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J/53  作者: 池金啓太
二話「任務と村とスペードのクイーン」

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入浴(女子)

そんな話をしている時、女子たちはというと


「ふぅ・・・いい湯加減ね」


「あぁ、運動した後だとなおさらだ」


「・・・」


三人は身体を洗い終え、檜でできた大きな湯船に身体を預けていた


その中で明利だけがやたらと周囲を気にしている


いや周囲というよりは同じ湯船につかっている二人を気にしていると言った方が正しい


明利と鏡花は髪をタオルで包み蒸らしている、雪奈はまったく気にせずに髪の毛をオールバックにしてゆったりと湯船に揺られている


「二人とも・・・胸大きいですよね・・・」


自分ひとりだけまるで幼児体型、背も低く、起伏もない身体に明利はどうやら落ち込んでいるようだ

個人的な悩みであるがゆえに話しにくいのはよくわかることではあるがその目線は一点に注がれている


「そんなの気にすることないわよ明利、それに雪奈さんには勝てそうにないわ」


「いやいや、あっても困るだけだって、私の場合身体を動かす能力だから邪魔になってしょうがないよ」


実際、雪奈の能力はナイフを使っての動作性能と身体能力を上昇させるものだ


身体が動かなくてはそもそもの意味がなく、逆に動きにくいのも問題である


「でもやっぱり・・・おっきいほうが・・・うれしいですよね・・・」


「うれしいって誰が・・・ははぁん」


明利の言葉に鏡花は嫌な笑みを浮かべながらゆらゆらと接近する


その動きはまさに捕食対象を見つけたヘビのようだ、丸のみするつもり満々である


「大丈夫よ明利、静希はそういうのきっと気にしないわ」


「なっ!なん、何で静希君が出てくるの!?わた、私は別に」


「いいんだよ明ちゃん?隠さなくても、お姉さんちゃんと分かってるから」


そこに雪奈まで接近して明利に迫っていく


こちらはまるで飢えた獅子のようだ、骨までしゃぶりつくすつもり満々である


「もしかして明ちゃんは静のこと嫌いなの?」


「嫌いじゃない!・・・です・・・」


「じゃあ好き?」


「あの・・・えと・・・」


「嫌いか好きならどっちよ」


「・・・好き・・・です」


きゃあ!と黄色い声をあげて雪奈は明利に飛び付く


「やっぱりねえ!いいんだよ明ちゃん!あんなのでよければいくらでもあげちゃうから、いつでもいいからいろいろ奪っちゃいなさい!」


「あの、やめ!はなしてぇ!」


雪奈に身体を弄られながら明利は顔を真っ赤にしていく


その赤面は風呂のせいなのかそれとも羞恥によるものか、どちらにせよゆでダコのように真赤だ、ゆであがったロブスターと言い換えてもよい


「それに明利って静希の部屋によくいってるんでしょ?実質通い妻じゃない」


「しかも静は明ちゃんのご両親とも面識あるしね、こりゃもう親公認?」


「ちが!違うの!あの、静希君は私の恩人で、友達で、えっと、その・・・」


明利はかなり混乱しているらしく、雪奈の手から逃れることも忘れて必死にいいわけを並べるがすぐにネタが尽きてしまう


「そ、そだ、鏡花さんはど、どうなんですか?好きな人とか」


かなり苦しい話題変化だが、これ以上聞いたら明利が泣いてしまうと判断したのか、鏡花は顎に手を当てる


「そうね・・・クラスの男子は静希と陽太以外あんまり交流ないしなぁ、あの二人のどっちかっていうなら静希かしら」


「あらら、鏡花ちゃんも静狙い?明ちゃん、ライバル誕生だよ」


「え・・・あの・・・」


どうしたらいいのかわからず明利はあたふたしながらお湯に顔をつけてしまう


「静希は頼りになるんだけど、ちょっと苦手意識あるかな・・・」


「ん?なんで?静になんかされたの?」


「えと・・・初めて戦ったときにナイフで足を刺されました」


その回答に雪奈はあっはっはっはと大笑いする


「なるほど、静をその気にさせちゃったわけね、そりゃしょうがないわ」


「でもまさか血を見ることになるとは思ってなかったんですって、それ以降静希があの時の顔になるとちょっと怖いです」


鏡花の足にナイフが刺さった時、邪笑を浮かべながら現れた静希


あの時の顔が忘れられなかった、すでに根底に恐怖として刷り込まれてしまっているのだ


「静はああ見えて結構毒持ってるからね、じゃあ陽は?あいつも苦手?」


「いえ、あいつはやりやすいです、真直ぐで考えてることすぐわかるし、でも恋愛対象としては・・・」


「なるほどね、ほら明ちゃん、あんまり浸かってると湯あたりしちゃうぞ」


「うぅ・・・」


顔を真っ赤にして今だ葛藤を続けているのだろうか、頭をふらふらさせながら何か考え事をしている


その十分後、女子が入浴を終えた時には陽太は布団に簀巻き状態で拘束されていた


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