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J/53  作者: 池金啓太
十一話「舞い込む誰かと連れ込む誰か」

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護衛の苦労

昼食を買い、トランクに入れてあった冷蔵ボックスの中に昼食を入れ各自駐車場で待機していると時間より少し早く二台の護衛車両に挟まれた少し大きめの車がやってくる


どうやら道がすいていたというのもあるのだろう、想定していたよりもはやく到着することができたようだった


全員で仮面を装着しその場に到着した護送車と護衛車両二台を整列して迎える


護衛車両から出てきた数人をこちらの数人は敬礼を、静希達は姿勢を正すことで迎える


「第一陣搬送、中間地点までの工程を終了しました!引き継ぎ願います!」


「了解しました!これより中間地点から目標地点までの搬送を行います!」


事務的なものだろうか、それとも決まりだろうか、敬礼の後に声を上げる二人、そして全員が数秒停止した後に車に乗り込み始める


静希達もそれに続き全員が車両に乗ったことを確認するとここまで送り届けてきた護衛車両は元来た道を戻っていき、一号車は護送車の前に、二号車は護送車の後ろについていく形で走行を開始する


先ほどまでの少し温い空気を一新し静希達は集中を高めていた


『こちら一号車鏡花、静希、陽太、聞こえてる?』


無線の向こうから聞こえる凛とした声に鏡花も気を引き締めているということが分かり僅かに苦笑する


多少の経験から空気の変え方というものが身についてきたのだろう、これも経験のたまものだろうか


「あぁ、聞こえてるよ、明利、そっちはどうだ?」


『今のところ問題なしだよ、索敵範囲にもこれといって異常は見られない、対向車が何台かいるくらいかな』


流石に土日という事もあってこの山を通過する一般人も幾らかいるようだ

なにが起こるか分からない以上警戒するに越したことはない


「わかった、対向車両が来るタイミングを大まかでいいから教えてくれ、そのタイミングで警戒を強めよう、きついだろうけど頼むぞ」


『了解、任せて』


車に酔いやすい明利に長時間の能力の使用と乗車の併用は正直かなりの負担だ


風景を見ている、いや同調で風景を感じ取っている状態であれば集中が続く限りは車に酔っている事を自覚することもないだろうがそう長くは続かない


明利が集中を切らすこともあるだろう、もしかしたら車酔いで途中でリタイアすることだってありうる


その場合は静希達が全力でカバーしなくてはならない


不安要素が多いのに自分達にできることが圧倒的に少ない


もどかしい


恐らく鏡花もそして陽太も同じような感覚を抱いているのだろう


この班は基本的に各員のできることが明確に決まってしまっている


それ故に一人でもかけると班のできる行動が一気に狭まる


これから何とかしなくてはいけない点でもあり改善するべき場所でもあると言えるだろう


『間もなく対向車が通過します、あと三十秒ほど』


「了解、警戒に入る」


明利の声が聞こえると同時に陽太と視線を合わせて頷く


陽太は対向車線側に位置し、窓から外を注視していた


対して静希は後続車両がないかを注視し続けている


明利の連絡通り約三十秒後に訪れた車は何の問題もなく静希達の護衛する車の横を通過していく


全員が安堵のため息を漏らす中静希達の護衛は続いた


なるほど、今までの討伐や探索といった自分達が移動して行う実習とは全く違う神経の使い方だ


今までは能動的に行動を選択できたが今回は完全な受け身に回ってしまう


つまり、どんなに警戒していても後手に回ってしまうのだ


覚悟はしていたし、予想もできている、明利の索敵で危険の可能性があればある程度は予測も可能だ


だがそれはあくまで予測、実際に危険がやってくるのは突然なのだ


それが分からないために集中が必要となる、それも明利は長い間、静希達は明利の警告があってすぐ


集中が続くかは分からないがこまめに息抜きが必要なのは確定的に明らかだろう


そして特にこれといった問題もなく時間は経過し、場所は山道から町へと変わる


ここに来てしまえばあと少しだが今度は全員が警戒に当たる必要がある


明利の索敵の範囲外となる場所では全員が町の様子や人に注意を向けなくてはならない


特に曲がり角や町の路地などに通じているところは要注意だった


そして集中を持続すること数十分、静希達は第一陣の搬送を終了、目的地の留置所にたどり着いていた


車から降り搬送者達が中に入るのを確認すると全員が大きくため息をつく


「うっへ・・・これがあと何回あるんだよ・・・」


「身体は全然だけどすっごい疲れたわね、明利大丈夫?」


「うん、酔い止めも飲んだし、まだ全然平気」


明利の顔色はさほど悪くない、今回は索敵に集中していたためにそれほど深刻な症状は負っていないようだった


「あとはこの護送車を休憩所まで戻す作業、そんでまた休憩所からここまで護衛か」


こういう時に転移系統の能力者がいれば楽なのだがなと落胆しながらも静希は首を横に振る


ない物ねだりをしている場合ではない、今ここにいるのは自分達だけなのだから、自分たちでできることをしなければ


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