして何回も話を聞いてようやく心の表面に触れられるか程度


なのにあの女性は数回静希と話しただけで静希の懸念を理解した、いや理解しているように静希には聞こえたのだ


「先生はどう思います?あの人」


「ん・・・少なくとも戦いの訓練などはされていないだろうな・・・立ち居振る舞いなどは本当にただの一般市民だ・・・事前に確認もしたが無能力者で間違いない」


「数年の間に能力に目覚めた可能性は?」


「否定はできんが、恐らくは無いだろう、そこまで極度の生活変化があったとも、身内に不幸があったという事も聞いていない・・・」


能力は基本、幼少時の感情の制御が未熟な時期に過度のストレスを受けることで感情が暴発する時に発現しやすい


高齢となって感情の安定する状況下ではまず能力に覚醒することは無い


万が一身内に不幸があり、感情が不安定になっても能力に目覚めるなどある程度の感情の乱れはあるだろうが、今まで高校生以上で能力を新たに発現したという前例はない


だが、と城島はそこで言葉をきって楽しそうに明利と石動と話している山崎に視線を向ける


その目は先ほどの静希達のそれとは違い、何かを見定めるような鋭い瞳だった


「彼女は・・・話す時に随分しっかりと相手の目を見るな・・・そして視線の先に目を向けて、なおかつ人の仕草などもよく見ているようだ」


「仕草、ですか?」


それはいわば人の癖のようなものから、何の意味もなくついやってしまうものまで様々だ


リラックスした状態では無意識にその動作が出ることもあれば、意識的にでも行ってしまう事がある


「でもそれだけで分かりますか?少なくとも俺は分からないんですけど」


思考状態だったとはいえ、敵がいるという認識はあまりしていなかった為に静希は多少のリラックス状態にあった


その癖を読みとったのだとしても、たった一時間程度で分かるものだろうか


「無論それだけとは言わん、だが何かあるのだろうな、彼女なりの誰かの心を透かして見る為の術が、それが教師としての生活で培ったものか、彼女が元より持つものかは分からんが」


城島としても山崎の持つ謎の読心術に驚いているようだった


城島が驚いているのは、彼女がこの班のブレインである静希の思考を読んだことでもある


その読みが正しいかは分からないが、少なくとも静希は読まれたと実感している


静希の考えなど城島でも読めない、数カ月静希の担任をして分かったが、その思考は次々と展開され読むなどという事ができない


次の瞬間に何を言い出すか分からないし、何をしだすか分からない


それが静希の強みでもあるのだが、逆に不安にさせる点でもある


そんな奇想天外な思考を読むなどと能力者でもない限り不可能のはず


だからこそ驚いているのだ


少しして大きめの机にたくさんの料理が運ばれてきた


どうやら事前に今日来る事を知らされていたために準備していたらしい


全体的に和風の食卓に陽太と雪奈は大喜びして料理にくらいついていた


「それでね、藍ちゃんったらすっごくやんちゃで」


「先生、昔の話はその・・・そろそろやめれくれませんか・・・?顔から火が出そうですよ」


全員で食卓を囲み舌鼓を打つ中で、山崎から昔の石動の話を多く聞くことができた


今とは比べ物にならないほど元気、というかいたずら好きでやんちゃで腕白だったようだ、この姿からは全く想像できない


食事中でも仮面を付け、口元だけ外しているような状態でも彼女の髪から覗く耳が赤くなっている事に気付ける、どうやら昔の話はそれなりに恥ずかしいようだった


「何かあれだな、東雲姉妹みたいなんだな、すごい意外だ」


「できるなら聞き流してくれ、やんちゃ盛りだったんだ」


人は変わるとは言うがここまで露骨に変化するのも珍しい、石動からすれば汚点のような感じなのだろうが新たな一面を見ることができたようだった


「これすごいおいしいですね・・・後で作り方教えていただけませんか?」


「えぇもちろん、喜んでくれると嬉しいわね」


食事を取る生徒達を見るその目は孫をみる祖母そのものだ、実際似たようなものなのだろう


自らの教え子とその同級生、年齢的には孫ほどにも歳は離れ、しかも教え子の方は幼少時からよく知っているのだ


幼い子がここまで立派に成長したというのは親のように嬉しいことだろう


「そういえば山崎さんは何時から教師に?もしかして若いころからずっとですか?」


「えぇ、私が二十になる頃からずっと子供相手に教えてきたんです、近くの小学校で教えたこともあったんですよ」


鏡花の質問に何のよどみもなく朗らかに応える山崎、なるほど人生のほとんどを教師としてすごしているのだろう、いや、今も気持ちとしては教師なのだろうと何とはなしに理解していた


