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J/53  作者: 池金啓太
二話「任務と村とスペードのクイーン」

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戦闘開始

「目標を発見した!?」


陽太達が目標を見つけてすぐに無線で熊田から連絡が入る


『あぁ、場所は洞窟から北東部に少し行ったところだ、これからとりあえず幹原の種だけでも目標にとりつけようと思うんだが・・・』


目標に対して接近戦を行えるのは陽太のみ、だが陽太が戦闘態勢になれば種は簡単に燃え尽きるだろう


「明利、陽太達の場所まで案内してくれ」


「わかった」


明利の種を発信源に一直線に現場に向かうが間に合うかは分からない


相手の能力も厳密に理解できていない状況でコンビネーションが完全ではない三人がうまく発信機代わりの種を取り付けられるとは考えにくい


「先輩、陽太と鏡花に伝えてほしいことが」


全力で走りながら無線に話しかける静希はすでに準備に取り掛かっていた


『構わない、なんと伝える?』


無線に向けて話しかける熊田は、常に索敵をかけ、相手の位置を確認し続けている


陽太と鏡花もすぐに戦闘に入れるようにしていた


静希からの指示を聞き終え、熊田は二人にそれを伝える


「ったく、自然破壊って言葉知らないのかしらあいつは」


「でもやるっきゃないだろ、この状況じゃ!」


全身を炎で包み、炎の鬼の姿に身体を変化させ完全な臨戦態勢


「んじゃいくか、熊田先輩合図頼んますよ!」


陽太は炎をみなぎらせて目標に向けて弾丸のごとく突進する


鏡花と熊田もその後に続く


明るいからこそよく見える、少女は土汚れにまみれた衣服を身にまとってはいるものの、その風貌は野生児そのものだ


木をかわしながら真直ぐに、だが接敵しその全貌を捉えた時には、目の前の目標である少女はすでに攻撃態勢に入っていた


姿勢を低く、力をためた能力発動の際の癖


木を蹴り、空中で軌道を変えるが少女の視線は迷いなく陽太だけを追っていた


無理もない、目の前に存在する陽太の姿はまさに鬼、自分に襲いかかる者は倒すか逃げるしか生き残れない、その相手から目を離すことは死に匹敵する隙を生む


理性を失い、人としての感情を失っている少女は、野獣となることでそれを本能で理解しているのだ

咆哮が襲いかかる瞬間、陽太は両腕で身体をかばおうと盾を作るが、瞬きするほどの間に眼前に土の壁が形成され衝撃から陽太を守って見せた


土の壁は衝撃で簡単に砕けたが、陽太は無傷、タイミングも完璧だった


それが視線の先、木の影にいる鏡花の能力だと即座に理解した陽太は目標に向けて襲いかかる


少女は素早く短く力をためてわずかな衝撃とともに跳躍する


「させないっての!」


跳躍した先に土でできた腕を作り出し、少女を地面にはたき落とす


地面に着地する瞬間、跳躍時と同じ衝撃と風が発生し、少女は無傷で再度威嚇を繰り返す


「陽太!時間あんまりないんだからね!わかってる!?」


「わかってんよ!」


陽太は炎を大きくしていき少女に向けて咆哮する


腕を大きく広げての威嚇行動


炎により視覚的に、そして咆哮による音を使っての聴覚的な威嚇


少女に理性がなく、ただの獣として行動しているのでなければ通じない策


静希が講じたのはそういう策だった


突然威嚇を放った陽太に、少女は驚いたのかそれとも危険を感じたのかゆっくりと距離を取り始める


もちろんその距離を同じ速度で動くことで埋めていく


急激に少女が動けばその分陽太が先回りして、そして陽太の駆動範囲外に出たなら鏡花が壁を作り出して


そうやって少女をどんどん誘導していく


少女が全力で走ったところでそこはやはり幼い女の子だ


身体能力強化のかかっている陽太を振り切ることなんてできやしない


能力を使っての跳躍は鏡花がたちまちはたき落とす、仮に鏡花の攻撃を避けたとしても陽太の視界から抜け出すことはできない


こうなれば陽太がプレッシャーをかければおのずと少女は陽太達の思うままに動いてくれる


少女が能力を発動した刹那、陽太は横っ跳びで回避行動をとる


すでに陽太は彼女の能力をほぼ完全に見切っているようだ


攻撃を行う際は常に少女を中心に円軌道を描き回避、そして接近を繰り返す


少女がもし妙な方向に移動しようものなら鏡花が土を隆起させて牽制


なるほどと鏡花は理解する


静希の言っていた陽太のプレッシャーとは凄まじいものだ


かなり高速で移動できるうえにその攻撃力も半端ではなく高い


物理的な殴る蹴る、爪を使った切裂くなどに加えて炎による追加効果


陽太の攻撃力を知っていればいるほどに効果を増す


そして今回の相手は理性を失い野生化している


動物は本能的に炎を恐れる、そして自分より大きなものを恐れる


能力を保持しているとはいえできるならば対峙したくない相手だろう


陽太がプレッシャーをかけ、鏡花がさりげなく誘導する


確かに能力の相性はいいと渋々ながらに鏡花は納得した


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