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J/53  作者: 池金啓太
十一話「舞い込む誰かと連れ込む誰か」

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剣の位置

「なんだ?具合悪いのか?菓子なんて買ってる場合じゃないんじゃねえの?」


「そういうんじゃないから安心しなさい、もっと別よ」


鏡花の言い分にふぅんと陽太は興味なさそうに寝転がる


時間はそろそろ十八時を回り夕食の時間が近づいてきた


もう今更菓子類を食べるような気分にはなれなかった


もやもやした気分は誰かと話して発散した方がいいということなのだろうか


鏡花からすればあまり実りのある会話とは言えなかったが先ほどまでの苛立ちはなくなっていた


「では証人幹原明利・・・証言を、被告人清水鏡花となにを話していましたか?」


「え?えっと・・・その」


「故郷でおふくろさんが泣いてるぜ?このポテチでも食って楽になっちまいな」


「裁判所なのか取り調べなのかはっきりしなさいよバカ共、明利!喋っちゃだめだからね!」


奇妙な取り調べが始まる前に明利を確保し何とかこれ以上追及されるのを避けるべく距離をとると静希達もそれ以上追及するつもりはなかったようで冗談交じりに舌打ちして軽く部屋の片づけをし始める


食事が運ばれてくるというのに私物やら武器やらが置いてあったら流石にまずい


特に静希の所持している拳銃はまずい


一応許可やらは持っているがいちいち警察沙汰になりでもしたら面倒だ


静希達が荷物を整理していると彼の荷物の中に鏡花の作った鞘があるのを見つける


「なによ静希、あんた鞘持ってきたの?」


「あ?いやだってせっかくだし、明日以降はずっとつけてようと思うんだけど」


せっかく作ってもらった鞘を使わずにおいておくことはない


特にせっかくの校外実習だ、こういう機会でもなければ鞘など使うことはないだろう


「でもさ、西洋剣の鞘って腰に着けるもんなのか?ふつう背中に着けるもんじゃねえの?」


陽太の何気ない言葉に静希と鏡花は僅かに唸る


確かに日本刀であれば腰に据えるのはよく想像がつくのだが西洋剣となると腰か背中か意見が分かれそうだ


特にオルビアはそれなりに刀身の長い形状をしている


「いや・・・でもオルビアは腰に鞘をしてたぞ?」


「でも雪さんは大剣は背負ってたじゃん」


そう言われるとどちらが正しいのか判断に迷う


物によっては確かに背負う事もあるだろう、作法的にどちらが正しいのかといわれると疑問に思ってしまう


「むむ・・・西洋剣の携え方か・・・何か作法があるのかもしれないけど・・・流石にそこまでは知らなかったわね・・・ミスったかしら」


「・・・それってオルビアさんに聞くのが一番手っ取り早いんじゃないかな?」


三人が悩む中明利から出る革新的な意見に全員がそれだと叫ぶ


即座に静希はトランプの中からオルビアを取り出し身体を顕現させる


西洋剣が戦闘の主流にあった時代を生き抜いた生粋の騎士、彼女ならば正しい答えを教えてくれるはず


「という訳だオルビア、剣の持ち方について正しい作法を教えてくれ」


トランプの中から先ほどまでの会話は聞いていただろう、なにに対して聞かれているのかもしっかりと把握しているであろうオルビア


彼女は普段からは考えられない程複雑そうな顔をしていた


何と答えたものか分からずに非常に迷っているようにも見える


「申し訳ありません皆様・・・剣の携え方に関して私の知る限り特殊な作法などはないのです」


オルビアの答えに全員がなんということだろうと驚きの顔をする


今まで漫画やゲームや雪奈などでしか剣を携えるという事象を目にしてこなかった為にこういったことに対しては最高の意見者だと思っていたのだが、どうやら当てが外れてしまったようだ


「私が人として生きていた頃には多くの武人がおりました、騎士、傭兵、野盗など、多くの者が剣を携えておりましたが特に作法や決まりなどは無かったのです、騎士の中にも大きな剣を振るう者や私のような剣を持つ者もおりました、ですので剣の種類によって持ち方を変えるという方が正しいかもしれません」


オルビアの言葉に全員がなるほどとうなずく


さりげなくとても歴史的に重要な発言があったような気もしたがこの場では流すことにしよう


とりあえずベルトに鞘をとりつけてオルビアをしまってみる


剣その物に重さがないために軽く感じるがそれでも鞘の重さは結構ある


全て鉄でできているだけはある、これで軽かったらそれはそれで不安になるのだが


「これなら後ろの方に持っててもいいんじゃないか?こう逆手で引き抜く感じでさ」


「バカね、それじゃいざって時反応しにくいでしょ、やっぱ左の腰でしょ」


「刀とかは全部左だよね、あ・・・でも西洋剣ってどうなんだろ?」


静希を囲んで鞘の位置を調整しながらああでもないこうでもないと言いあっていると突然部屋の扉が開く


「お前達そろそろ食事だ・・・部屋の片づけは・・・」


ノックもなしに入ってきた城島は鞘を装着してやいのやいのと話し合っている光景を見て目を丸くする


なにをやっているのだろうかと心底思った城島はとりあえず全員の頭にチョップを喰らわせることにした


とりあえず自分が書いた絵を活動報告に載せてみました


上手くはありませんので自分の中のイメージを崩したくないという方は見ないことをお勧めします


これからもお楽しみいただければ幸いです

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