「エルフの里に教師として行ったのはいつ頃から?」


「定年退職した次の年ですね、特にやることがなくてのんびりしようと思っていたら突然舞い込んで来まして、それはもうやんちゃな子たちばかりでしたよ」


嬉しそうに話すが、考えても見れば齢六十の無能力者の女性に遊びたい盛り暴れたい盛りのエルフの子供の教師をやらせるなんて相当無茶だ


一体誰がそんなことを持ちかけたのか気にはなる、そしてどうやったら無事にこなせるのかが一番気になるところだった


「でもどういう経緯でエルフの村で?」


「主人の友人にエルフの方がいたんです、そのつてで」


主人の友人


どういった関係なのかは知らなかったが、無能力者に教師をやらせるあたりとんでもないことを考える人だ


「山崎さん、後学の為に聞いておきたいのですが、その・・・能力者相手の指導をどのように行っていたのですか?」


城島の言葉はまさに教師としての質問だ、どうすれば無能力者がここまで生徒から信頼を受けられるのかが知りたいようだった


城島は静希達からある意味信頼されているが、それは実力あってのことだ、性格というか人格的に全幅の信頼を置かれているという訳ではない


「特に変わったことはしていませんよ、無能力者でも能力者でも、結局は子供、良いことをしたら褒めて、悪いことをしたら叱る、そして命の大切さや儚さ、そういった物を丁寧に教えてあげるだけです」


