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J/53  作者: 池金啓太
十二話「夢か現かその光景を」

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写真と頼み

途中のコンビニで軽く食料を買い込んでたどり着いたのはごく普通のマンションだった


学校などが指定して生徒が安く住めるようにしている物件でもある


石動の実家は遠いために一人暮らしをしているのは以前聞いていたが、普通のマンションであることに少し安堵し、少しがっかりもしていた


「何かあれね、エルフの村に行った時もそうだけどさ、案外普通の家よね」


「当然だろう、わざわざ奇妙な家に住んだところで景観以外の得があるとも思えん、住みやすいのが一番だ」


石動の言うことはもっともなのだが、鏡花の言いたいことも理解できる


エルフという種族、というか人種というイメージが先行しているせいで突拍子もない内装や、少しファンタジー色の濃い部屋を想像していたのだ


だが想像を裏切るかのように普通の部屋だ、よく整理整頓され無駄な物があまりない


本棚に入れられている小説とその近くにあるパソコン、そして音楽再生用のプレイヤーくらいのものだ


「適当なところにかけていてくれ、今茶を用意する」


キッチンに向かう石動を見送って静希達は言われたとおりに適当にそのあたりに座る


「あ、これ新刊じゃない、もう出てたんだ」


「お前・・・人んちの本棚勝手にあさるなよ・・・」


「失礼ね、どんなのがあるか見ただけよ」


なんとも自然体な二人をよそに明利はそわそわしながら周囲をしきりに観察している


それは静希も同じだった


なにか違和感がある


普通の部屋で、変なところは見受けられない、置いてある物も、飾ってある物も全て市販されているような物ばかり


なのに、静希と明利の感覚は何かがおかしい事を告げていた


「やはり反応が分かれるな・・・そっちの班では五十嵐と幹原か」


人数分の紅茶の入ったコップを持って戻ってきた石動は、少し笑いながらテーブルの上に紅茶を置いていく


「反応って、やっぱここ何かあるのか?」


「ん・・・何かある、というのは少し語弊があるな、外と何も変わらないが、少しだけ条件が違う」


石動は壁にかけられている室温計を指さす


それは室温、湿度、魔素濃度、気圧などをいっぺんに表示できる計器だった


室温も湿度も気圧も変わったところは無い、だが魔素濃度のみ、百%に近い状態が常に維持されていた


「なんだこれ、魔素濃度がやたら高いな」


「あぁ、この部屋の魔素は常に一定の濃度を保っている、能力で魔素を多量に使う者は気付かないんだが、少量しか使わない者はよく気付く、お前達の場合五十嵐と幹原がそうらしいな」


確かに静希と明利は能力使用時の魔素は比較的少なく、逆に陽太と鏡花は多い


多量に使う者は自覚できなくて少量しか使わない者は知覚できる、普段使う魔素の量に関係しているのだろうか


「それにしても、これって何の意味があるの?」


「私自身に意味は無い、だが私の精霊が魔素濃度が高いほど機嫌が良いのでそうしているだけだ、特に実害もないしな」


その言葉にあぁなるほどと静希は呟く


そういえば忘れていたのだが、石動も人外を引き連れているのだった


普段知覚できないためにどうしても意識できないが、今も石動の近くには精霊がいるのだろう


一体どうやって魔素濃度を調整しているのか、恐らくはその精霊の力なのだろうが、人外に振り回されるのはエルフも人間も同じようだった


もっとも、静希の傍にいる人外の方が幾分か性質が悪いが


「さて、それじゃ本題に入ってくれるか?俺らに何を頼みたいんだ?」


「ん・・・そうだな・・・まずはこれを見てくれ」


石動は棚の中にあるファイルの中から一枚の写真をとりだした


その中にはどこかの和室が写っている


木でできた天井や棚、そして畳に障子、絵にかいたような和室だ


だが一つだけおかしい点がある

木でできた棚、というかタンスの近く、そのあたりに白い靄のようなものが見える


「・・・ねえこれって」


「もしかしなくても心霊写真か?」


鏡花と陽太の言葉に明利はなにも言わずに静希の服の裾を掴む


怖いのなら見なければいいのにと思いながら静希はその靄を注意深く観察する


良く見ると目のような物も写り込んでいるように見える


男性か女性か、いや、人間かどうかも判断できないが得体のしれない何かであることは確かだ


「この心霊写真がどうした?お祓いなら寺とかに持っていった方が早いと思うぞ?」


「いや、この写真が本題ではないんだ・・・」


石動はもう一枚写真を取り出してテーブルの上に置く


そこには白髪の高齢の女性が写っている


顔には皺が多くあるのにもかかわらず、その表情は凛としており、僅かに微笑んでいるのが分かる、その笑みからは気品にも似た何かを感じ取ることができた


背景には和風の一軒家、建築されてから多少時間が経っているのだろう、多少門柱などが傷んでいる


さて、明日一周年ということで、やることをあらかじめ報告しておこうと思います


明日複数まとめて投稿を併用し、五回に分けて合計十回分投稿しようと思います


ついでにお祝い投稿がプラスされるので投稿数はさらに加速すると思います


多少時間がかかるかもしれませんがお付き合いいただければ幸いです

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