そう言われると本当に何も変わったところは無い


能力者とか関係なしに子供に必要な教育そのものだ


何の変化もなく、特に気をつけることもない


ただやることは、いい事をしたら褒める、悪いことをしたら叱る、それだけ


「城島さんは今、能力者の学校で教師をしているんですよね?」


「はい、私はもともと軍にいた人間です、教師として自分に足りないものがあるのは自覚していますが、貴女が能力者相手にここまで信頼されていることに、少し驚いています」


教師としての顔を生徒以外に見せる城島というのは非常に珍しい


今日はやたらと普段見れない一面が見れる日だなと感慨深くなりながら静希は味噌汁を口の中に含む


「さっきも言いましたけど、特別な事は本当に何もしていないんです、子供は子供、些細なことで悩むし、怒るし、悲しむ、無能力者と何も変わらないんですよ」


その言葉を聞いて城島は目を見開いていた


長い前髪に隠れていてもわかるほどに見開かれた瞳と、山崎の言葉を聞いて静希は理解する


いや、その場にいた能力者全員が理解した


この人がなぜこんなにも信頼を得られるのか


能力者は幼いころから自らの危険性について教えられる


どれだけ自分が危ないか、どれだけ物騒なものか、それらを教えたうえで制御を学ぶ


万が一が起きないように徹底的に制御法を学び、それらを正しく扱えるだけの知識と身体能力も身に着けなければならない


言わば、幼いころから普通に扱われないのだ


無能力者のように、校庭を駆けまわって友人と遊び、転んだだけで泣くような普通の生活


それは能力者とはほとんど無縁のものだ


能力者を普通の子として扱ってくれる、だからこそこの山崎という人物は、エルフの中でも、そして恐らく能力者の中に入っても、絶対の信頼を得られるだろう


それが、能力者が一番求める事柄であるが故に


「・・・貴女のような方が、我々の教師であればよかったのですが」


「そう言っていただけると嬉しいわ、教師として最高の褒め言葉だもの」


城島の恐らく心からの賛辞に山崎は少しだけ照れながらほほ笑む


彼女は今も教師のつもりなのだ


いや、おそらく彼女は一生教師であることを貫くだろう


まだ会って間もない静希から見ても、そうであってほしいと思えるほどに、彼女は子供にとって必要な教師であると理解できた


食事を終え、数人が洗いものをしている中、静希や鏡花、城島は今回ここに来ることにもなった本題の話を始めることにする


「とりあえずもう一度確認しますけど、幽霊を見かけてから今まで、何か物が壊れるとかそういうことは無かったんですよね?」


「えぇ、まったく、音もしませんでしたから全然気付かなかったんですよ」


音などがしないということは少なくとも物理現象に干渉するような能力は持ち合わせてはいないのだろうか


幽霊の持つ力などに関してはなにも知らないと言っても過言ではないために静希だけでは判断できない


「話を聞く限り、息子さん夫婦が見つけるよりずっと前からいた可能性もあるのよね・・・そう考えると・・・」


どうなのよと鏡花の視線が静希に向けられる


人外関係のほとんどを静希任せにされるのもどうかと思うのだが、実際この班で一番人外に詳しいのは静希だ、この反応も仕方のないことかもわからない


鏡花の言う通り、発見したのが一か月前というだけでそれよりもっと昔からいた可能性だってある


そう考えると実はかなりまずい状況なのではないかとさえ思えるのだが


『どうなんだ?もし仮に何年も前からいたとして、変質しない霊ってのはあり得るのか?』


トランプ内の邪薙に話しかけると、神様邪薙は随分悩んでいるようだった


『変質しない霊・・・というのは前例がないわけではない・・・よほど強い念で固執するものがあるか、または他に何か特別な物があるのか』


邪薙自身どうやら今回の事象を測りかねているようだ


一カ月というのであればまだ変質していない可能性だってあったが、それ以上の期間存在していたと仮定すると変質しない方がおかしいレベルなのだろう


だがどんなものにでも例外はある


今回のことがその例外に当てはまるのか、それともただ単に静希達が事実を誤認しているのか


どちらにしろその幽霊に実際に対峙してみないことにはどうしようもない


「参考までに聞きたいんですけど、あの部屋以外で幽霊が出た事ってあるんですか?」


「息子達の話だとあそこだけのようです、見たことがないからなんとも言えないんですけど」


ごめんなさいねと申し訳なさそうに謝るのだが、生活環境的に深夜にわざわざ監視する程度のものでもないのだろう


だが仮にも幽霊が家の中にいるのに、普通の生活ができるというのはすごい神経の太さだ


「じゃあ、あの部屋で何か変な事が起こったりとかありました?例えば・・・声がするとか、定番じゃないですか」


「声とかも特には・・・普段から静かですから何か声がすればすぐ聞こえますし」


耳が遠くなっているという事もないし、山崎の言う通りこの家、というかこの辺りは非常に静かだ


今は田んぼなどにいるカエルが大合唱しているが、それでも騒音レベルではない


声もしない、音も出さない、物も壊さない、だけどいる


何と言うか実害がないせいでそこまで深刻になる必要はないのではないかとさえ思える幽霊だ


「とりあえず、鏡花達の部屋である程度警戒はしててくれ、もし何かあれば大声出してくれればすぐそっち行くから」


「はいはい、でも普通見張りとかって男子の仕事じゃないの?」


「先生が総戦力的に判断したんだ、仕方ないだろ」


静希からすれば願ったりかなったりだが、唯一気になることがあるとすれば明利だ


もし幽霊なんて見た日には本当に失禁してしまうかもしれない


静希達だけならまだしも、今は城島や石動もいる


もしそんなことがばれたら数日間ふさぎこんでしまうかもしれない


「一応明利の事頼むぞ、雪姉だけじゃフォローできないかもしれないからな」


「はいはい、でもあんまり期待しないでよね」


明利の事を少しずつ理解してきたとはいえ、やはり付き合いの長さには代えられない


ある程度信頼されてきているのはわかるのだが、雪奈ほどではないのだ


一線を引かれているという程ではないが、やはり幼いころから一緒にいるというのは非常に大きなポイントなのだろう


「そういえば女の子達はあっちの部屋で寝泊まりするのはいいけど、お風呂は大丈夫?男女で分かれたりしてないんだけど」


「えぇ、時間をずらすので問題ありません、一人三十分程度あれば十分だろう?」


「まぁ俺らはそんなもんですけど、女子はもう少しかからないか?」


「というか、どのくらいの大きさですか?もしそれなりだったら二人ずつとかにしちゃいますけど」


鏡花の言葉に山崎は少し悩んで三人を風呂場に案内する


それほど劇的に広いという訳ではないが、少なくとも二人くらいならば余裕で入れる程度には大きい風呂場だった


「さて、なら男子二人と女子四人、それぞれ時間を決めて入浴させてもらえ、山崎さんはお先にどうぞ、我々は後ほどいただきますので」


「そうですか?じゃあそうさせてもらいますね」


お手伝いまでしてくれてるのにありがとうねと皿洗いを終えた明利の頭を撫でてから山崎は入浴の準備を始めていた


「という訳で、女子集合!お風呂のチーム分けをするぞ!」


雪奈を中心に集まった女子たちがどのように分けられるか話しあうのだが、どうにも石動の動きが少しだけおかしい


鏡花と雪奈をちらちら見ながらため息をついているように見える


「どうやってわける?じゃんけんでもする?」


「あ・・・できるならその・・・幹原と同じにしてはもらえないだろうか」


石動の言葉に鏡花と雪奈は眉をひそめた


自分から相方を選ぶような性格には見えなかった為に非常に意外だったからである


「わ、私は別に誰でも大丈夫だけど」


「ダメだよ!明ちゃんは私のものさ!」


「・・・やっぱり雪奈さんとはいやかも」


「何で!?」


今までの付き合いから風呂に一緒に入ればいじられまくるということを学習しているのか、明利はじっとりとした目を雪奈に向けている


普段ならば好意的な視線を向けることはあっても、こういう場では嫌悪にも似た視線を向けることになる


「私は別に雪奈さんでもいいけど、石動さんはなんで明利がいいの?」


「そ・・・それは・・・」


石動は視線を明利の胸部に向け、その後に鏡花と雪奈の胸部に注目し、その後しゃべらなくなってしまう


「はっ!まさか・・・そっち趣味なのかい?ダメだよ!明ちゃんは健全なんだから!完全なノーマルなんだから!」


「ち、違う!そういう意味じゃなくて」


雪奈の言葉を否定しながらも自分と彼女の胸を比較して視線をそらす石動


そのやり取りを見て鏡花はあぁなるほどと自分達の胸部を見比べる


鏡花と雪奈は高校生にしては発育がよく、それなりに胸に脂肪が付いている


だが明利はその成長のなさからまったくと言っていいほどに胸がない


そして石動も身長の割になかなかスレンダーな体つきをしている


恐らくは自分の胸と比較するのが辛いのだろう、エルフといえど一人の女子ということだ


「はいはい、雪奈さん、明利のことは石動さんに任せておきましょう」


「なにを言うんだい鏡花ちゃん!明ちゃんがそっちに目覚めちゃったらどうするのさ!」


「そんなことありえませんから・・・たぶん」


絶対とは言えないあたり悲しいが、まず間違いなく明利が同性愛などに目覚めることは無いだろう


片思いかどうかはさておいて、とりあえず明利は静希に好意を抱いているのだ、まずないだろうが、万が一という事を考えると完全な否定はできない


無論石動がそっちの趣味ではないため確実に大丈夫だとは思うが


「そういえば石動さんはお風呂に入る時仮面はどうするの?一人の方が良ければそっちでもいいよ?」


「いや、問題ない、顔を洗う時だけ見ないように気をつけてくれれば大丈夫だ」


流石に仮面を取るのは一瞬なのだろう、長年エルフとして生きてきただけはある


明利もそれを了承したらしく、結局二つのグループが決定しようとしていた


「決まったか?男子と女子どっち先にする?俺ら後の方がいいか?」


話がまとまりつつある中、陽太が声を上げると鏡花が首だけこちらに向けて反応する


「あら、今回は随分と紳士ね、前は後にしようかなんて聞かなかったのに」


「ん、まぁ今回は石動もいるしな、流石にいつもの俺らのノリにつきあわせるのもあれだし」


流石にいつものような軽い流れで決めて不快な思いをさせるわけにもいかない


多少気を使ったつもりなのだが、鏡花の眉が傾く


「石動さんには気を使って私には気を使わない理由は何かしら?」


「まぁ・・・鏡花だし」


「・・・それは侮辱と受け取ってもいいのかしら?バカ陽太」


この扱いの理由として最初から気を使う必要がなかったというか、一時的にとはいえ対峙したことがあるために気を使うという考えがなかったことに由来する


気を使っていたらほぼ初対面の女子相手にナイフを刺すなんてことはまずしないし、思い切り殴りにいったりもしない


「まぁまぁ、落ち付けって、で?どうする?俺らはどっちでも大丈夫だけど」


「どうせなら先に入っちゃわない?流石に汗かいたから早くさっぱりしたいよ」


ワイシャツの首元を少し引っ張りながら雪奈はシャツの中に空気を入れようとする


確かに今日は暑い上に湿度が高いせいでやたらと汗を掻いた


女子からしたら一刻も早く汗を洗い流したいだろう


「そんじゃ俺らは時間潰してるから先入ってろ、考えることもいくつかできたしな」


「はいはい、それじゃ準備しておきますか」


山崎が湯船からあがる前にさっさと準備をして時間の無駄なく入浴を済ませたいところである


今後のことも決めなければならないし、何より服が汗で吸いつくこの不快感をすぐにでも取り払いたいが故である


誤字報告が十五件たまったのでまとめて投稿


まさか四回分まとめて投稿する羽目になるとは思いませんでした


怒涛の誤字ラッシュ、なんとかここで止めたいところです


これからもお楽しみいただければ幸いです

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